キーラ
目覚めても知ってる世界では無かった。昼過ぎだろうか外が明るい。動く気配を感じたのか部屋の外から人が入ってきた。
「キーラと申します。陽葵のお世話係になりました。何でもお申し付けください」
大学生くらいの背の高い美人さんだ。オレンジ色の髪の毛がストレートで美しく背中くらいまである。
グラマラスな色気があり、黒いメイド服に白いエプロン姿だ。
ギャリソンさんの言う通りサポートしてくれるみたい。少し安心する。
「まずはお着替えを」
そう言うや身ぐるみを剥がされてあっという間に着替えが完了した。
なんか色々なところを見られ、触られた気がして恥ずかしかった。
キーラさんは涼しい顔をしている。
ヒラヒラ、フワフワだったらどうしようと心配したけど、かわいい白いワンピース姿だった。
「次は昼食を」
どうやらキーラさんは凄い出来る人のようだテキパキと手配されていく。
丸テーブルにホワイトシチューとパンが見える。そういや、昨日の夜ご飯から食べて無かった。
食事が見えるとお腹が鳴った、恥ずかしい。
「美味しい」
思わず声が出た。お城にいるんだからレベルは高いんだろうけどお母さんのより断然美味しい。
気がついたら食べ終わっていた。大満足だ。
「今日は予定がありませんので、好きに過ごしていただいて大丈夫です」
キーラは食べ終わった食器を下げて、部屋を出て行った。
なんか取り残されたポツーンとした感じがした。キーラさんが嵐のように去って行ったからだ。
部屋にいても仕方ないので外に出てみようと思う。
3階から地上に出るとオレンジ色の屋根にクリーム色の壁の大きいな建物にいたのが分かった。
玄関から門までは幅の広い道が整備されていて、両脇には人の像が定期的に飾ってある。
中世の欧州みたいな感じだ。小学校の授業で似たようなのを写真で見たのを思い出していた。
観光気分で珍しいものを見ながら門まで行くと守衛に進むのを止められた。
どうやら自由にしていいのはこの敷地の範囲までだったみたい。
しょんぼりして部屋に戻るとキーラが来て、時間があるならとこの世界を説明してくれている。
この世界は3つの大陸からなっていてそれぞれに異なる王が統治していること。
地理的には西側の大陸が1番大きくキングトン王領、その次に大きいのが北東にあるヴェクス王領、最後に今いるのが南東に位置するエスクバード王領になり、ヴェクス領とはそんなに大きさは変わらないそうだ。
最近は国家間の大掛かりな紛争は起きていないので安全保障に大きな問題はなく、経済も安定して成長を続けている状況を説明してくれた。
その後も地域の風土や特徴、言語の違いなどについて詳しく教えてくれた。
元の世界と違って精霊や獣人は住んでいるファンタジーな世界のようだ。
魔物は僅かで都市部周辺で見ることは無いと言っていた。
1度には覚えられないので少しずつ今回のような講義をしてくれることを約束して抗議は終わった。
どうやら安全な世界に転移したみたい。聞いてて安心できた。