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第1話 破裂する内臓(1)

 目覚ましが鳴り、ヨシュビアは眠い目をこすりながら身を起こした。


「仕事かあ、行きたくないなあ」


 独り言を呟くも、それで仕事に行かなくて良くなることは無い。いつも通りに朝食を摂ると身支度を整えて職場へと向かう。

 季節は晩秋。日に日に気温は下がってきており、そろそろ雪が降りだすのではないかと思われる。


 ヨシュビアは再生医療の研究員であり、目を抉られたり足を切り落とされた動物の世話がその職場での彼の主な仕事である。

 ロッカールームで着替えてセキュリティゲートを抜けて研究室内に入ると、まずケージのウサギたちの確認だ。一匹ずつ体重を計り、血液を採取して検査器にかける。さらに排泄物を廃棄してケージ内の清掃をする。

 とはいっても、実際に清掃をするのはロボットだ。ヨシュビアはロボットの洗剤を補充して、集めてきたゴミをダストボックスに放り込むだけだ。

 ウサギたちも、生まれたときから毎日見ている清掃ロボットを今更過度に恐れたりはしない。近付いてきたら避けるということはするが、それ以上は特に反応しない。


「毎日早いな、ヨシュビア。ウサギたちは元気かい?」

「おはよう、ドミネア。ま、いつも通りだよ」


 この挨拶もいつも通りだ。毎日毎日、特に大きく変わりもしない毎日が繰り返される。


 もう二十年以上も前から、不安を煽るニュースでは絶えはしないのだが、石油は未だ枯渇する気配も無く、北極や南極の氷は健在だし、大型の隕石など落ちてきはしない。終末論が好きな者たちは、いつの時代にもいるものだ。


 多くの人はそう考えている。


 ヨシュビアや彼の同僚たちもまた、昨日までの延長の今日を過ごし、ありきたりの日常を過ごしていた。彼らの研究の完成はまだ何年か先になる見通しだ。その日まではずっとこの毎日が続くのだろう。

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