全ての始まり(前編)
放課後の屋上に二人で向かい合っている。
「私に用があるのよね?」
「は、はい!」
俺の中で、これまでに無い緊張が走る。
「何の話があるのかな?」
「それは……」
言葉が詰まって出てこない。
「用が無いなら私帰るわね」
「深澤さんの事が好きです! 付き合って下さい」
言ってしまった。深澤さんに告白したとバレたら、校内中の人達に冷たい視線が送られる事だろう。
こうなったのも全部あの約束のせいだ!
俺が教室で読書している時に、あいつはやってきた。
「新汰少し邪魔するぜ」
「イケメン君が俺に何か用か?」
「今日は冷たいじゃないか。怒ってるのか? いつもは名前で呼んでくれるのに」
「むしろ今日は気分がいいぞ。優空が振られた噂を聞いたからな」
「もう、あの噂出回ってんのかよ。ほんと、、情報網って恐ろしいよ」
優空は呆れた表情で言う。
「優空も深澤さんも注目の的なんだから仕方ないだろ? 俺がその辺の人に告白しても広まる事はないと思うぞ」
「ありがとう」
「何で感謝するんだよ」
「俺の事をイケメンと褒めてくれたんだろ?」
「褒めてねぇよ!」
実際、嫉妬するほどの顔立ちをしている。しかも、サッカー部の次期キャプテンと囁かれるほどにスポーツもできる。優空みたいな人がいるからサッカーがモテるスポーツだと思われるのだろう。
「それは良いとして、新汰は誰か好きな人いないのか?」
優空は珍しく真面目な口調で質問してきた。
「好きな人はいないが、気になら人ならいる」
「誰だよ?」
「教えて欲しいか?」
「もちろん。新汰のタイプ気になるし」
「教える代わりに、今日の昼食奢ってくれないか? 財布忘れて困ってたんだよ」
「それぐらいなら別に良いけど……ちゃんと教えてくれるんだろうな?」
「ちゃんと教える」
この約束が全ての始まりだった。




