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新しい家事代行

 キーラに呼ばれて話を聞くと、危ないことはしないようこってり怒られた。

 何かモヤモヤしたものを感じるが心配してくれているのはありがたいことだ。


 「トーマス、あの魔物大丈夫?」

 コゼットは前を歩いていたドワーフのトーマスに話しかけた。

 樹液を出す魔物は暴れないと聞いていたが心配になったのだ。


 「あれは可愛いですな。癒されますぞ」

 ゆるキャラ扱いかな?とりあえず危険はなさそうだ。


 「何か使えそう?」


 「空いた時間で色々試してみたいと思います。鉄や木に置き換わる商品ができるかもしれません」

 トーマスは色々アイデアを言っていたので、アシュリーさんともすり合わせをした方が良さそうだ。


 「木材とガラスの方は問題ない?」


 「ええ、問題ないです。木材の方は投資の回収期に入ってます。商品ラインアップを増やすか、全く新しい事業を考えてもいいかもしれません」

 そうなのだ。課題としては認識している。


 「増やした部下はどう?問題ない?」

 事業が拡大したことでドワーフが5人増えていた。トーマスに指揮をお願いしている。

 木材とガラス両方に関わってくれている。


 「心配ないですよ。ここで働く前からの付き合いですから。みんな前向きにやってくれてます」

 良かった。新しい人が増えると人間関係が気になるからね。


 あまり引き止めても悪いので、軽い話でその場は終わった。



 さあ、この後はアシュリーさんおすすめの家事代行の人と面談だ。


 カランカラン


 鮮やかな青髪の青年が入ってきた。10代かな?

 すらっと細身の小顔さんだ。


 「面接に来ましたウェイドです」


 「え?うちが募集しているのは食事以外の家事全般だけど」

 コゼットは慌てて説明する。


 「合ってます。アシュリーさんの紹介で来ました」

 間違いなさそうだ。


 「失礼だったら申し訳ないんだけど、なぜ家事全般に申し込んだの?」

 コゼットはこの職に若者が申し込むイメージがない。


 「両親がハウスクリーニングを生業にしておりまして、子供の頃から手伝いをしておりました。

 次男で家を継ぐことも出来ないので、今後どうしようか考えている時にこの求人を知りました」

 ん?納得だけど何か引っかかる。


 「それ以外の理由は何かある?」

 するとウェイドは下を向いて少し恥ずかしそうにこう言った。


 「勇者様と一緒にいたいんです。勇者といえば伝説の人ですよ。全てを捧げるつもりで来ました」

 そう言われて、コゼットは固まった。聞く限り、能力は大丈夫だろう。

 でも、私は今後勇者らしいことをするつもりはない。求められても困る。


 「あー、あの勇者といっても色々いてね。勇者リアムみたいなのを真の勇者と言うのよ。

 私は勇者みたいなものなので期待されても困るわ」

 最初にちゃんと伝えるべきだとコゼットは考えた。


 「そこは大丈夫です。僕が仕えたいだけなので気にしないでください。

 僕から何かをお願いすることはありません」

 絶対分かってないなこいつ。判断に迷う。能力はありそうだからだ。


 「とりあえず、1週間のお試しで雇っていいかな?その後、お互いが納得したら継続でどうかしら」

 

 「分かりました。明日から来ます」

 本人の素養以外にアルバートと協力して仕事ができるかも気になる。

 試すならなるべく早い方が良かった。


 そして、翌日彼の仕事ぶりを見て驚いた。

 完璧なのだ。彼が歩いたところはピカピカで報連相もしっかりしてくる。

 同僚にも配慮が行き届いている。これで10代かと驚くのだった。

 

 判断するのに1週間もいらなかった。ただ、私を勇者様と呼ぶこと以外は。。

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