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美少女生徒会長に俺は付き合えないとハッキリ言わなくてはならなくなった。なんでって、幼馴染が俺のこと、大大大好きらしいから。

ユーコは俺の前で手帳のあるページを

綺麗な細い右手の人差し指で指し示して見せた。


パンツチラ見せ、の女の子の線画のページ。


「それにしてもさ、随分と際どいイラスト描いてるのね..」

「この絵のモデル誰よ??」

「けっこー、可愛い子だけど?」


「あ、えーと、それはさ...」

「とりあえず、返してくれる?」


「嫌よ」

「山吹くんの幼馴染だよね、この子さ」

「写実的なイラストだからすぐ分かる」


「マジで返してほしい...大事な手帳なんだよ

それ」


「公開されたくなかったらさ」


「え」


「これ、コピーされてばら撒かれたくなかったらさ。私と付き合ってよ」


「私と恋人同士になったら返したげる」


「な...」


「付き合ってくれないなら、コンビニのコピー機で大量に印刷してみんなに配る」


「ちょっと、生徒会長がそんなことしていいと思ってるの??」


「その位、本気なのよ...分かってほしい」


やたらうるうるした目で俺のこと

見てた。


美少女の涙目は。


はっきり言って反則だと思う。


俺は幼馴染マヒロの絵を守る為に、

苦渋の決断をした。


「分かった。付き合うよ」


「やった」


「取り敢えず、今日、一緒に帰ろうね!」


「分かった」


「校門のところに4時半ね!!

私、山吹くんが来るまで、ずっと待ってるからね」


「....分かった。ちゃんと行くよ」


俺はそれだけ言うと、彼女にじゃあ、

と声をかけて教室に戻った。


ユーマに、

「何話していたんだ?」と

聞かれたので、洗いざらい話した。

ムシャクシャしていて、コトの経緯を

誰かに話してしまいたかった。

本当はマヒロが好きだが、

際どいイラストが明るみに出たらヤバい。

俺は自分の気持ちに嘘をつき、

ユーコと付き合うことにした、と告げた。


ユーマは、


「おまえなりに葛藤したんだな...でも、

学年一の美少女と付き合えるなんて

羨ましいな...」とボソリ呟いた。


「マヒロは常日頃から、てか、昔から俺に対して素っ気ない。

どうせ、俺に気がないんだ。

マヒロが俺に振り向いてくれるまでは

ユーコと付き合うしかないと思ってさ...」


「そっか...まぁ、難しいな、

決断するのってホントにさ」


俺は頭をかかえていた。

この日はユーコと一緒に帰ったが、

適当な相槌しかできなかった。

俺の隣には、美少女林ユーコがちゃんといたが。

俺の頭の中にはマヒロがいたんだ。


この翌日だ。


まさかの大事件が起きた。


朝一、ユーマがもう登校して、自分の席に着いてた俺のところに走ってきた。


左手の脇には、漫画雑誌をかかえていた。


「おい、シンジ、これ見ろ!!」


毎週月曜日に発売される週刊少年漫画誌。


ユーマの愛読書だった。


「ん?どうしたユーマ。血相変えて。

なんかあったのか?」


ユーマは大慌て、雑誌をパラパラとめくり、

俺の前にある頁を指し示してみせた。


「こ、これ、お前だろ...!!」


「この漫画の主人公、完全にお前だろ...!」


「え?」


俺は視線を落とし、少しだけ読んでみることにした。


ホームルームまで時間がそんなにないので、

速読だったが、明らか、思い当たる節があった。


新人賞受賞作品

画力はまだまだだが、胸キュン必至などという

煽り文句がついた漫画だった。


作者名 真島 ミヒロ


ずばり、真島 マヒロではないが

やたらと似た名前。


そして、その漫画のヒロインの女の子は

地毛で茶髪のポニーテール女子。

もろ、マヒロだった。


それに加えて。


ヒロインが想いを寄せる男が、

美術部で、歳の離れた妹がひとりいて

更に身長173センチで血液型O型って、、


まさしく俺。


結末はどうなってる?と思って

急いで最終頁をめくって見た。


ハグしてからの、キスで終わってた。


「マヒロちゃん、おまえのこと、

好きなんじゃね??」


そう言うユーマに、

俺は胸が高鳴った。


俺は思わず、席を立ち、


「ユーマ、俺、ちょっとマヒロのとこ

行ってくる!!」


マヒロとは違うクラスで。

俺はすぐ隣のクラスに顔を出して、

壁際にいた女子に

窓際の一番うしろに腰掛けてるマヒロを呼んでもらった。



「何か用?早くしてよね?

もうじき、ホームルーム始まるんだからさ!」


「漫画...」


「え?」


「漫画ざっとだけど、読んだよ。

おまえ、もしかして、俺のこと、す、、、」


ここまで言いかけたら、

マヒロが、俺の口を手で塞いだ。


それからこくりと頷き、


「あの漫画に描いてある通りよ」


と言ってのけた。


やがて。


キーンコーンカーンコーンと

チャイムが鳴ってしまったので、俺は

急いで教室に戻る前にマヒロに言った。


「今日、一緒に帰ろ!!」


「いいけど、美少女の生徒会長、ユーコと

帰るんじゃないの!?」


怒った顔で言われた。


「ちゃんと断わる!!」


俺の言葉に。


マヒロはフッと笑顔になった。


さて。


昼休み。


俺はユーコのいるクラスへと向かった。


俺のクラスの隣の隣。

廊下に呼び出すと、やたらと上機嫌だった。でもすぐに顔色を変えたけど。


「なぁに?山吹くん??」


「あのさ、俺、やっぱり君とは

付き合えない」


「なんで?」


「幼馴染のことが好きだから。

際どいイラストを平気で描いちゃうくらい

大好きだから」


「......」


ユーコは無言だった。


「じゃあさ、私と別れるってこと?」


「う、うん」


「じゃあさ、やばいイラスト、

コピーしてばら撒いてもいいってこと?」


「それは良くないけど...」


俺は唇を噛み締めていた。


かなり困っていたんだ。


「しないよ。ばら撒くなんてことさ。

はいこれ。返したげる」


ユーコは俺に手帳を差し出した。


「私がそんなことしたらさ、

山吹くん、私のこと、大嫌いになっちゃうでしょ?だから、やめとく」


「私のこと、嫌いになって欲しくないから

ちゃんと返す」


俺は手帳を受け取った。


そして、


「ありがとう」と小さく言った。



「あのさ」


「ん?」


「絵のモデルが欲しかったらいつでも言ってよ。私、山吹くんのためなら、脱いじゃうからさw」


俺は真っ赤になった。


「あ、いや、当面、裸婦の

絵を描く予定はないからっ!」


そしてくるり向きを変えて足早に立ち去ろうとしたんだ。


そしたら。

背中に声を受けた。


ちょい、悲しげな声。


「幼馴染と別れたら、いつでもいいから、私のとこにきてよねっ!!」


俺は取り敢えず、振り返った。


そして、とりま、頷いておいたんだ。


この日の放課後。


俺はマヒロと帰った。


「マヒロ、おまえさ、言っちゃ悪いけど絵、

あんまり上手くないよな?」


「うん。だから、画力はまだまだって

書かれてたね」


「それでさ。提案なんだけど...」


「俺が、漫画描いてやってもいいぜ」


「え、ほんと!?」


「ああ」


俺が何故、こんな提案をしたかって言うとだな。


マヒロといっそう親密になれると思ったからに

他ならない。


「原作はおまえがやるだろ。

そんでもって、作画は俺。

最強タッグだと思うんだ...!!」


マヒロは目をキラキラさせた。


そして、言ったんだ。


「それ、いいね!!」って。





















良かったら星くださいませ。

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