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王妃様

 今日は王妃様と昼食後にお茶会をすることになった。マナーとか気にせず気楽でいいそうだ。


 当初、王様に会う予定だったが、女性同士の方が話が弾むだろうという王様の配慮だった。王様いい人かも。


 時間になり指定された場所に行くとすでに王妃様はいた。お母さんよりは絶対若い。30代中頃くらいだろうか?私に合わせてくれたのかワンピース姿だった。


 桜色の腰まで長い髪に茶色の目をした、細い色白美人が水色のワンピースを着ていた。


 「ようこそ陽葵様、お会いできるのを楽しみにしておりましたわ」


 「お招きありがとうございます。私のことは陽葵でお願いします」

 言えた!王妃に様呼ばわりされると申し訳なさでいっぱいになる。


 「ふふ、分かりました。私のことはアニーと呼んでください」

 余裕のある大人の女性のオーラ全開だ。何か眩しさを感じるよ。正式名は長いんだろうな。


 王妃様はこちらでの生活について不自由がないか心配しているのか色々聞いてくれた。

 キーラがいるので何も不自由していないことを伝えると喜んでくれた。


 晴れたパラソルの下、美味しい焼き菓子と紅茶、見晴らしのいい景色、楽しい会話。

 なんか貴族にでも異世界転移したかのような優雅さだ。


 「陽葵は何かしたいことはあるの?」

 

 「いえ、特に何も今は考えていないので探したいと思います」

 このままだと勘違いして悪役令嬢にでもなりかねない。


 「そう。この世界に違う世界から人が来たなんて初めて聞くわ。できることは応援するから何でも言ってね。これからもこうやって話相手になってくれたら嬉しいわ」


 次回のお茶会の約束をして今日のお茶会は終わった。

 王妃様は触れたら壊れそうな繊細なお人形のような印象だった。


 ◆

 

 今日はキーラと街に来ていた。街の名前はキングエスクバード。この国の首都だ。


 大陸の中央部にあり、南北に流れる大河川の中央に位置する交通の要衝でもある。大きな船がひっきりなしに出入りしているのが見える。


 「この国は賑わっているのね」

 陽葵は忙しそうに走り回っている人を見て活気を肌で感じていた。


 「ええ、一度ここに荷物は集約されて、この国の隅々まで荷が届けられます。逆も同じです。少し離れると道具屋や食事処など、また街の見せる顔も変わります」


 楽しそうだ。1日では見て回るのは難しいんだろうな、なんて考えていた。


 すると、街中で言い合っている男性の声が聞こえてきた。


 「おい、この屑鉄を持って帰れよ。ゴミを置いていくことは許さねえ」


 「うるせえ。この国にはスクラップ屋はいねえのか。引き取り賃は出すって言ってるんだ。

 スクラップを船に載せて国に帰ったら大損なんだよ。

 ここで新しい商品を仕入れて帰れねえと首括るしかないんだ」


 どっちも引かない。言ってることは正しく聞こえる。


 「この国にスクラップ屋はいないの?」

 陽葵はキーラに尋ねる。


 「そうですね。知る限りは専門業者はいなくて個別に対処しているかと。ヴェクス領が工業は発達しているのでスクラップを買い取ってくれているはずです」


 なるほど。亜空間の収納を使えばコスト無しに引き取り賃を貰って商売できて、この国の人に喜ばれる。いいアイデアなのでは!いや?目立つか?便利な収納が目立っちゃうか?

 

 帰って整理してから改めて考えよう。そこのおじさんごめんね。

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