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4話 寮

「よしっ! 全員自己紹介を終えたな? えーっと後何かあったかな。

 ないよな? よし今日のところは終わりだ。

 各自寮へ移動しろ! これでホームルームを終わる!」


 そう言ってライラ先生は教室を出て行った。


「じゃあ早く寮へ行こうぜ!」


 ルークがこれから自分の暮らす寮のことが気になって仕方ないようでワクワクした表情を浮かべながら俺たちを急かしてくる。

 さて、どんなところだろう。

 これから卒業するまで寮でクラスのだから過ごしやすいといいな。


 少なくとも最低限の設備ぐらいはあってくれよとこれからの学園生活を送る寮がどんなところだろうかと期待に胸を膨らませながら寮に到着したのだが……


「マジかよ……」


「これはちょっと……」


「予想外すぎるな」


 俺ら3人は言葉を失ってしまった。

 めちゃくちゃデカイ建物で超高級そうで細部まで凝って作られたどこの貴族様のお宅ですか? というほどの豪華な寮だった。

 あっ俺貴族様だったわ。それも王の次に権力を持つ大貴族の息子。

 いやその俺でも言葉が出なくなってしまうほどの豪華な建物と言ったらどれだけのものかわかるだろう。


 しばらく呆気に取られていたがなんとか気を取り直して寮の中へ入った。


「うわすっげ」


 外も豪華だったが内装はそれ以上に豪華で俺は思わず感嘆の声を漏らしてしまった。

 一応俺も貴族の中の貴族、公爵家の人間なんだけどこれはヤバイ。


「あら? 新入生かしら? いらっしゃい」


 そこに何処からか声がかかりその方向へ首を回すと受付からおばちゃんがこっちに手を振っていた。


 どうやら新入生はここで名簿を確認して部屋番号を教えてもらい鍵を渡されるみたいだ。


「えーっとレイ君にルーク君、リズちゃんね……あったあったハイこれ鍵ね。

 部屋番号は鍵に書いてあるわ。

 無くしちゃダメよ?」


 すごく色っぽい声でそういうとおばちゃんは俺たちにウインクをしながら鍵を手渡した。

 これが綺麗なねーちゃんならもうハートを撃ち抜かれてたところだがおばちゃんだから「うん………」としか言いようがなかった。


「お前ら部屋はどこだった?」


「えーっと俺は205だな」


「私は213! ルークと近めだね!」


「は? 俺は802なんだが? 遠くね?」


 どうせなら二人に近い部屋が良かったのだが二人は2階で俺は8階だから遠い部屋を割り当てられてしまったようだ。


「クックックッレイ残念だったな!」


「うるせえ! お前らは2階だけど俺は8階だもーん。景色めっちゃいいもーん」


「馬鹿と煙は高いところが好きっていうよね〜」


「俺は煙じゃねえよ!」


「レイ……リズが言ってることはそっちじゃないと思うぞ……」


 ふざけながらも2階で二人とも別れ俺は8階まで行った。


「ゼェ……ゼェ……あら? 8階ってキツくね? 毎日俺こんなに疲れなきゃいけないの?」


 景色いいぞ〜と思ってたのが予想外の欠点を見つけてしまった……

 猛烈にあいつらの2階が羨ましくなってくる。


 だが気を取り直して自分の部屋を探すことにした。


 ガチャ


 おー個室の中もスッゲー。


 流石にフロントのように煌びやかな装飾があるわけではないがシンプルだがふかふかで寝やすそうなベッドに使いやすそうな机。

 綺麗なキッチンにシャワールーム。


 うん。ワンルームだけど広いし十分生活しやすそう。


「だけどまずは……」


 俺は部屋の真ん中に積まれた箱の山を見る。

 あらかじめ送っておいた俺の荷物だ。

 そこまで多いわけではないが整理するのは大変そうだ。

 後回しにはしたくないから早速俺は箱の中から荷物を出して整理し始める。


「えーっと『友達がすぐにできる本』に『コミュ障の治し方の書』、『友達100人できる本』……俺どんだけ友達欲しいんだよ……」


 出発前の俺は何を思っていたのか荷物の半数は本だった。主に友達の作り方が載ってる本。

 後は小物と俺はいらないと言ったのだが使用人が公爵家の人間として最低限持っておいて欲しいものとしていくつか物を詰め込んでくれていた。

 といっても公爵家に生まれながら好き勝手にほぼ野生で育ったようなもんだから豪華なティータイムセットとか使う機会ないと思うけどな。

 ……両親よく放任主義で育ててくれたな。

 そして……


「あったあった忘れてたらショックで寝込むとこだった」


 実家に置いてきた俺によく懐いてくれていた妹が別れ際にくれたどこからか拾ってきた綺麗な石。

 ほかの人から見れば価値がないものかもしれないが俺にとってはなによりも大事なものだ。

 その石を大切にしまい他の荷物を整理して片付けを開始し始めた。


「やっと終わった……」


 かなりの時間を費やしてようやく片付けが終わった。

 途中でルークとリズと3人で外へと昼を食べに行ったりして休憩を挟んだがとんでもない時間がかかった。

 もう疲れて仕方がないし腹が減った。


「ん?なんだこれ」


 そこで初めて机の上に置かれていた紙を見つけた。


「なになに? 寮生活の注意点? ほうほううん? 食堂は朝の7時から9時。夜の6時から8時? 昼は各自で食べること……」


 今何時だ? 7時半……

 あっぶね早く食堂に急がねーと!

 キッチンがあるから食堂で食べなくてもいいんだろうが貴族が料理作れるわけねーだろ!


 慌てて俺は食堂に行き料理を注文する。

 流石に時間ギリギリだからかルークとリズはいなかった。

 料理はこれまた素晴らしい出来でとんでもなく美味かった。

 あまりにも美味くて食い過ぎてしまい部屋に帰る途中の階段で吐きかけたのは内緒だ。

 部屋に戻った俺は入学式で疲れてしまっていたのか気づけばベッドの上で意識を手放していた。

 こうして俺の入学式は終わったのだ。

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