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序章
「付き合ってください」
右手を前に出し、腰を直角に折り曲げ、頭を深々と下げる美しいフォームで、彼は目の前の女性に告白した。
冴えない彼は、彼女いない歴=年齢という実績の持ち主で、恋愛とは程遠い人生を送ってきた。そんな彼が、女性に告白したのだから明日は雨が降りそうだ。
一方、女性はロングの黒髪を風になびかせながら驚いた表情など浮かべず、彼を上から見下ろす。女性が驚かないのは当然のことだ。放課後の屋上に呼び出しを受ければ、誰でも告白だと悟る。逆に告白でなければ、目を見開いたまま硬直するだろう。更に、この女性の場合は一味違う。学園で付き合いたい女性ランキング、可愛い女性ランキング、優しい女性ランキング一位と言う三冠の持ち主だ。そんな彼女からすれば、告白など生活の一部だろう。
これらの分析結果から、数秒後彼が膝から崩れ落ちることに千円かけよう!
「はい」
女性は恥ずかしそうに頬を赤らめ告白を承諾をした。
そこで、俺は録画を停止し、静かにテレビを消してからベッドに潜り込んだ。そして、一呼吸を置いてから思うのだ。掛け金千円にしといて良かったと――。




