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0話:彩乃
それは唐突なことだった。
暫く忙しかった仕事が一段落して、上司に呼び出されて与えられたのは1ヶ月の休暇。
何だこのホワイト企業は。
大きな仕事をこなしたあとは先輩後輩、新人古株関係なく休みが貰えると上司が教えてくれた。
さて与えられた休暇をどう使うか。
帰りの電車に揺られながら、あれやこれやと想像を巡らせる。
ピコンと軽快な音。
緑色の某メッセージアプリについた1件の通知。
懐かしい名前からの通知。
「希」。
彼女らしい、敬語と平語が混ざりあった文面を目で追いながら、躊躇うことなく肯定の返事を返した。
「お久しぶりです。希です。元気ですか?
今麗奈と話してて、昔の約束、覚えてますか?
皆成人したからさ……よければしようよ、シェアハウス。
いつ空いてるか返事くれると嬉しいです。」