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アスモデウスの秘密

ノーマ完全復活です。

序盤で退場させて、次の登場にここまでかかりました。

俺の首にかかっていたロケットが壊れ、小さな妖精が出現した。

その妖精が掌サイズの大きさになり、背中に美しい透明な羽根を広げる。

ノーマの完全復活だ。


「お前・・・どうして・・・そんな男の首にいた?」


アスモデウスがノーマを見て、やや恐怖が混じった声で聞いた。

下ろしていた腕がぴたりと止まる。


「ん?アスモデウスじゃないの?何やってるの?というか、此処はどこよ?」

「ダンジョン第10階層だ。そしてアスモデウスはダンジョンマスターだ」


俺がノーマに教えると、ノーマは俺とエリーが横たわっているのに気付いた。


「ヒデキ!!ついでにエリー!!」

「ついでにとは何よ!!」

「人の事をペチャパイとか言うからでしょ!!せっかく寝ていたのに、悪口で起こすからよ!!」

「やっぱり!!あなた・・・完治していたのに寝ていたわね!!」

「うっ!?・・・そ、そんな事より、今はそれどころじゃないでしょ!!」


こいつ、誤魔化しやがった。

やっぱり寝ていたのか・・・

ナナシの言った通りだったな。


ノーマはエリーに突っ込みを入れられ、誤魔化してアスモデウスを見た。


「アスモデウス・・・あんた・・・ヒデキにちょっかい出したわね?エリーは別にいいけど・・・ヒデキに手を出すとは、いい度胸してるわね・・・」


ノーマが透明の羽根を震わせ、ふわりと俺の顔の横に飛んで来て着地する。

同時に俺の頬にノーマが触れると、いきなり力が戻り、俺は起き上がる事ができた。

続いてノーマがエリーに触れると、エリーも上半身を起こす。


「魔力が戻った!?ありがとう・・・」

「緊急事態だから、サービスしてあげたわよ・・・さてと・・・アスモデウス・・・」

「お前・・・ノーマと呼ばれているのか?自分で名乗っているわけでは・・・」

「そうよ!!ヒデキがつけてくれた名前よ!!」

「その男が名付け親だと・・・」


あれだけ俺達を圧倒していたアスモデウスが、ノーマの呼びかけに対して怖気づいている。


「さてと・・・アスモデウス・・・どうする?戦ってみる?私と?」


ノーマはゆっくりと浮かび上がり、アスモデウスに向かって飛び、10センチ手前で着地した。

アスモデウスを見上げるノーマ。


「・・・お前が俺に何かすると、そこの男達が・・・うっ!?」


再び下ろそうとしたアスモデウスの右腕が、ピクッと動いて痙攣した。


「私がそんな事を許すと思うの?相変わらず甘いわね!」


どうやらデトレフさん達の命を奪おうとしていたアスモデウスの動きは、ノーマが既に封じていたようだ。


「今、ここであなたの弱点を言っても良いのよ?さあどうする?」

「うっ!?」


アスモデウスの身長が30センチほど・・・その半分の身長にも満たないノーマに威嚇され、完全に怯えていた。


「仕方ない・・・ここは引き下がろう・・・あなた達帰っても良いですよ」


やれやれと肩をすくめ、アスモデウスはあきらめ気味に言った。


「何を上から目線で言っているのかしら?私達が引き上げてあげるのよ!!出す物出しなさいよ!!」

「な、何を?」


ノーマが凄い迫力で迫った。

まるで追いはぎみたいだ。


「あんた、ダンジョンマスターなんでしょ?ダンジョンコアを差し出しなさいよ!!」

「うっ!!そ、それは・・・」


ノーマが手を差し出すと、アスモデウスは一歩後に下がる。

だが、観念したように右手に握りこぶしを作り、そして開く。

掌には、漆黒の球が乗っていた。

あれがダンジョンコアなのか?

丁度パチンコ玉くらいの大きさだ。

ノーマは無造作にアスモデウスの掌からその球を摘み取った。


「ふん!!じゃあ行って良いわよ」

「くっ!!まさかお前が・・・ここにいるとは・・・」

「運がなかったと思うことね」

「ああ、そうだな・・・さて、魔王様におしかりを受けに戻るとするか・・・皆さん!!ノーマがそちらにいる限り、もはやお会いすることはないと思いますが・・・」

「うだうだと長いわよ!!」

「お達者で!!」


アスモデウスは貴族の礼をすると、一瞬で姿を消した。

エバートンも含め、皆が呆然としている。

エバートンの呆けた顔を初めて見た気がする。


「・・・終わったのか・・・」


誰とも無く呟き。

全員が安堵のためをついた。

歓声は上がらない・・・ただ安堵のため息だった。


「ヒデキ殿、そのハイピクシーは?」


エバートンが一番先に通常運転に戻り、俺にノーマの事を聞いてきた。

俺の所へダンジョンコアを持って来て、ノーマは俺の肩にちょこんと座っている。


「ノーマと言います。サテラ大草原で出会い、名前は俺がつけました。」


俺は肩に止まるノーマを見て言った。


「サテラ大草原で透明スライムに捕まって、消化されかかっていたところをヒデキ様に助けられたのです!!」

「よけいな事を言わないでよ!!」


エリーの暴露にノーマが顔をしかめた。


「なるほど、エリー殿と同じくサテラ大草原で・・・ノーマ殿、何故アスモデウスは、あなたに従ったのですか?」

「ん?あなたは誰?」

「これは失礼を!ノーマ殿。私はエバートン、ガウラン辺境伯の参謀を務めています」


エバートンはノーマに貴族の礼をして敬意を示した。

一瞬でノーマの機嫌が良くなる。


「あら、そうなの?まあ良いわ。あなた達、アスモデウスに手も足も出なかったでしょ?あいつは自分自身に呪いをかけているのよ」

「呪い?ですか?」

「そう、自分より小さい者には勝てないけれど、その代わり自分より大きな者には必ず勝てる呪い。そのために自分の身体を極限まで小さくしたのよ。収まりきらない殺気や魔力が身体から漏れ出て、すごかったでしょ」

「なるほど・・・自分に呪いを・・・あの身長ならば、自分よりも小さい知性のある存在はハイピクシーぐらいしか存在しない。だが、何故ノーマ殿はそれをご存知なのですか?」


確かにそうだ。

アスモデウスだってこの秘密を簡単にばれるような事はしないはずだ。


「500年前にあいつが自分に呪いをかけるところを見ていたからよ」

「簡単に見られる場所で、そのような魔法を?」

「当然人払いの結界を使って、知性ある存在は誰も入ってこれないようにしていたわ」


それを聞いてエリーがちゃちゃを入れた。


「ああ、ノーマに知性はないから・・・」

「失礼ね!!私は最初から結界の中にいたのよ!!アスモデウスが自分に呪いをかけたのは、サテラ大草原だったから!!」

「人間界で呪いを?」

「そうよ。魔界では隠すことができない強力な呪いだったから」

「それで、呪いをかけ終わった後にノーマ殿を見つけた?」

「ええ、ピクシー達と一緒にいたから、私もピクシーだと思っていたみたい」

「何故自分よりも小さい者には勝てない呪いだと?」

「ハイピクシーに1000年以上前から伝わっている呪いだからよ。禁呪だから、めったに使う者はいないけれど、4500年前に一度使った者がいて、世界を滅ぼしかけた。100万の軍隊も、世界を統べると言われていたドラゴン・ロードさえ打ち滅ぼされた。私達の先祖がその禁呪を使った魔族を倒した。そういう訳」

「なるほど・・・だからアスモデウスはノーマ殿に逆らえなかったと言うわけですな」

「そう」


珍しくノーマが真面目な話をしたので、少し面喰う。


「だけどダンジョコアをノーマに渡さなくとも、逃げ帰るだけなら出来たんじゃないのか」

「逃げようとしてたわよ。私が邪魔していただけ」

「でかしたぞ!!ノーマ」

「私ならこの程度、楽勝よ」

「で、ひとつ聞きたいんだけど・・・」

「何?何でも聞いてよ」


俺はノーマをおだてておいて、核心をつく。


「お前、実はかなり前に羽根も含めて完全復活していて、ただ寝ていただけだよな?」

「うっ!!ち、違うよ!!さっきギリギリで目覚めたんだよ!!いやあーあ危機一髪だったよね!!」


やはり目覚めていて、惰眠を貪っていたらしい。

困ったヤツだ。

だが、助かった事に変わりは無い。

なるほど、ノーマが目覚める事が全滅を防ぐ道なのは、これで納得だ。


俺とノーマが話している間に、エバートンがホットラインをガウラン辺境伯へと繋いでいた。


「エバートンです。ダンジョン攻略終了いたしました」

「うむ、ご苦労!!すまぬが急ぎ帰還してくれぬか?」

「何か火急な出来事が?」

「王都が落とされた。国王は、今こちらへと敗走中だ!!」



あっけないと思われた方、申し訳ありません。


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