大激戦 ①
あやうく日が変わるところでした。
なんとか本日投稿です。
「意外と早かったわね。ドラゴンが3匹もそろって、何をしているのだか・・・」
そこには上位魔族がいた・・・9人も・・・
顔や体型は全て同じ、違いは髪の色と着ているドレスの色だけだ。
ドレスの色は虹色、つまり赤橙黄緑青藍紫と白に黒。
一瞬詰んだと思ったが、こちらにはナナシがいる。
やってやろうじゃないか!!
まずは挨拶がわりに『ラムダ』をぶつけてやろう!!
「エリー魔力の補充を!!」
「はい、お任せを!!」
エリーも慣れたものだ。
すぐに俺の腕を取る。
俺はすぐに『ラムダ』を発動させた。
が・・・
「それはもう見た!!」
白の上位魔族が指をパチンと鳴らすと、発動しかけていた『ラムダ』が消滅した。
「!?」
挨拶もできないのか!?
やはり上位魔族の本体の実力は測り知れない。
エバートンが眉根を寄せ、スクロールを取り出して魔法陣に術式を組み始めた。
「皆に無理な注文を言うが、なんとか実行してもらいたい。敵が3人よりも多いだろうとは予測していたが、まさか9人だとは思わなかった。私が敵に対抗できる魔法陣を組上げるまで、時間を稼いで欲しい」
「俺が魔法を連発しましょうか?」
「いえ、それはベリアルとの戦いにこそ必要です」
「では?」
「各チームで魔族一人を担当して時間稼ぎを!ナナシ殿にできるだけ多く相手していただきたい!」
「二人までなら、相手しましょう。倒すのは無理ですが、足止めは保証します」
エバートンの無茶振りにナナシは平然と答えた。
「俺達は7チームに分かれて、残りの7人の足止めか・・・」
「ここで奥の手を使って下さい。使う事によってリタイアされても構いません。その時は魔法陣まで戻って帰還を!!」
セルゲイの発言にエバートンが答える。
「ここで全てを出し切り、第9階層を突破し、ベリアルに挑みます。挑むのは戦える者だけで・・・」
「それでベリアルに勝てますか?」
ダミアンが問いかける。
「ベリアルに対しては考えられる限りの対策を練ってあります。当然このメンバーがある程度欠ける事も前提としてありますので・・・」
「了解しました、ここが正念場なのですね!」
「んじゃ、みんな!!出し惜しみなしだ!!行くぞ!!」
セルゲイの掛け声で、チームごとに魔族に攻撃を始めた!!
― ― ―
ナナシ VS 赤&橙
ナナシがてくてくと歩き出し、赤と橙の上位魔族の前に立った。
「何だ?お前? 魔族か?」
「さあ?私にも分かりません」
ナナシはおもむろに赤と橙の上位魔族の手首を掴んだ。
「!?」
「この二人は引き受けます!!」
「馬鹿か?お前!!」
「引き裂いてやる!!」
「潰してやる!!」
ナナシの周囲に凄まじいつむじ風が纏わりつき、空気が歪むような陽炎がゆらぐ。
空間を切り裂く魔法と圧殺する重力の魔法だろうか?
それでもナナシは、平然と両上今族の手首を握っていた。
「無駄です・・・次の攻撃は?ありますか?」
二人の上位魔族の顔が引きつる。
「なめるなあぁー!!」
「!?」
「なんだとぉ?」
ナナシを引きちぎるつもりで、掴まれている手を振り払おうとしたが、ナナシは微動だにしなかった。
「ああ、力押しでは、私は動かせませんよ。私の足元を見て下さい」
「はぁ!?」
「貴様、どうなっている?」
ナナシの足は、樹木の根のように床と同化していた。
床から生えているという表現が一番正しいだろう。
「先ほども言いましたが、私にもわからないのですよ。」
ナナシはにやりと笑い、両腕に力を込める。
両魔族の掴まれている腕が、黒く変色を始めた。
「我らに変換魔法をかけるとは、生意気な!!」
変色が止まり、元に戻ってゆく。
「これぐらいは我らでも出来るわ!!」
今度はナナシの黒い腕が白く変色を始める。
が、すぐに変色が止まる。
「うぬ!?」
「我ら二人の魔力を押さえ込めるだと!?」
「ああ・・・別に押さえ込めているわけではないのですがね・・・まあ、私があなた方の腕を掴んでいる限り、何もできやしませんよ!!」
ナナシは二人の魔族の腕をがっしりと握り直し、にっこりと笑った。
― ― ―
パワーボム VS 緑
「初っ端から全開だ!!お前らいつも通りフォローを頼む!!」
セルゲイの身体が光りバーサクモードとなり、そのまま緑の上位魔族に突進した。
横には豹の獣人ラビスがロングソードに風の魔法を纏わせて続く。
犬の獣人ライサンダーが得意の雷魔法を魔族に放った。
緑の上位魔族が片手で雷撃を止め、散らした。
リザードマンのキュロスがその手にヒール魔法を準備する。
その二人を守るように犀の獣人ラザロスがラージシールドを構えた。
これがパワーボム本来の陣形だ。
「たかだか獣人の冒険者パーティが我に挑むか!?」
緑の上位魔族が腕を横に払うと、足元に太い蔦がからみつき突進を妨害しようとする。
が、全く無視して蔦を引きちぎりながらセルゲイは止まらない。
ラビスは旨くロングソードを使い、セルゲイの後ろから追撃する蔦を払っていた。
そこへライサンダーの雷撃が魔族を襲う、再び雷撃を止めたところで、セルゲイがバスターソードを振り下ろした。
魔族が右手で受け止めようとするが、魔力を纏ったバスターソードはその腕を切り落とし、その身体を両断する。
が、縦に二つになった魔族の身体は瞬時に元通りになり、魔族はセルゲイに左手伸ばし首に掌を食い込ませる。
その左手が太い蔦になり、急激に首を締め上げた。
しかし狂戦士となったセルゲイは苦しげな表情を見せず、バスターソードを横に払う。
今度は魔族の身体が胴体から上と下に分断され、魔族の上半身は、セルゲイの首を締め上げている蔦にぶら下がる形になった。
セルゲイはにやりと笑い、首を絞めている蔦を引きちぎり、魔族の上半身を上に放り投げる。
落ちてくる所をバスターソードの腹で殴りつけた。
バーサクモードのバスターソードに魔力が乗り、魔族の上半身は粉々に砕け散った。
だが、残った下半身のドレス部分が再生し、それに次いで身体が再生する。
だが、セルゲイの攻撃は止まらない、今度はバスターソードで魔族の腹部を突き、串刺しにした。
そのまま魔族を持ち上げたところで、ライサンダーの雷撃がセルゲイのバスターソードに落ちた。
セルゲイもろとも強烈な雷撃が落ちた。
同時にセルゲイへはキュロスのヒーリングが飛ぶ。
髪の毛から煙を出しながら、セルゲイがバスターソードを振りおろした。
ベチャっという音と供に、黒焦げの魔族の身体が床に叩き付けられる。
それでもセルゲイの攻撃は止まらない。
高速の餅つきのように黒こげの魔族の身体にバスターソードを振り下ろし続けた。
魔族の身体は再生しようとするが、セルゲイの攻撃はその速度を完全に凌駕している。
狂戦士特有の止まることのない攻撃に加え、餅つきの相方のようにセルゲイがバスターソードを振り上げた瞬間を狙い、ライサンダーが雷撃を落としていた。
この攻撃が10分ほど続き、セルゲイは大きくバスターソード振り被り、床に突きたてて動きを止めた。
そして、バスターソードを床に突きたてたまま手を離し、後ろに下がる。
そこへすかさず、ラビスがロングソードを追加で突き立てる。
セルゲイの身体からは、湯気が上がっていた。
再びライサンダーが、雷撃をバスターソードに落とし、キュロスがセルゲイにヒーリングをかけた。
バスターソードに落ちた雷撃はラビスのロングソードに連動してスパークし、その放電が再びバスターソードへと雷撃を落とす。
そのバスターソーダがスパークし、ロングソードへ・・・
この繰り返しが数回続き、スパークは収まった。
セルゲイは力尽きたように、ぜいぜいと息を切らしながら、片膝をついた。
床に突き刺さったバスターソードとロングソードに上位魔族の緑色のドレスだけが再生し、貫かれていたが、魔族の身体は再生しなかった。
明日はもう少し早めに投稿します。




