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これからのこと

「う、うぅん……ここは…」

私は目が覚めると、木の生い茂る森の中で倒れていた。

「え……まさかの森の中…?」

隣を見ると、さっきまで一緒にいた男性、双葉成美さんが横たわっていた。

「…死んでないよね?」

私は首に指を当て脈を図る。

どくどくと血が流れているのがわかる。

「よかった…死んではいないみたい…」

とは言っても、私はこれからの事に不安が募る。

「…私、本当に異世界に来ちゃったのかな……」

「本当は家の近くの森でした、なんてことないかな……」

そんな希望的観測のようなことを口にし、私はあの神様のことを思い出す。

「ありえないかなぁ……何か確証があるわけでもないけど、あの自称神様の言ってたことは本当の事のような気がする。」

そう、何故か嘘ではないと。本能的にそうわかっている。

「だから、ここは異世界。とりあえず双葉さんを起こそう。」


本当は男性と2人なんて嫌で仕方ない、どんな人かも分からないし。

もしかしたら起きた瞬間周りに人がいないってことで襲ってくるかもしれない。


これまでも何度もこの容姿のせいで襲われそうになった。

でも別に私自身のことが嫌いとかこんな顔に産んだ母を憎むとかそんなことは断じてない。

むしろ感謝しているくらい。


若干の男性恐怖症がないと言ったら嘘になる。

「でもなんでだろう、何故か。」

「この人は襲うとかそういうこと、絶対にしないって気がする。」

「不思議ととそんな気がしてならない。」

「もしかしたら私と双葉さんの魂が混じってるからなのかな…?」

そう、私と双葉さんの魂は神様が言うには合体…もとい混ざっているらしい。

私の魂には双葉の魂も、双葉さんの魂には私の魂も存在してるとか。

だから、もしかしたら感覚的にわかるのかもしれない。この人は大丈夫だと。

「…それも確証があるわけでもなし。ふぅ、とりあえず起こそう。」

そして私は、覚悟を決めて双葉さんを起こした。





「……さん、ふ……ば…ん」

誰かの声が聞こえた。俺は意識を覚醒させ、起きる。

「ふたばさん…、双葉さん…起きてください。」

「ん、ん〜…?何、飯〜?」

「いえ、あの。ご飯はないです。とにかく起きてください。」

「もうちょい寝かせてく……」

俺は目を開け、目の前の美少女をみた。

(そうじゃん。俺そういや神様と話してたんじゃん。)

「あ、えっと。白雪、さん。でしたっけ?」

「はい、白雪です。さっきぶりですね。」

「あ、はい。さっきぶり、です。」

「どれくらい寝てましたかね?結構時間たってたりします?」

「どうでしょう?私も起きたばかりなので、どれだけ時間が経っているかはわかんないです。」

「そう、ですか……」

「はい…」



(む、無言がきちぃ…)

(そりゃそうだよ…こんな森の中で見知らぬ男と2人とか絶対やばいじゃん。もう白雪不安で仕方ないんじゃないの?)

(おい、つうかなんだよこれ、森の中って。俺たちにどうしろと?餓死しろとでも言いたいのかあの神様は。)


「あ、あの。」

と、白雪さんが話しかけてきた。

「あ、はい。なんでしょう?」

(あぁもうコミュ障の定番。あ、から入るやつ〜…もう年上の威厳もへったくれもねぇや……)

「一応、自己紹介をもう一度させてください。」

「そ、そうですね。こんな状況ですし、まずはお互いきちんと自己紹介しましょうか。」

(なにこのお見合いみたいな受け答え。俺超きもいじゃん。死んだ方がいいかな?)

「改めまして、私の名前は白雪花音です。歳は17です。」

「あ、俺の名前は双葉成美って言います、歳は22です。」

「双葉成美さん、ですね。改めてよろしくお願いします。」

そういうと白雪さんは頭を下げた。

(なんて…なんていい子なんだ…JKとかっていったらイケメン以外の男をすべてキメェで片付けるヤギかと思っていたけど…)

(まさかこんなにも礼儀正しいとは…!JKバンザイイヤッフゥ!!)



ごめんなさい。調子に乗りました。



「こちらこそ。こんな状況ですのでお互い協力して頑張りましょう。」

「はい。あと、私に敬語は結構ですよ?年下ですし。」

「そう、ですか?でも……」

「私がむず痒いんです、年上の人に敬語は使われるの。」

「…それもそっか。んじゃ、改めてよろしく頼むわ。白雪さん。」

「えぇ、よろしくお願いします。」

(大丈夫だよな…?喋り方、こんなんでいいよな…?)


「とりあえず、どうするか…」

「あの神様、こんな森の中に俺たち放り出してやんの。」

「白雪さんは森の中で食べられる木の実とかの知識ってある?」

「いえ、生憎とわかんないです…」

「だわなぁ…俺もまったくわからん。」

「しかもここ、地球とは違うところだよな、だとすると自然に生えてるものももちろん違ってくると思うし…」


「…最悪本当に餓死するんじゃないか、これ。」

「…あの神様次会ったらはっ倒しません?」

「…そうしよう。」


そういい、俺は土に大の字に寝転がった。すると背中になにやら感触があった。


「…ん?なんだろう。」

その感触のあったものを手に取った。

「これは…ショルダーバッグ…?なんでこんな所に…?白雪さんの持ち物?」

「いえ、私のではないです。」

「俺のでもないし…じゃあ誰のだろう?」

……


「とりあえず中見てみよう。」

「はい。」


そして俺はバッグの中を漁った。


「んー…?なんだろう、色々入ってるような…でもこんな小さなバッグに入る大きさか…?これ。」

とりあえず俺はバッグから1つ出した。


「これは…」

「手紙、ですかね?」

「見てみようか。なにかの手がかりになるかも。」

持ち主には失礼なことをするけど、今はそんなこと言ってられない。

手がかりが1つでもあるのなら可能性にかけたい。

でも持ち主の人、ごめん。勝手に見ちゃって。


「…」

「…」


「やっほー、僕アトラ、2人とも元気かなー?」



その瞬間、俺は手紙をぐしゃっと握った。

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