表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/187

トーマスの悩み


 街の外でみんなと木材の再利用の検討をしてから1ヶ月くらいが過ぎた。ドラゴンキラー騒動も落ち着き、平和な日々が戻ってきた。


 テーブルにお茶とお菓子を並べて休憩タイムだ。キーラの言うとおり、人数を多めに同じティーセットを買っていて良かった。1人だけ違って疎外感を感じさせるのは嫌だったからね。


 アルバートもだんだん仕事に慣れて来た。キーラが持つ層とは違う、マダム層を本人の意思とは関係なく開拓している。

 

 「コゼット様、ドワーフのトーマスのこと聞きましたか?」

 キーラが心配そうに聞いてきた。トーマスとは私と会う前からの知り合いだったはずだ。


 「どうかしたの?」

 前に会ってから特に何も聞いていない。


 「木材の再利用の件、上手くいってないみたいで悩んでるみたいなんです。顔も痩けて本業でも失敗を繰り返してるみたいなんです。心配で」


 「え?そんなことになってたの。顔でも出してみようかな」

 なんか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 仕事を押し付けた責任がある。


 早速、トーマスのところに向かうことにした。

 最悪の場合、自殺とかしたら大変だ!


 ドンドンドン


 「トーマスさん、コゼットです。いますか?」

 扉を叩いて呼んだが、返事がない。

 仕方ないから、勝手に入ろう。


 工房にいた!なんか燃え尽きたみたいに座ってる。

 確かに重症だ、こりゃ。


 仕方ない。これは神様を呼ぶレベルだ。


 「神様ー!」


 大声で叫ぶと、回りの時間が止まりまばゆい光とともに神様が現れた。


 「なんか辛気臭いところですね」

 なんだか、この神様会う度に口が悪くなってる気がする。


 「で、今回はどうされましたか?」

 せっかちな神様だ。


 「トーマスの悩みを解消して下さい」


 「煩悩の多い男のようで3つでは足りませんよ」

 少し範囲が広すぎたか。3つで足りないって、笑っちゃいけないけど笑えてくる。


 「依頼している木材の再利用に限定したらどうでしょうか?」


 「2つです。。嫌な数字ですね。最近2を見るとイラッとするんですよね」

 聞いてないことまで言わないの!


 「では、それを叶えてください」


 「大丈夫です。承りました」


 「3つ目はピンチになったら、小声で呼ぶので3つのお願いを聞いてもらえませんか?」

 もうパターンは理解している。コゼットはドヤ顔で依頼する。


 「分かりました。聞こえなかった場合は許してください」

 そんなことありなのか!無視する気満々だ。


 すると、突然神様は消えた。

 ちゃんとどっかのタイミングで話し合いを希望する。


 トーマスは突然立ち上がり、恍惚な顔をしている。

 さっきと全然違う。何かはしてくれたみたいだ。


 取り憑かれたように作業をしているので、そっと帰った。多分もう大丈夫だろう。


 ◆


 それからどれくらいたったか、トーマスが店に飛び込んできた。


 「嬢ちゃん、俺はやったよ。出来たんだ。この世に神はいるんだな」

 出来たのは嬉しいが、あの神様を信仰するのはオススメしない。 


 出来たのは試作用に3種類だ。

・家具用のボード

・断熱材

・防音材


 特に断熱材と防音材はアシュリーさんのところの強みになると自信満々だ。


 まずは専用の職人を用意する必要があることで一致した。


 「嬢ちゃん、俺をリンク商会で雇ってくれないか?」

 突然の申し出にコゼットは驚く。


 「私は嬉しいですが、トーマスさんはいいんですか?」


 「いいさ、新しいことにどんどんチャレンジしたいからな」


 嬉しいが一抹の不安もある。今回みたいになったら、また神様に頼らないといけなくなる。

 それでも、腕のいい職人は欲しい。気心知れていたら更によい。


 「分かりました。よろしくお願いします」

 トーマスと握手をして別れた。手続きはキーラにやってもらおう。


 すると後ろで見ていたキーラから話しかけてきた。


 「私もお城を辞めてリンク商会で頑張りたいです」

 嬉しさのあまり、とっさに抱きついてしまった。

 居なくなる不安で怖かったんだよ。


 「ありがとう、キーラ。これからもよろしくね」

 勝手に涙が溢れた。


 コゼットにとって嬉し泣きは人生で初めてだった。

 なんとか上手く回っている。従業員も増えて責任がいっそう重くなるのを感じていた。


 第1章END


 


 


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ