アルバートの道
アシュリーさんとの毎月の報告会を終えて会議室を出るとアルバートが待っていた。マッシモさんと話してから1週間くらいだろうか。
とりあえず、先程の報告会で疲労困憊だったのでお菓子とお茶を用意して貰って、話を聞くことにした。
「俺、孤児院を出てるんです。差別されることも多いので今まで言えませんでした。すみません」
アルバートが深々と頭を下げている。
「私はそのことを聞いて苦労したんだろうなとは思うけど、アルバートはアルバートだから。差別と言われてもピンとこないわ」
コゼットはアルバートを傷つけないよう、言葉を選んでゆっくり答える。
「すみません。コゼットさんがそう言ってくれるように、実はマッシモさんにもこれまでたくさん助けて貰ったんです」
どうやら、マッシモさんは孤児院に寄付をしていて慰問に訪れた際にアルバートと仲良くなったようだ。
「孤児院を出た俺はお金を稼げる国外に長期間行く船の船員になりました」
帰ってきたら、外国のお土産を渡しにマッシモさんに会いに行くようになっていて、今の仕事になってからはなかなか行けなかったけど、久々に先日顔を出してお土産代わりに料理を振る舞ったようだ。
「いい人に巡り会えて良かったね。お店の話はどうしたい?協力するよ」
「やりたいです。でもここでも働きたいんです。わがままなんですが、お昼に予約を取るお店を考えました。それだったら、ここで仕込みしながら昼食も合わせて用意できますし、夕食は今までどおりです」
「考えがまとまったなら、マッシモさんとも1度話してみてくれる?私はアルバートがやりたいことを応援するって決めてたから」
「分かりました。近いうちに話してみます」
アルバートの顔が晴れやかになっている。身近な人たちが幸せなのは私も嬉しい。
翌日にはマッシモさんと話をして協力を取り付けたようだ。
マッシモさんは、夜も利用したかったみたいで無理じゃないタイミングがあれば、特別に夜も対応してほしいとお願いされたそうだ。
事業資金はアルバート1/2、マッシモさん1/4、私1/4で出すことに決まった。アルバートはマッシモさんからお金を借りて用意することになった。
「事業をやれる嬉しさだけだったんですが、お金を借りることで、プレッシャーが凄くて返せるか不安になってきました」
アルバートが怯んでいるので、みんなが通る道だと励ましておいた。
3人みんなが認めた会員だけが利用出来るシステムにした。変な客は最初から排除出来るようにした。
これからアルバートは忙しくなる。
経営者の先輩として、事業計画やお金の管理、従業員の採用などで手助けしたい。
そう言えば、うちも家事手伝いを新たに募集しないといけないなんてことを考えていた。




