【序章】huntingインストール完了
この小説にはグロテスクな表現が含まれております。
ご了承の上、ご覧下さい。
6/15 PM8:23
ポタッ.........ポタッ.........。
静かな暗い校舎に水滴が垂れる音だけが響き渡っていた。
ザザッザザッ
「STAGE1ゲームオーバー。ハンティング失敗です。次回は頑張ってください。」
プツッ
静まり返った校舎に備え付けのスピーカーから無機質な機械音声が流れた。
時間は少し遡り、6/15 AM4:05
【You lose】
「チッ!くそっ!今の有りかよー」
俺は自室のベッドに横になり、舌打ちと共に独り言を呟いた。
両手には横画面にされたスマホが握られており、画面には人気ゲームが開かれていた。
「くそっ!」
両手から離れたスマホは枕へと強く叩きつけられた。
「なんか、FPS系も飽きてきたなぁ...」
そう呟くとまた1度スマホを握り、新しく始めるゲームを検索した。
「......ん?なんだこれ?」
俺は、1つのゲームに目を奪われた。
【huntingーハンティングー】
それはサンプルゲーム画像も何も無く、ただ黒い背景に赤文字でタイトルが書いてあるだけのものだった。
俺はゲーム説明を読むと一気に興味が湧いてきていた。
【ゲーム説明】ーーーーーーーーーーーーーーーー
校舎を舞台とし、仲間と一緒に敵を殲滅しよう!
ステージは1から5まで!
個々の「スキル」を活かしてクリアを目指せ!
少ないからと言って侮ってはいけない!
その難易度......超激ムズ級!!
あなたはこのゲームをクリアすることが出来るのか?
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「超激ムズかぁ」
難しい事には挑戦してみたくなる性格な俺。画像も無くどんなゲームかも分からないが、そこも面白い。
俺は、このゲームをインストールすることに決めた。
近日提供予定であった為、その日は事前予約だけで終わってしまったが...。
「まぁ、ちょっとした楽しみにして今日は寝るか」
俺はスマホをベッド横の机上に置くと瞼を閉じた。
これが悪夢の始まりになるとは今の俺は想像もしていなかった......。
6/15 PM7:00
ピピッピピッピピッ
「んぁー」
目覚まし時計の音を頼りに俺は大きなあくびと共に目を覚ました。
「起きてるのー??あらたー?学校遅れるよー?」
階段下から母の大きな声が寝起きの俺の頭中を叩く。
「起きてるよー!!今、降りるよー!」
俺は制服に着替え、母のいる一階に向かった。
「母さん、明日の夜はいないんだっけ?」
朝ごはんの食パンを口にしながら俺は尋ねた。
「ごめんねー。父さんと少し出掛けてくるからね。夕飯は作っておくから。」
「いいよ。結婚記念日なんだし楽しんでおいでよ」
そんな会話をしながら食パンを食べ終えた俺は支度をして家を出た。
いつもと同じ時間。
いつもの通学路。いつもすれ違う同じ人。
毎日がつまらない。そう思うことさえある日常だ。
自分の通う高校へ着くと自分の席へ着く。
そして、決まった友人が俺の所へ来て、くだらない話をする。
これも毎日同じだ。
2年も同じ学生生活をしてると飽きも来る。
(つまらないなぁ)
俺は自分の席でそんなことを考えていると、友人が今日も俺の所へ近づいてきた。
「あらた。おはよー。」
「おはよ。」
「あのFPSどう?面白い?」
この友人はよく俺にゲームを紹介してくれる。
昨日までしていたFPS系のゲームもこいつが教えてくれたのだ。
こう見えて、俺はゲーマーで大抵のものはクリア、もしくは上位ランカーに上り詰めてしまう。
「飽きた。」
「早くね!?」
「だって、すでに世界ランキング10位入ったし、昨日久々に負けたから引退する。」
「10位って、紹介してから1週間じゃん!負けて引退とか勿体ないなぁ。」
「それより、面白そうなゲーム見つけたんだよ」
見て見て。と言わんばかりに俺はスマホのゲーム検索画面で「hunting」と調べ始めた。
「あれ?」
「どしたの?」
「無いんよね...」
「何が?」
「ゲーム」
そこには検索結果が見つかりませんでした。と出ているだけで「hunting」を見つけることが出来なかった。
「寝ぼけてたんじゃね?」
「んー、そうかも」
納得いかない俺だったが、確かに遅い時間だったし寝ぼけていたのかもしれない。
そう思った。
キーンコーンカーンコーン
チャイムと同時に今日もつまらない学校が始まった。
時間が経ち6/15 PM4:00
キーンコーンカーンコーン
今日も学業の終わりを告げた。
「あらたー。カラオケでも行こうよ」
「んー、いいよー」
友人と2人でカラオケを楽しんで
PM6:00頃に別れを告げ、お互いは自宅へと向かった。
ピコンッ
「ん?」
自宅へと向かう途中、俺のスマホが何かを知らせた。
俺はすぐにスマホを手に取ると中身を確認した。
「あれ?インストール?」
そこには検索しても見つからなかった「hunting」がインストールされたという知らせだった。
すでに忘れていた俺は(今更かよ...)と思いながらも「hunting」を開いてみた。
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人数が集まりましたので配信させていただきます。
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画面には黒の背景。赤文字で書かれたこの文字だけが映し出されていた。
どこを押しても反応はなく、何度開き直しても同じ画面を繰り返すだけだった。
「なんだこれ?バグってるのか?」
俺はスマホをポケットへとしまうと
また自宅へ向かって歩き始めた。
自宅へ着き、家族と夕飯を食べ終わると
何故か急激に眠気に襲われていた。
着替えもせずにベッドへと横になった俺は
重くなった瞼をゆっくり閉じた...。