アメーヨの守護
キングストン王国南部の最大都市アメーヨにいる。
昨日はひと騒動あったからか、ベッドからなかなか起き出せずにいた。
トントントン
部屋のドアを叩く音がする。
「はい」
コゼットが返事をすると給仕担当が朝食を持ってきてくれた。部屋食だ!
お盆にはサンドイッチとスープだ。スープのいい香りがする。
食欲が出たコゼットはサンドイッチを手に窓から外を見る。
この街は上層・下層の2区画に分かれていて、ここは丁度中央にあたる噴水広場に隣接した宿屋だ。
家具を見ても高級な部類に見える。人の動きは激しく、亜人が多く見えるのが特徴だ。
朝食を食べて気分が良くなったので、散歩に出かけることにした。
宿屋の1階で大まかな街の構成や場所を確認して出かけた。
まずは下層を散歩する。
朝なのに料理屋が繁盛していて、この街では外食で済ませるのが普通なようだ。
荷馬車の往来も激しい。ここを起点に南部全域へ荷物が運ばれているのだろう。
普通の商店が開くのはまだ早いみたいで閉まっている店も多い。
このまま進むと城門に辿り着く。昨日の今日なのでトラブルは避けるため、途中で引き返した。
中央の噴水広場まで戻ると宿屋の前で先程の給仕さんが慌ただしく何かを探してるようだった。
「どうかしましたか?」
コゼットが声をかけるとどうやら私を探していた。
「急で申し訳ありませんが、お城にすぐ来て欲しいと伝言を受けたエリック様の使いが来ております」
なんか面倒な予感がするが避けては通れないだろう。
「分かりました。ここを真っ直ぐですよね」
コゼットが歩き出そうとすると、給仕さんが背中から羽交い締めにしてきて止められた。
「馬車を用意します!歩いて行っていただいたら私がクビになります」
給仕さんの必死さが伝わったので大人しく待つことにする。
給仕さんは柔らかかった。背中に余韻がまだ残っている。
宿屋のロビーでお茶をしていると馬車が来た。ハンナにお礼を言ってお城に向かう。
待ち時間に会話して給仕さんの名前がハンナなのを聞いた。
豪華な門をノンストップで通り抜け、玄関で止まった。
降りるとたくさんの人が待ち構えていた。え?嘘?
エリックが前に出て守護を紹介する。
「こちらは、キングストン王国で守護を務めておられるガレット・グッドマン様です」
「ガレット・グッドマンと申します。昨日はこちらの不手際でご不快な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした」
会うなり謝られた。いい人じゃないですか。なんで部下はキモいのだろう?
「いえ、不幸なすれ違いによる事故のようなもの、もう気にしておりません」
大人の対応で行こう。話は通じそうだ。
「そう言っていただけて安心しましたどうぞ中へ」
案内されて応接室に向かう。
「急ですみません」
エリックが小声で謝ってきた。
「いえいえ、どうせ会うことになったでしょうから気にしていません。ハンナに良くしてもらっています」
ハンナを押しておいた。
応接室には守護とエリックが座り、後ろに衛兵が5人立っている。
改めてのお詫びと世間話をなんとなくした。出てきたお茶がジャスミン茶みたいな風味で美味しい。後で町で買うもの一覧に追加しておいた。
「最後にお詫びと言ってはなんですがキングストン王国の紋章の入ったブレスレッドを献上します。これを見せると王国内で勘違いされることは万に一つもありません。他国でも顔パスで通過できます」
え?他国でも顔パスってすごいよね。でも勇者の印も同じこと言われたんだよね。似たようなのいっぱい持ってたら一層怪しさが増さないだろうか??
「あと当家の紋章が入った短剣も差し上げます。何かの際に役立てばと思いまして」
鑑定眼で見ると価値の高い良い品だ。さすが家紋を入れるだけの短剣だ。腰にでも装備しよう。
今ならなんと!みたいな通販番組を思い出した。おまけがついた気分だ。
人気も実力も街の冒険者を斬られるのは守護にとって損失なのだろう。
「ありがとうございます。大事に使わせていただきます。私は商人でもあるので通行の自由は大変利便性が高くて助かります」
商人であることを話したら、2人とも驚いていた。終わりかけていた話がもう1度盛り上がった。
「では、今後もよろしくお願いします」
話が終わり応接室から出て、馬車でエリックさんと宿屋に向かう。
「ここにいる間に1度、夕食をご一緒させてください」
馬車の中でエリックさんからの申し出で、明日にでも食事会をすることになった。
何日滞在するか分からないからやるなら早めの方がいい。
アメーヨの守護と和解したのでこれで堂々と街を見て回れる。
買う物一覧を早く見に行きたい気持ちでいっぱいだった。




