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俺たち死んだんじゃないこれ。

「いかん……つい握ってしまった……」

手に少しくしゃくしゃになった手紙を見て、俺は少し反省する。

「…気持ちはわかりますよ。あんな書き始めだったら私も同じことします。」

そういい俺に共感する白雪さん。

「…とりあえず見ようか。」

「はい。」



「やっほー、僕アトラ、2人とも元気かなー?」



「君たちは今、エーテリア、アルガス王国内の南の森、封魔の森にいる。そこは人が入ってはいけないとされている禁足地だよ。」

「ごめんね、本当は街の近くに送るつもりだったんだけどどういうわけか座標がずれたんだ。」

「他の被害者の人達は無事にそれぞれ街についたんだけど…。」

「正直原因が全くわからない。僕のほうで座標がずれた原因を調べることは調べる。」

「君たちはとりあえず、街を目指してほしい。可及的速やかに。」

「そこは禁足地とされているだけあってかなり凶暴な魔物が徘徊している。」

「ゴブリンなんかももちろんいるから花音ちゃんはとくに気をつけたほうがいいね。輪姦されること間違いなし。」

「一応君たち二人の才能は目覚めているはず。この世界では才能のことをスキルっていうんだ。」

「これが読み終わったら逐一確認して。」

「そしてそのショルダーバッグ。それはマジックバッグになってる。この世には魔素を用いて魔法を発せさせるものの他に、魔素を利用してマジックアイテムとして使うこともできるんだ。」

「マジックバッグは空間拡張能力と時間経過しない異空間みたいになってるよ。一応かなりレアなものだから大事にしてね。」

「僕が君たちに送るものは、スキルを目覚めさせるものの他に、現地の人と不自由なく話せるスキル、身体を常に清潔に保てる魔法、物や人の価値を覗く魔法、衣服類、当面の食料だよ。衣類と食料はマジックバッグに入ってる。」


「スキルの確認方法だけど、念じれば頭に浮かぶようになる。」

「紙とペンがマジックバッグに入っているから、お互いに見せて確認して。」

「スキルの出し方や使い方も念じれば基本的に使える。想像力を働かせてね。魔法自体に名称をつけて使うとより安定して出すことができるよ。たとえばウォーターとか。」

「僕はこれから野暮用があるから、また連絡するね。何かあったらそっちから連絡をしてくれればいい。頭の中で僕の名前を読んでもらえればいいよ。下界に干渉はできないけど、アドバイスくらいはするから。」



「気をつけてね。その森にはとにかく危険。」

「僕たち神々が神託によって禁足地と公表したくらいだ。」

「あぁあとそうそう、これから君たちはアルガス王国目指して北に向かって歩いてね。大体一週間あればつくかな。バッグにコンパスも入ってるからそれを頼りにね。」



「無責任に放り出してしまってごめんね。また一週間後に連絡するから、それまで生きて。神の導きがあらんことを。」





俺たちは無言で手紙を見つめていた。


「神様が神の導きがあらんことをって…」

「……」


「…俺たち、死んだよな。絶対。」

「…私も、命と貞操がかなり危機迫ってますよね。これ。」




このとき、二人の心の声はハモっていた。


どうすんの…これ……

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