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番外編 店員の迷走


明け方、私が勤めているコンビニに男子高校生の方が来店された。


私は深夜帯の四連勤の疲れに襲われダラけていた。そのため、男子高校生に対しやる気のない挨拶をしてしまった。こういう時、私は失敗したと思うのだ。だが、どうしても疲れに負けてしまう。そんな自分に反省していると、男子高校生が手ぶらでレジの前にやってきた。


その男子高校生は、微笑みながらドヤ顔でアイコンタクトを取り、次の瞬間、視覚からお札をドンとレジの上に置いてきた。


ドヤ顔でお札を出すものだから、一万円札かと思ったが、それは千円札だった。この男子高校生のドヤ顔は一体何だったのだろうか?


「この千円札をどうされるのですか?」


「何も持たず千円札を出すってことはあれに決まってるだろ?」


あれってどれだよ! 心の中でツッコミを入れる。三年ほどコンビニで働いてきたが、こんな客は初めてだ。


「あー! 揚げ物ですか?」


「違う」


揚げ物では無いのか……。手ぶらでレジまで来る人は大概揚げ物なのだけど。

後はあれもあるな。けれど、あれは男子高校生だから買えない。


「うーん。タバコを買いに来たんですか? それなら身分証明書のてい……」


「違う」


今度は言葉を遮っての否定をされた。しんどい中、こんな迷惑な客には付き合ってられない。早く答えを出して帰ってもらおう。


「もしかして、ギフトセットの購入ですか?」


「違う」


これも違うのかよ! そろそろ腹が立って来た。いくらお客様でも限界はある。否定されてきた記憶を思い返すと無性にイライラしてきた。眠いし、もう限界だ。


「こっちは眠い中、文句一つ言わず働いているんだぞ! 冷やかしならさっさと帰ってくれ‼︎」


怒りを少し発散する。男子高校生は驚いた表情を見せるが怯む様子はなかった。どうやら、まだ懲りてないようだ。また、何か迷惑をかけようものなら力尽くで追い払ってやると決心した。

その矢先に想像していない出来事が起こった。


「この千円札募金でお願いします」


今なんて言った?

募金と言ったような気がしたが……。


男子高校生は、嬉しそうに私に背を向けコンビニを後にした。

自動ドアが閉まる音を最後に、コンビニの中は静まり返る。


静かさの中で冷静さを取り戻し、私は新たな反省点を見つけるのだった……。

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