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魔族の正体

本日、今から外出しなければなりませんので、先に投稿します。

いつもにも増して、誤字脱字ありましたら、ご容赦下さい。

ドーナツ状になり、9人の上位魔族を巻き込みながら、竜巻は時計周りに回転し続ける。

攻撃魔法は消えることなく上位魔族達を攻撃し続けた。

上位魔族達は攻撃魔法をレジストしながら、竜巻の渦から抜け出ようとしたが,全ての行動が無駄に終わっていた。


俺は闇魔法だけを集めたフォルダを呼び出し、追加で闇魔法を連続して、竜巻に乗せた。

他の者たちも、攻撃魔法を間断なく打ち込んでいる。

最早、竜巻の渦の中は真黒な渦に派手な放電が終始起こり、太陽のフレアのような炎が時折噴出していた。

その渦の周囲にはプラズマが絶えず発生して、誰も近づけない状態だ。


「エバートン参謀、たしかこの魔法は事前に打ち合わせしていた戦略に入っていましたよね?何か書き込みを加える必要が?」


俺は数十種類の攻撃魔法の渦を見ながら、エバートンに尋ねた。

エバートンは暫く沈黙し、


「最初の魔法陣には、時間制限があったのです。もちろん3人の上位魔族には充分な時間ですが・・・まさか上位魔族が9人もいるとは予想外でした。ですから半永久に攻撃が続けられるように、術式を組み直したのです」

「なるほど・・・理解しました」


理解はしたが・・・半永久とか、この短時間に可能な事なのか?

想像もつかない。

色々考えて、すこし偏頭痛がして来た頃、黒い渦の周りの空間が歪み始めた。

どうやら空間そのものが耐え切れなくなってきたようだ。


「エバートン参謀、この魔法はいつ止まるのですか?」

「・・・ああ・・・空間の歪みが気になりますか?大丈夫です。渦の中の魔族が滅びたら、止まるようにしてありますから」


エバートンは、当たり前のように言った。

そのすぐ後だった。

いきなり黒い渦が消滅したのだ。


「あ、終わりましたね」


エバートンは、まるで練習試合が終わったように、簡単に言った。

渦が消えた後には、9色のドレスも跡形もなくなり、ただ漆黒の灰が9つの塊としてあるだけだった。


「・・・・・・」

「勝った・・・のか?」

「勝った?」

「勝ったの?」


周りから呟きが聞こえ始める。

俺が地球にいた頃に読んだギャンブル漫画のような「ザワ、ザワ」というざわめきが広がってゆく。

そのざわめきが徐々に大きくなり、ついに爆発した。


「「「うぉぉぉぉーーーー!!!」」」

「「「勝ったぞおぉーーーー!!!」」」


皆の声が轟音になって響き渡った。

それが歓声に変わり、ようやく収まった頃、


「見事な魔法陣術式だった」


静かなったこの空間に声が響いた。


「何だと!?」


皆が周囲を見回すが、誰もいない。

暫くすると漆黒の灰の塊が、全てもぞもぞと動き出し、一塊になって大きな丸い球になった。

その球体に9つの突起が生え、9人の上位魔族の上半身に変形した。

その上半身は全裸なので、ドレスはなく、髪の毛の色のみが違いを教えている。


「喜びの絶頂だったようだが、すまなかった。これから本当の我の姿を見せてやろう。この姿を見たものは、人間では誰もいない。光栄に思うが良い」


9つの魔族の上半身は再び変形を始め、同時にその土台となっている球体にも変化が現れ始めた。

9つの上半身は、両手が身体に、髪が頭に同化し、そして口は大きく裂け、鋭い牙が生えそろう。

球体にがっしりとした4本の足と大きく長い尾が伸び始めていた。


そして唖然としている俺達の目の前には、太い四肢と長い尾、9つの首を持つ、巨大な虹色のドラゴンがいた。


「レインボー・ヒュドラ!!」


エバートンが珍しく驚きの声を上げた。


「そう!!これが我の真の姿だ。お前達、ここへ来るまで戦った相手がドラゴンとその眷属だったのに、守護者が魔族とは、おかしいと思わなかったか?」


おっしゃる通りだが、そんな事を考える余裕がある訳がない。

お前ら9つに分かれていた時、完全に個性があったよな・・・どうなっているんだ?


「首を9つに分けていると好き勝手して困る時が多いのだが、今回は本気を出さないと言うことは、皆守ったな」


俺の疑問を読み取ったような答えだった。


「だが、もう力を抑える必要はない。一度勝利を確信した後に覚える失望感・・・これをお前達に味あわせてやろう」


エバートンは、すかさず先ほどの魔法陣に魔力を込める。


「お前ほどの知恵者ならば、その魔法はこちらが受けねば、無駄な事は分かっているだろう」


レインボー・ヒュドラは、魔法陣から発動した竜巻を5つの首のブレスで1つずつ打ち消してしまった。

エバートンは予想していたのだろう、当然のような顔をしている。


「ヒデキ殿、無駄撃ちになるとは思いますが、敵の力を確かめたいのでο(オミクロン)の発動をお願いします」

「!!了解しました!!エリー!!準備を!!」

「はい!!ヒデキ様!!」


俺はスマホでο(オミクロン)を呼び出し、片手に魔力回復ポーションを2本持つ。

エリーは俺と腕を組みながら両手に魔力回復ポーションを3本ずつ持った。

ο(オミクロン)は6大魔法のうちヒーリングのβ(ベータ)を除いた6大魔法の5連続発動だ。

魔力の消費がとてつもなく激しい。


「ο(オミクロン)行きます」


気合を入れて発動させる。


「全員衝撃に備えよ!!」


エバートンの指示に従い、多重結界が何重にも張られる。

その中をアルファ(聖なる光)、ガンマ(絶対零度)、デルタ(暴風)、イプシロン(闇)、ゼータ(地震)が連続してこの空間を襲った。

崇高な光が満ち溢れ、急激に凍てつき、暴風が吹き荒れ、闇に包まれ、地震で天井が崩落した。

その中レインボー・ヒュドラは虹色の光で身体を覆い、平然としている。


「フィロゾの6大魔法を連続して発動させる事ができるとはな・・・初めて見たぞ。だが、所詮は人間が発動できる魔法には限界があり、我には届くことはない。満足したので、これで終わりにしよう」

「皆!気をつけ・・・」

「やばいぞ!!」

「防御を厚く・・」


何人かが叫ぶと同時だった。

レインボー・ヒュドラを覆う虹色の光がイッキに膨れ上がり、多重結界を一瞬で粉砕した。

そのまま、俺達全員に衝撃が走り各々がしている指輪の結界も打ち消し、何かが全員を貫く。

一瞬の間をおいて、全員が倒れ付した。

全員のスクロールが発動し、ヒーリングの光がこの部屋に溢れる。

全ての者が瀕死の状態になったのだ。

誰も立ち上がれる者はいなかった。

当然ながら、俺もエリーもダメージを受けて、立ち上がることが出来ない。

横目には、冷静な瞳で俺達のダメージを観察しているレインボー・ヒュドラが見えた。


あのエバートンさえも、片膝をつき、苦しそうに息をしている。

そんな中、親衛隊の1人、リラがふらふらと立ち上がり、


「エバートン様!私が今から奥の手を使います、撤退を・・・」

「リラ、お前が命を捨てようが、奴には通じない」


決死の覚悟のリラにエバートンは冷静に言う。

リラは振り返り、


「ですが、エバートン様・・・」

「9人の上位魔族を倒せば勝利だと思い込んだ私の失態だ。私が、今から私の命に代えて、皆を逃がす」


エバートンは一枚のスクロールを取り出し、魔法陣を広げた。


「これは私の命と引き換えに、ここにいる全員を外へ転移させることが出来る魔法陣だ。今から発動させるので、リラは外へ転移したら、私の代わりに指示を出し、全員を退却させるのだ!!」

「いいえ!ならば私の命を引き換えに転移させて下さい!!」

「不可能だ!この魔法陣は私の命にしか反応しないのだ!!」

「いつものように書き換えれば・・・」

「出来ぬ。それをやってもまる一日かるのだ!!理解したなら、撤退の準備だ!!ヒデキ殿、後は頼みましたぞ!!」


エバートンは魔法陣に魔力を込め始める。


「エバートン参謀!!」

「「エバートン殿!!」」

「「「エバートン様!!」」」


俺やデトレフさん、ダミアンや親衛隊の声が飛んだ。


「無駄だ!!」


怒鳴り声と供に、エバートンが魔力を込めていた魔法陣が燃え上がり、灰になった。

レインボー・ヒュドラの1つの口から、細い炎が放射されていた。


「ここまで来て、逃がす訳にはいかん。この攻撃で全てを焼き尽くしてやる!!」


レインボー・ヒュドラの9つの口が光り始める。

やばい、ここまでか・・・

と、思った時、エリーが俺の耳元で囁いた。


「ヒデキ様、私がお守りしますから・・・その後は・・・守ってくださいね!!」


エリーはよろよろと立ち上がり、レインボー・ヒュドラの前に歩いて言った。


「エリー!!何をする気だ!!」


俺は思わず叫んだ。




ようやくエリーの出番です。

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