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アメーヨとの別れ

 馬車を乗り継いで久しぶりにアメーヨに戻ってきた。なんか懐かしい。

 この間、宿屋の私の部屋はそのままにしてくれていたみたいだ。エリックさん男前すぎる。

 後でライシャの皿を1枚進呈しよう。


 コゼットはベッドでゴロゴロと久しぶりの感触を楽しんでいた。


 コンコンコン


 ハンナがお茶を淹れて持ってきてくれた。


 「丁度飲みたかったの、ありがとうハンナ」


 「賑やかなコゼット様が急にいなくなって寂しかったです」

 ハンナさんをエスクバードに連れて帰っていいかエリックさんに相談してみようかな?

 子リスみたいで最高にかわいい。


 「そうそう、これは今の私の最高の出来なの!お土産に私が作ったコップをあげるわ。

 グラン村で免許皆伝になったから品質は師匠のお墨付きよ」


 そう、これこそコゼット史上最高の陶芸品である。ハンナに捧げることにした。


 「ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」

 喜んでもらえてよかった。必要ならまた作ればいいだけだ。


 「こっちは変わりがなかった?」


 「はい。皆さんお元気です」


 その後はコゼットのグラン村での武勇伝を大袈裟に話して面白おかしく休憩を終えた。


 ◆


 部屋で寛いでいると客が来た。

 兎の亜人だった。どうやら風の噂で私がここにいることを知ったようだ。


 話を聞いてみるとキングホーンの競走会で騎手になるための推薦状が欲しいと言う物だった。

 いま、亜人たちのなかで競走会がすごく熱いらしい。

 自分達の種族の誇りを胸に、他の5種族と戦うのは胸熱なんだそうだ。 


 グレードの高いレースで勝ったジョッキーは一族の英雄になる。

 王妃杯を頂点に意図して仕組みは作ったが、ここまで流行ってるとは知らなかった。


 「騎手になるのは険しい試練の先にあるんだ。悪いが推薦状を書くのは難しい」

 コゼットは兎くんにキッパリと告げた。


 「・・・、分かった。やってみるよ」

 真っ直ぐな子で良かった。すぐに帰ってくれた。


 私がいた3年目にようやく大規模会場の整備が整って第1回王妃杯を実施したんだっけ、既に懐かしい。

 私のエライヨヒナタ号が第1回の栄冠を飾った。王様が悔しがってる側で派手にガッツポーズをしたのを覚えている。交配1年目で冒険者ギルドに頼りすぎない血統の考えも導入した。どうなるかはこれからだ。


 1番苦労したのは倍率計算だ。顧客が増えて人手が追いつかなくなったのだ。

 当然、神様に泣きついたが「神様にギャンブルのオッズを計算しろというんですね」と呆れられた。

 魔石で動かせる表示ボードをその時はくれたんだっけ。


 3つ目のお願いは制限されていなくて大丈夫だった。なんか負け惜しみ言ってたけど。


 次帰ったら更に発展してそうで楽しみだ。

 そうそう、競争会は王室と私が半々で運営している。胴元なので収益がしっかり入ってきている。

 苦労に見合う以上のリターンをいただいている。


 ◆

 

 今日が南部最大の都市アメーヨを出立する日だ。これから川を渡ってキングストン王国の中部に入る。

 エリックさんとハンナがお見送りしてくれた。


 「エリックさん、まだすぐには帰りませんがエスクバードに来ることがあれば歓迎します」

 「ハンナも色々とありがとう。何かあったら頼ってね」


 「コゼットさん、ライシャの皿は家宝にします。ありがとうございました。気をつけて」


 「また寂しくなっちゃいますね。また会いたいです、コゼットさん。無理しないでくださいね」


 それぞれと別れを告げて、中部行きの船に乗った。

 アメーヨが第2の故郷になったと思うくらい居心地が良かった。


 まだまだ知らない世界を見にいくぞ!

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