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huntingーハンティングー  作者: Lotus
【STAGE1】
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【STAGE1】「ターゲット"蛙"」 ゲームクリア


3人は机の下に身を隠し、息を潜めた。


ペタッペタッペタッ


偶然なのか、俺達のいる部屋の前で足音が止まった。


ツーッと額から汗が垂れる。


次の瞬間、


ドンッ ガシャーンッ


一瞬の出来事に何が起こったのか理解する事ができなかった。


入口の扉が破壊され、

周辺の机や椅子が辺りに散らばっていた。


幸いにも俺達3人が隠れている机は無事で

そのまま身を隠していた。


ゲロッゲロッ


入口付近から"蛙"の声がする。

俺は見つからないようにそちらの方を覗いた。


そこには、

体長おおよそ1メートルくらいだろう。2足歩行で立ち、

体は全身黄緑色。大きな目を左右バラバラに動かし、キョロキョロと俺達を探している"蛙"がいた。


息を殺し、ひたすら耐える。そうすれば、すぐにヤツはいなくなる。

そう願いながら俺達3人は身を隠していた。


だが、その願いは叶わなかった。


ドンッ


"蛙"が俺の隠れている机の上に大きく跳ね上がり乗ってきたのだ。

下を覗き込もうとする"蛙"。


殺される...。


そう覚悟した瞬間、


カランッ


バッ


ミナミの隠れているあたりから物音がし、

"蛙"はそちらの方に振り返った。


ドンッ


また大きく跳ね上がった"蛙"は今度はミナミの隠れている机の上にいた。


"蛙"が下を覗き込もうとした時、


「嫌ぁぁぁあああ!!」


恐怖に負けたミナミが部屋の出口に向かって走り出した。


ゲロッ


自慢の脚力を利用して飛び上がった"蛙"はミナミの背中に抱きつき、おんぶ状態になった。


「嫌ぁぁぁあああ!!離し


ゴキッ


ミナミが全てを言い終わる前に

ミナミの首は180度回転していた。

"蛙"が両手を使い、ミナミの首をへし折ったのだ。


その場で崩れ落ちるミナミの身体。


"蛙"は何も無かったかのように

こちらへ向かって歩いてきていた。


ガクガクと震える体をどうにか押さえ込み、

何かないか?何かないか?と辺りを見回し、思考を張り巡らせた。


ん?


あるものが俺の視線の先に入った。

入口横に置いてあるロッカーが少し空いているのに気が付いたのだ。

そのロッカーの隙間から普段なら目にすることのない物が少しだけ見えた。


あれなら、ヤツを殺せるかもしれない。


そう確信したが、ロッカーまで5メートルという距離があった。


ペタッペタッ


近づいてくる"蛙"。

見つからないでロッカーまで辿り着くのは不可能だった。


ドンッ


"蛙"が飛び上がり机の上に乗った。

次に標的にしたのは翔太だった。


「うわぁぁああ!!」


机の下を覗き込んだ"蛙"によって見つかってしまった翔太は"蛙"を突き飛ばそうと両手を前に突き出したがその両手は"蛙"によって止めらた。


ボキッバキッ


翔太の両腕は逆方向へとねじ曲げられた。


「やめろ!!離せ!!」


きっと痛覚を無くしているのだろう。

痛みを感じている様子のない翔太は腕を掴まれながらも"蛙"に抵抗していた。


【今しかない!!】


ダンッ


そう思った俺は勢いよく立ち上がり、ロッカーへと向かって走り出した。


バッ


"蛙"も俺が走り出した事に気付き、翔太から両手を離した。


大丈夫!翔太が時間を作ってくれている!間に合う筈だ!


俺は無我夢中でロッカーに向かって走った。


"蛙"が飛び上がろうとした瞬間、


「くそぉぉおお!!」


翔太が折れた腕、つまり肘から下が

ぶら下がっているだけの手で"蛙"にしがみついた。

翔太は俺の動きを見ていたのだ。


ゲロッ


ブンッゴキッ


"蛙"は手を振り、翔太の首に当たると、いとも簡単に翔太の首は鈍い音をたてへし折られた。


だが、その一瞬だった。その一瞬の隙のお陰で

俺はロッカーから【あるもの】を取り出せたのだ。

その、【あるもの】とは普段目にすることのないもの。

"刀身が赤黒い日本刀のような刀"だった。


ドンッ


勢いよく俺向かって飛んでくる"蛙"。

口を大きく開け、気持ち悪い舌が丸見えだった。


俺は鞘から取り出した日本刀を大きく構えると、

タイミングを合わせ振り下ろした。



バシャッ


"蛙"は俺の目の前に

縦真っ二つに割れ、地面に落下した。


地面には蛙の血で水溜まりが出来ていた。


「はぁ、はぁ、はぁ、」


カチャッ


息遣いの荒い俺は手に持っていた日本刀を放し、

その場に膝を着いた。


その部屋は蛙やミナミ、翔太の血の匂いでむせ返るようだった。


ザザッザザッ


「STAGE1 クリア。おめでとうございます。」


無機質な機械音声がスピーカーから流れ始めた。


「ターゲット"蛙"の殲滅を確認致しました。生存者2名。今回、一定の条件を満たしましたので、【あらた】様にはボーナスが送られます。」


「......ボー...ナス?」


「ボー...スな...うはス...ア...とな...ま...


極度の緊張から開放された為か意識が朦朧としてよく聞こえない...。

全身の力が抜けその場に倒れ込んだ俺は意識を失った...。



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