最終テスト
今日はアルバートの料理店で昼食だ。
仲間内の会を催して、本番と同じ環境で通しの最終テストを行うのだ。
これで合格なら営業開始になる。
出席者は宝石商のマッシモ、コゼット、第三者の眼ということでアシュリーと内務大臣のギャリソンの4名が参加している。年齢層や男女別、身分の違いなど幅広い設定になったので満足している。
場所はお城に近い上級層のレストランで、夜だけ営業している店の空間を間借りして営業を始めることにした。最初はオーナーが難色を示していたけれど、アルバートの料理を認めてくれてからはトントン拍子で許可されたようだ。
リンク商会で提供しているおしぼりに最初に目がいった。
カラフルな布が冷たく冷やされている。手に取ると肌触りが良く少し嬉しくなる品だ。
「これは良いな。暑い日には顔も拭きたくなるよ」
ギャリソンさんから好評価を得られたが、顔を拭くとおじさん扱いされてしまいます。言えない。。
そうこうしているうちに、最初の料理が出される。
サラダボウルだ。色鮮やかな野菜に酸味の効いたドレッシングを使っている。
当面はシェフのおまかせコースのみでいく予定だ。
給仕にはアルバートの昔馴染みで気心が通じている女性を2名雇った。
2名ともアルバートと年齢が近いので20代前半くらいの若さだ。
夜の料理屋での給仕をメインにしているみたいで、他でやっていた昼の仕事を辞めて来てくれた。
「独特な酸味が癖になりそうだわ、美味しい」
アシュリーにハマったみたいだ。よかった。
他のメンバーからも好評のようだ。
2つ目は長細い皿に少量の料理を5つほど乗せたメニューだ。
「この貝は濃厚で美味しいな。もっと食べたくなる味だ」
マッシモさんは乾杯用に出していたシャンパンと一緒に食べている。
「私はこの海老のプリッとした食感が上品でいいですな」
ギャリソンさんからも褒め言葉が貰えた。
この皿もみんな楽しそうに食べている。
食べ終わった皿を引いている時にソムリエが入ってきた。
ソムリエは夜の店でもやってる人で昼の時間も協力してくれることになった。
好みを聞いて料理に合わせたドリンクを提案している。
残念ながら私はまだ15才じゃないのでノンアルコールを提供してもらった。
3皿目は煮物だ。
鳥もも肉旨煮と焼きナスが提供される。
「この鳥も美味しいが焼きナスは初めてじゃ」
ギャリソンさんがナスに1口つける。笑顔になった。よかった。
ここまで順調だ。給仕もタイミングが良い。
4皿目は天ぷらだ。
こっちの世界にはなかったので再現するのに苦労した品の一つだ。
特に温度管理が難しかった。
「これはサクサクとうまい。同じナスでも先程の焼きナスとは全く別物のようだ」
マッシモさんの赤ワインが進んでいる。
5皿目はメインの肉料理だ。
食べ応えを意識した肉厚のステーキだ。
「うーん、美味しいがワシにはボリュームが多いな」
ギャリソンさんが嬉しい悲鳴といった感じで感想を教えてくれる。
「そうね、女性的にはもう少し量を少なくして柔らかさを追求して欲しいわ」
アシュリーさんからも改善の余地があることが分かった。
最後はデザートだ。
小さいキューブ状のケーキを3種類、アイスクリームを添えて出てきた。
3人とも驚いている。ん?この世界になかったっけ?
アルバートは説明した時に、嬉しそうだったがサクサク試作してた記憶があるけど。
「これはいい、見た目も華やかじゃ」
「最後にサッパリと出来て、もう入らないと思ってたけど入ったわ」
「これがワインにも合うのだな」
皆さん、メインではコメントが出たがデザートは大丈夫なようだ。
それぞれから最終結論を取る。
「流行ると思うわ。なんで出資者に入れてくれないのかしら」
「ワシは天ぷらがまた食べたいのう」
「ああ、アルバートの料理を当てにワインを飲む。夢が叶ったんだなぁ」
なんか、はっきりした結論ではなかったが評価されているようなのでオープンすることにした。
結果を聞いたアルバートは絶叫してガッツポーズをしている。そらそうだよね、緊張するよね。
アルバートにはもうひと踏ん張りオープンまで改善してもらう。
予約はマッシモさんが張り切ったせいで向こう3ヶ月は埋まっている。
私が食べる機会がないではないか。
なんか認めてもらえてすごく嬉しかった。オープンが楽しみだ!




