1日目:No side
「おはー」
「ちっす」
「ねむ……」
締まりのない会話。
纏まらない会話と噛み合わない会話はもはや3人の芸。
「えーお早いお集まりで〜…………じゃない、お日柄も〜……………………」
「あの、大喜利してるんじゃないんだよ???あと麗奈は起きて!!寝るなぁ!!」
「…………ハッ」
「とりあえず……2週間?
頑張って生きていこう…えいえいおー」
「おー」
「おー……?」
彩乃は密かに頭を抱えた。
「麗奈と彩乃、部屋どこがいい?」
「どこでもいいかな〜」
「私も〜…………ファ」
ぷくぷくと頬を膨らませては萎ませる彩乃と未だ半分夢の中で、辛うじて欠伸をした麗奈が交互に答える。
頬を膨らませては萎ませるのは、昔の癖であり、断じて可愛いを狙っている訳では無い。
「じゃあ私角部屋〜」
「じゃあその隣彩乃でいいんじゃない?」
「んー麗奈がそれでいいなら?」
「正直希が真ん中じゃなきゃどこでも?」
「何それ酷くない!?」
うるさいもんね〜と言い残して部屋に消える麗奈。
「…………じゃあ私真ん中で。」
「やった〜ママが隣〜!!!」
「ママは希でしょ!!!!」
荷物を部屋に投げ込んで、リビングに集まる。
「何する?」
「寝る」
「寝ません!!!」
「まだ8時でしょ?ちょっと部屋掃除して午後から必要なもの探しに行かない?」
さんせーいと麗奈が元気よく答えたので、希は念の為と持ってきたボロ布を2人に寄越す。
「希にしては用意周到じゃん」
「やるじゃん」
「もっとほーめて!!」
「調子に乗るのがあんたの悪いとこ」
ぺちりと希の頭をはたく。
希はへへへと笑うとキッチンの方へと駆けていった。
「じゃあ麗奈、私たちもやろっか」
「あーい」
もう随分と意識が起きてきたらしい麗奈はしっかりと返事を返す。
この様子なら大丈夫そうだと彩乃は安心して、家の中を見回りに行った。
麗奈が希が隣の部屋が嫌な理由
・希の声が大きくてうるさい事を知っているから。
「ママが隣」「ママは希」の意味
・希→高校時代、1泊2日の宿泊研修をした時に8人部屋を仕切っていた事から一部で呼ばれていたあだ名。
・彩乃→3人の中で最もしっかりしていて、よく「〜〜でしょ!」とママが言うような口調で咎めたことが多々あるから。希が茶化して彩乃を呼ぶ時のあだ名。