【STAGE1】 ハンティングスタートです
「起きろよ!おい!」
「ん?」
俺は誰かからの怒鳴り声によって目を覚ました。
「やっと起きたか。」
「ですね。」
「これ、ど〜なってんの?」
寝ぼけている俺に様々な声が聞こえてきた。
すぐに目が冴えた俺は目を疑った。
「ここ...どこだ?ってか、俺、家で寝たよな?ってか、あんたら、誰?」
辺りを見渡すと見たことも無い3人組と
全然見覚えの無い場所に俺はいた。
「ってか、ってか、うるせぇんだよ!俺も聞きたいわ!」
そう怒鳴ってくるのは俺を起こした奴なのだろう。
金色の髪が特徴の背の高いイカつい男だった。
「怒鳴ってても解決しませんよ。ここは1度落ち着いて現状をまとめてみましょう。」
「あ゛ぁ゛?」
威嚇と同時にイカつい男はもう1人の男の胸ぐらを掴み取った。
もう1人の男はメガネを掛けた、いかにも好青年です!という感じだった。
「そうだよ〜。まずは自己紹介しよ〜?私はミナミで〜す。宜しくね」
ぶりっ子全開のポニーテール女が話を割って入ってきた。
女に言われたのが効いたのかイカつい男は少し冷静に戻っていた。
「......チッ。......俺はタツヤ。飯田達也だ。」
「僕は笹川翔太といいます。あなたは?」
メガネが俺に話しかけてきた。
「俺は沖田新。あらたと呼んでくれればいい。」
とりあえず、全員の自己紹介は終わったところで
「...全員、高校生ですよね?それにここは校舎......のようですが。」
「...そうみたいだな」
周りを見渡せば、夜のため暗く見ずらいが確かにそこはどこかの学校の玄関だった。
ここにいる4人とも種類は違うが全員が制服を着ていたため、一目見れば高校生と分かることが出来た。
「えー、でも、私はここ知らないよ〜。」
「俺も分からねぇな!おい!そこのお前は?」
タツヤが俺を睨みながら聞いてきた。
「...知らない。ってか、"あらた"な」
「あ゛ぁ゛?」
タツヤがまたしても胸ぐらを掴みに手を伸ばそうとした時、
「聞いてください。」
翔太が割って入った。
「扉...。ビクともしないですね」
校舎玄関の扉を手で押しながら翔太は答えた。
「あ゛ぁ?嘘だろ?冗談言ってんじゃねぇよ!」
扉に手を添える翔太の肩を突き飛ばし、タツヤは自分で扉に手を差し伸べた。
ガチャッガチャッ
「開かねぇ...」
「でも、見て?鍵はかかってないよ〜?」
俺も確認したが、
確かに鍵はかかってないし、タツヤが嘘をついているようにも見えなかった。
「ぶっ壊してやる!」
そう言うとタツヤは近くに置いてあった消化器を手に取ると
思い切り扉に向かって投げつけた。
ガンッ
「嘘...だろ?」
そこにいる全員が驚いた。
扉はガラス作りなのに消化器をぶつけても傷一つ付かなかったのだ。
「...出られないってことか」
俺は1人呟いた。
すると次の瞬間、
ザザッザザッ
ノイズ音と共に
「STAGE1が始まります。皆さん準備をしてください。ターゲットは【魚】です」
「今回の制限時間は1時間となります。それでは、ハンティングスタートです」
ザザップツッ
無機質な機械音声が校舎備え付けのスピーカーから流れ、その後に電源が落ちたような音がした。
「ステージワン?サカナ?意味わかんねぇよ!」
「......制限時間とも言ってたな。」
「何が始まるんでしょうね?」
「え〜、やだ〜帰りたい〜」
各々が好き勝手に口を開く。
当たり前だ。みんな混乱しているのだ。
「ハンティング...」
俺の頭の中には1つの疑問が浮かんだ。
もしかしたら、あのゲーム....。
「...何か知ってるんですか?」
「ん?あぁ、思い当たることなら...お前らは、
ヒタッ
「!?」
全員が一斉に口を閉じ、同じ方向。玄関から繋がる廊下の奥に視線を移した。
「ね〜、なにか聞こえなかった?」
静まり返った校舎に確かに聞こえた......。何者かの足音が...。
ヒタッヒタッ
少しずつこちら側へ近づいてきている。
「なになになになになになに!?」
パニックに陥るミナミ。
「落ち着いて下さい。きっと大丈夫です。」
ヒタッヒタッヒタッヒタッ
少しずつだが確実に近づいてきている。
複数の足音にも聞こえた。
「...俺が...見てきてやるよ...。」
「やめとけ。」
そう制する俺を無視して、タツヤは足音のした方へと向かって歩いていった。
「ねぇ...大丈夫...だよね?」
俺と翔太の服を力いっぱい握りしめているミナミは今にも腰が抜けそうになっていた。
「ぎゃぁぁあ゛あ゛あぁぁ」
「!?」
静まり返った校舎に突然響き渡る断末魔とも取れる悲鳴。
「なにが!?なにがあったんでしょう!?」
「きゃぁぁぁぁ!!」
「おいおいおい!マジかよ。」
俺含め、玄関にいた3人は物事を理解することが出来ずにいた。
ヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッヒタッボキッバキッ
さっきよりも近い。
それに何かを砕く?音も聞こえる。
ヒタッ
腰が抜けて動けなくなってしまっているミナミ。
足が笑ってしまって立っているのがやっとな翔太と俺。
そんな俺達の前に"ソイツ"は現れた。