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huntingーハンティングー  作者: Lotus
【STAGE1】
6/13

【STAGE2】 戻らぬ日常 謎は深まる


6/17 AM7:00


ピピッピピッピピッ


清々しい日差しが俺の顔を照らした。


バッ


目を覚ました俺は勢いよく上体を起こし、すぐさまスマホを手にした。

日付を確認すると同時に「hunting」を開いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ニックネーム「アラタ」

【STAGE2】


スキル「洞察眼」


成績

6/15ー「STAGE1"魚"」生存者なし:ゲームオーバー

6/16ー「STAGE1"蛙"」生存者2名 :ゲームクリア


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まず、俺の目入ったのは「ゲームクリア」の文字だった。


「クリア...」


安堵が一気に込み上げてきた俺は無意識に涙を流していた。


「あらたー。起きてるのー?」


そう言いながら母は俺の部屋に入ってきた。


「え?ちょっと、何泣いてんのよ?」


普段涙など流さない息子が突然そんな状態なのだ。

母もかなり驚いていた。


「母さん!結婚記念日はいつ!?」


「え?きょ、今日だけど...。どうかしたの?」


「今日...」


それだけを聞くと俺は理解した。

ゲームをクリアしても変わってしまったことは元には戻らない。

クリアしても、何かがまた変わってしまっている可能性があるという事を。


「そっ...か。そうだよな。」


「朝から何言ってんのよ。早く準備して学校行きなさい。」


そう言うと母は俺の部屋を後にした。


俺は制服に着替えると朝ご飯も食べずに家を出た。


学校へ着き、自席に座ると友人がやってきた。


「あらた。おはよー。」


「おはよ。...なぁ、昨日、話したゲームの事覚えてる?」


「ん?あー、なんてったっけ?えーっと...


「ハンティング。」


「そうそう。覚えてるよ。それが何かあったん?」


「いや、覚えてるならいい。」


「なんか、今日もそうだけど、昨日からお前変だぞー?」


「気にしないでくれ。」


首を傾げる友人は「まぁ、いいか!」と言うと

いつも通り、くだらない話をし始めた。

そして、時間が来ると自席へと戻って行った。


授業中も色々な事を考えていた俺は授業が頭に入って来ることは無かった。


授業が終わると休み時間の間は俺の事を色々な人に聞いて回った。

皆に不思議がられたがそんな事を気にもしていなかった。

自分の身の回りの変化を少しでも知っておきたかったのだ。

幸いにも1つも変化は見られなかった。

これはゲームをクリアした場合は変化しないという事が証明された。


キーンコーンカーンコーン


学校が終わるとすぐさま家に帰り、私服に着替えた俺は財布とスマホだけを手にすると家を出た。

数分後、俺はとある一軒家の前にいた。


ピンポーン


インターホン越しに要件を伝えると家の中に招かれた。


「あらたが急に泊まりたいなんて言うとは思ってもみなかったよ。まぁ、座ってよ。」


「悪いな。どうしても確かめたいことあって。」


そこには友人のタクトがいた。

そう。ここはタクトの住む家なのだ。


「んー、まぁ、とりあえずゲームする?」

そう言うとタクトは俺にゲーム機のコントローラーを渡してきた。

気分転換にもなる。そう考えた俺はゲームをすることに決めた。


それからはゲームに没頭し時間が過ぎた。

時計を確認するとPM7:43だった。


そろそろか...。

俺は握っていたコントローラーをその場に置いた。


俺の考えが正しければPM7:45に眠気に襲われ、その15分後にゲームが始まる。という1つの仮説があった。

これはゲームがあった2日間から推測したものだ。

今日はその瞬間を誰かと一緒に過ごすとどうなるのかを確かめに来たのだ。


ピピッ

俺の腕時計が時間を知らせた。

あらかじめセットしていたタイマーはPM7:45だ。

さぁ、どうなる!







「あらた、もぉ、ゲーム飽きちゃった?」

耳に入って来たのはタクトの声だった。



眠気も一切感じない。

今日はゲームが始まらないのか?

もしかしたら、毎日ではない?

ゲームは終わったのか?


一瞬にして様々な疑問が頭の中や駆け巡った。


「え、いや...。悪い。今日は帰るわ。」


「え?泊まっていくんじゃなかったん?」


「悪いな。」


そう言い残し、俺はタクトの家を後にした。



「今日はもぉ帰ってゆっくり眠ろう。」


俺は自宅へ向かう帰り道にほとんど寝ていないことに気が付いた。

いや、実際は寝ているのかもしれないが。

もしかしたら、身体だけあの校舎に移動しているのかもしれない。

まだまだ、このゲームには謎が多すぎた。


「ただいまー」


返事もなく、静まり返った家。


「あぁ、そうか。今日は帰らないんだったな...」


別に寂しくはない。

17にもなって親が1日いないくらいどうって事ない。

ただ、俺の周りに誰もいないこの風景が毎日にならなければいい。


風呂に入りながらも俺の頭の中はゲームの事でいっぱいだった。


もし、まだゲームが続くのなら、

ゲームをクリアしないと、いずれ、俺は...。



考えるのも嫌になった俺は、風呂から出ると

そのままソファーに横になり眠りについた。




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