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魔力の共有

今日も早めの投稿です。

エリーの膝枕で目覚めると、エリーは器用にそのままの体勢で眠っていた。

アラームで目を覚ますのが俺より一瞬遅れたので、少し恥ずかしそうだ。


アラームの音で目覚めてしまい、聞きたかったことが聞けなかった。

だが、俺が3つの課題をクリアしない限り、全滅の運命にあるのは分かった。

恵理子の助言だ、ただの夢ではない。

まずはエリーとの魔力の共有化だ。

エリーに説明する、信じて貰えるか不安だったが、


「さすがヒデキ様です!!ヒデキ様と魔力の共有が出来るなんて、夢のようです!!」


素直に信じてくれた。

こちらこそ、さすがエリーだ。

もちろん恵理子に会った事や全滅の話はしなかった。


エバートンの方を見て魔法陣の進み具合を確認する。

なんと!既に完全な円形になり、見た感じ完成に近かった。

凄い集中力だ。

これが天才の成せる技なのか!!

などと感心していると、エバートンは立ち上がり『ホットライン』を開いた。


「ベルタいるか?」

「はっ!エバートン様!!ガウラン様よりお聞きして、ある程度の物資は準備してあります。転移魔法陣で既に待機しております」

「それでは一度こちらへ転移してくれ。ヘンドリクを帰還させるのと必要な武器、防具のメモを渡す」

「畏まりました!!今からそちらへ転移します」


『ホットライン』が切れるや否や、転移魔法陣全体が光始める。

直ぐに一人の女性と、大きな箱が2つ転移魔法陣の中に出現した。


「エバートン様、とりあえず魔力回復ポーションを5000本お持ちしました!!」


黒いメイド服を着た絶世の美女が立っていた。

金髪碧眼、身長は170センチ強、抜群のプロポーションだ。

大きな箱の中身は魔力回復ポーションらしい・・・5000本・・・

ガウラン辺境伯の資金力は底なしだな。


「これが必要な武器と防具のリストだ。それとヘンドリクを・・・」


ヘンドリクがふらふらと立ち上がり、魔法陣へ向かう。

中に入った途端、座り込んでしまった。


「ベルタ殿、面目ない・・・」

「ヘンドリク様、後はお任せ下さい。エバートン様、武器と防具が用意出来次第戻ってまいります。しばしお待ち下さい」


ポーションが入った2つの箱が運び出されると、ベルタはすぐに転移魔法陣を発動してヘンドリクを連れて戻って行った。

ガウラン辺境伯に仕える者たちは、本当に無駄がない。

この無駄のなさが無尽蔵の資金を生み出しているのだろう。


「皆、魔力回復ポーションを補充しておくように。なるべく多くもてる様に工夫してくれ!」

「エバートン殿、どのように工夫しても、この大量のポーションは余ると思うのですが・・・」


アイオロスがポーションを補充しながら、エバートンに指摘した。


「問題ない、その解決策もベルタに指示を出してある」

「はっ!!要らぬ助言でしたな。申し訳ない」

「大事ない」


エバートンは粛々とポーションを補給していた。

俺とエリーは50本ずつ計100本確保した。

正確には102本だ。

俺とエリー片手に1本ずつポーションを持っている。

今から魔力を共有する訓練を始めるためだ。


「エリー今から最小のウォターボールを二人で作る、いいな」


空になったペットボトルを床に置き、エリーと手を繋ぐ。

魔力を共有する方法が分からない以上、やれることはやってみなければ・・・

手を繋ぐのも1つの試みなのだ。

エリーはお構いなしに嬉しそうである。


「では、行くぞ・・・」

「はい、ヒデキ様」


ウォターボールの魔法陣をスマホで呼び出し、魔力を込める。

小さな水球が2つ浮かんだ・・・失敗である・・・

ペットボトルに入れて再チャレンジ。

結果は同じだった。

何度も繰り返し、500ミリのペットボトルは一杯になった。

喉が渇いていたので一気に飲み干す。

空になったペットボトルを再び床に置いた。


「さあ再開だ!」

「あのう・・・ヒデキ様・・・」

「どうした?エリー?」


エリーがもじもじしながら俯き加減で言った。


「手だけではなくて、もっと密着したほうが良いのではないでしょうか?」

「・・・・・・・・」


もちろんエリーは俺にひっつきたいだけだろう。

だが、今回に限り一理ある。


「なるほど、それでは、抱き締めてから、始めるぞ」

「えっ!?ええええぇぇぇ~」


OKが出るとは思っていなかったのだろう。

エリーは素っ頓狂な声を出した。

構わずに発動の音頭を取る。


「せーの・・・開始!!」


小さな水球が二つ出現した。

失敗したことに変わりはなかったが、ふたつの水球の距離はこれまでよりもかなり近かった。


「おっ!!さっきよりもウォターボールの距離が近い!!このまま続けるぞ!!

「は、はい!!」


再び同じルーチンワークを何度も繰返した。

抱き合ったままなので体が火照る。

2回目一杯になった水はエリーが飲み干し、3回目がそろそろ一杯になりそうになった時だった。

水球が1つしか出現しなかった。

最初、俺かエリーのどちらかが魔力切れを起こしたのかと思ったが、違った。


「成功だ!!やったぞ!!エリー!!」


俺は思わずエリーを力一杯抱き締めた。


「は、はい・・・ヒデキ様・・・嬉しいのですが・・・少し苦しいです・・・」


それでも俺はエリーを抱き締め続けた。

これで第1関門は突破だ。

エリーが目を回しているのに気付き、抱き締める力を緩めた。


「すまん!!エリー!!大丈夫か?」


ペットボトルの水を再び飲み干し、エリーの頬をかるく叩く。

エリーはすぐに気付き、ちょっと照れ笑いをした。


「すみません、抱き締められた感激で、我を忘れてしまいました」

「いや、いいから、いいから、コツを忘れないうちに、もう一度」


言いながらエリーを抱き締め、魔力を込める。

水球が1つだけ出現した。


「よし!成功だ!!」

「お二人さん!人目も憚らず、熱いわねえ」

「!?」


後ろから声がかかり、振り向けばリーナとエルザが並んで立っていた。


「戦いの後で、体が火照るのは理解できるけど、人前で始めたりしないでね」


エルザがウインクしながら釘を刺して来た。


「まあそう見られても仕方ないけど、これは魔力を共有する訓練さ」


俺はエリーを離して、答えた。

エリーは少し残念そうだ。


「魔力の共有?それは不可能よ!同じ魔力を持つ人間は世界中に一人もいないのよ!!」


リーナが講釈する。


「そう、だけど今、共有ができた!!世界初だな!!」

「まさか!?」

「出来たのさ、さあエリー今度は、手を繋いだ状態で訓練するぞ」

「はい、ヒデキ様!!」


俺とエリーは二人が見守る中で水球を1つ出現させた。


「おっ!コツが掴めたかも知れないぞ!」

「まじ?でも、証明するのって無理よね?」

「そうねぇ~一人が魔力使わなければいいだけですもの」


まあそうだな。

証明するなら一人じゃ発動できない魔法を発動させるしかない。

そのうち証明する事になる・・・

でも今は・・・


「エリー、次は手を繋がないでやるぞ!!」

「はい!!」


一度コツを掴んでしまえば、簡単だった。

二度と失敗する事はなかったのだ。

練習を繰返す俺達を見るのに飽きたのか、リーナとエルザは自分たちのパーティの休憩している場所へ戻って行った。


「エリー、この後必ず、魔力を共有が必要な時が来る・・・その時は頼んだぞ」

「はい、必ずお役に立ちます!!」

「それと・・・」

「はい、それと?」

「いや、何でもない」

「そうですか?変なヒデキ様」

「すまん、すまん」


エリーに切り札の話をしようとしたが、出来なかった。

土壇場で切り出すしかないか・・・

全滅を避けるための3つの課題・・・

魔力の共有はクリアできた。

だが残りの2つが問題だ.

エリーが切り札を使う事。

ノーマを目覚めさせる事。

エリーの切り札はいよいよとなったら、なんとかなる。

だが、ノーマに関しては・・・

どうやったら目覚めるのか?皆目見当がつかない。

悩んでいると、転移魔法陣が光り、ベルタが再び転移して来た。









相変わらずのご都合主義ですが、ご容赦を。

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