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港町カレーヨ


 部屋に戻ったコゼットはシャワーを浴びて、白のノースリーブに黒のハーフパンツ姿に着替えた。すべてリンク商会製の糸で作られていて自身でデザインした服だ。


 フェリーを降りると入国審査がある。

 ボーっと待ってたら順番が来た。


 「証明書」

 入国審査官からぶっきらぼうに要求される。


 「無い」

 コゼットは証明書を持って無かった。


 「ふざけてるのか早くだせ」

 短気だなこのおっさん。


 「勇者の印しかエスクバード王国がくれないんだ。

 無いものは無い!」


 コゼットは勇者の印を見せて説明する。すると入国審査官は驚いて冷や汗をかきながら、入口が違うと言って貴賓用を指さした。あっちか。


 コゼットが貴賓用に行くとフカフカのソファに座って対応してくれる。何も聞かれずに書類を少しチェックしたら、すぐに通してくれた。

 扱いが違いすぎて笑えた。とりあえず差別反対と思う。


 港町は活気がある。道の両側にずらっと屋台が並んでいる。とりあえず宿が取りたいけど、少し街並みを見てからにしよう。

 ああ、とうもろこし美味しそう。牛串もいいな。


 昼間から空いている飲み屋がある。

 試しに入ってみると周囲から視線を感じる。


 「おすすめの酒は?」


 「昼間から若い女が酒とは関心しねえが、うちの売りは地ビールだ」

 1杯頼む。エスクバード通貨はそのまま使える。


 「ここの観光名所はどこ?」

 コゼットは情報収集を開始する。ビールが来た。

 飲んでみると、ここの地ビールは軽い。濃いおっさんたちとは違った。これだったらフルーティだし、ご婦人にもありだな。


 「港町しかないが、オレたちには港町がある」

 ようはここだけか。


 「魔物は出るの?」

 ビールをおかわりする。キーラがいないから止められない。


 「いや、次の町まではほとんど出ない。治安がいいのは南部の誇りだ。出ても大したことはない」


 「南部?」


 「キングストン王国は大きな河川が2つある。

 ちょうど横に3分割する形だ。北部、中部、南部に分かれる。それぞれを守護が治めていて北部は直轄地で王都がある」


 「じゃ、その3つでなんでも競ってるんだ」


 「そうだな。俺たちはキングストンに所属している感覚より南部のアイデンティティを持っている」

 聞いてみないと分からないものだ。これが本当なら、エスクバードは小さくない。


 「特に名産は無いが港町特有の貿易で珍しい掘り出し物を売ってる店がある。近いから興味があれば行ってみな」


 ビールを飲み干して、案内された店に向かう。

 情報料としてチップは弾んだ。

 お土産用に瓶ビールを5本貰って収納袋に入れた。


 「赤い屋根の店は〜、あった」


 雑貨屋だ。かわいい系じゃないか。興味が一気に上がる。鑑定眼で一通り調べる。方位磁石と頑丈そうなコップを買った。見るだけでも楽しかった。


 ついでにおすすめの宿屋を聞くと少し高いがサービスの評判が良い宿を紹介された。当たりだった。

料理は普通に美味しいし、湯も使えた。


 見るものすべて新鮮でテンションが上がった。

 明日からもどんどん地元の輪に入って行きたい。



 


 

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