再戦VSベリアル
ダンジョン攻略再開です。
ダンジョン再挑戦当日の朝になった。
エバートン、俺、エリー、自動人形のメイドさん2人がガウラン辺境伯邸へ向かう。
クロエは今回留守番である。
途中、馬を駆るダミアンと合流した。
「おはようございます!エバートン参謀殿、ヒデキ殿、エリー殿!!」
ダミアンが元気に挨拶して来た。
最初の横柄な態度は影を潜めている。
人間一度叩かれると、謙虚になるものだ。
「おはようございます。ダミアン殿、よく寝られましたかな?」
「はい、この後安眠は保証されないので、熟睡いたしました!」
「それは良かった。今日は頼りにしております」
「有難う御座います。必ず部下の無念を晴らして見せます」
彼の決意が伝わってくる。
ダミアンは馬の歩みを遅くして、俺達と並んでガウラン辺境伯邸へ向かった。
お互いに偏見をなくし、付き合って見れば好青年だった。
年齢は俺より3つ下だが、貴族として徹底的に教育を受けてきたせいか、俺よりもふるまいが大人だった。
ガウラン辺境伯邸に着くと、いつもの広場へ向かう。
私設騎士団は既に整列している。
俺達の後に冒険者チームが集まって来て、全員が揃った。
ガウラン辺境伯がお立ち台に立ち、一言。
「四の五の言わん!!攻略して帰って来い!!」
それだけ言って屋敷に帰って行った。
「今日は先行するチームはありません、全員馬で向かいます。現地に到着したら、昨日の作戦通りの行動を!!出発!!」
エバートンの出発の声で、全員が動き出す。
情けない話だが、俺は馬に乗れない。
エリーもだ。
自動人形のメードさん二人にそれぞれ乗せてもらった。
数時間後、俺達はダンジョンの入り口に立っていた。
「今からダンジョンに突入します。最短距離で3階ボス部屋まで到達します。昨日の打ち合わせ通りの段取りでお願いします」
エバートンが最終確認を行ない、そして叫ぶ。
「突入!!」
「「「「うおぉぉぉぉー!!」」」」
ポップする雑魚モンスターは前衛の者が切捨て、空を飛ぶモンスターは後衛が魔法で瞬殺して行った。
第1階層のボスも第2階層のグレーターデーモンもエバートンの用意した魔法陣で瞬殺だった。
エバートンが対策立てて魔法陣を用意しただけで、ここまで効率が上がるとは!
そして第3階層の転移魔法陣に到達した。
「ここからが本番の攻略です!!各人指輪のシールド発動、個別の作戦準備して下さい」
それぞれ物理魔法、両シールドを展開し、武器には魔力を纏わせる。
「作戦で魔法陣を使うものは準備!!」
俺はスマホで三つの魔法陣を呼び出した。
「では、攻略開始!!」
打ち合わせ通り俺が戦闘に立ち転移魔法陣へ飛び込んだ。
□ □ □
転移すると同時に三つの魔法陣を発動させた。
ごっそりと魔力を持っていかれる。
その魔力でムカイの未発動フォルダから選んだ魔法陣から、雷獣、翼竜、ロックゴーレムが召還された。
雷獣はともかく、翼竜とロックゴーレムは広い場所でしか召還できない。
ダンジョンなら、コロシアムか領域ボス、あるいは階層ボスの部屋だけだ。
この召還獣3匹は、俺達がベリアルに集中するため3体の僕対策として呼び出した。
予め雷獣は水龍に、翼竜はイフリートに、ロックゴーレムはバジリスクへ攻撃命令を与えてある。
雷獣は水龍へ迷わずに突進し鱗に噛み付くと同時に雷撃で攻撃する。
水と電気なら、電気が拡散されて不利なのでは?
と作戦を聞いた時、エバートンに尋ねたら、水龍の身体を維持している核を攻撃するので、雷獣のほうが有利だそうだ。
エバートンの言葉通り、雷獣が水龍に噛み付き放電したら、水龍は苦しみ出し倒れてしまった。
暫く雷獣は水龍の喉元に牙を立てていたが、水龍がぴくりともしなくなると、牙を離した。
早々に決着だ。
ロックゴーレムはバジリスクに相性ばつぐんである。
石化がきかないわけだから、バジリスクは手も足も出ない(手はないが)
ワンパンで片が付いた。
イフリートに対して翼竜は上空から、原子振動波を浴びせてイフリートが身体の維持するのに専念させ、その間にダミアンが一刀両断にして、終わらせた。
ダミアンは剣に魔力を纏わせ、そのままベリアルに切りかかった。
だが、剣はベリアルの身体を素通りし、ベリアルが座っていた、玉座を破壊した。
その後、魔術師の攻撃魔法が連続でベリアルに放たれた。
全ての系統の魔法が、0.5秒ほどの間を空けて、ベリアルを襲う。
閃光や爆発、旋風、ブリザードが入り混じり、数秒視界が閉ざされた。
ぱちぱちと拍手が聞こえ、
「素晴らしい!!戦力の底上げ・・・前回の十倍はされていますね!!」
視界が戻ると、無傷のベリアルが拍手していた。
玉座は完全に瓦礫となって、ベリアルは立ちあがって笑顔でこちらを見ている。
俺は召還獣を魔法陣に呼び戻し、別の魔法陣を用意して魔力を込めた。
「!!??」
ベリアルの足元に真暗な孔があいた。
ベリアルの顔から笑顔が消え、そのまま孔に吸い込まれた。
ムカイ未発動魔法『奈落』だ。
「やったか?」
このまま孔が閉じてしまえば、奴は延々と未来永劫落下しつづけることになるはず。
だが、そう旨くはいかなかった。
孔の縁に両手の指がかかり、あっと言う間にベリアルが身体を持ち上げ、そのまま孔の上に浮いた。
「この魔法を使うとは!驚きました!こちらも少し本気で行きます」
ベリアルが両手を挙げて、素早く振り下ろす。
全員の身体が光り、防御魔法が作動したのが分かった。
「なるほどこれまでにお見せした攻撃に対する防御は万全ですな・・・では、これは?」
ベリアルが右手を横に払う。
凄まじい衝撃が全員を襲うが、数名横に倒れただけで、全員無事だ。
「これも防ぎますか!面倒ですが一人ずつくびり殺すしかないですかね?」
ベリアルが一歩踏み出した。
「そううまく行くと思わない事だ!!」
エバートンが叫び、右手を挙げ、全員に合図を送った。
俺はムカイ未発動魔法から『スーパーノヴァ』を発動。
ベリアルの動きが止まった。
存在を完全消滅させる魔法だ。
さすがにベリアルも放置はできまい。
「これは・・・どこでこの魔法を?」
「お前が知る必要はない!!」
誰もいない空間からダミアンの声が聞こえた。
「何ぃ!?」
ベリアルの身体が肩口から、切り裂かれる。
二つに分断されたベリアルの身体が、落ちる前にもう一度分断され、
4つになって落ちた。
そこで漸くダミアンの姿が現れる。
ムカイ未発動魔法『不可視』である。
エバートンの研究の結果、この魔法は単純に姿を消すだけではなく、高次元に身体を隠す魔法だと判明したのだ。
対ベリアルの切り札の1つだった。
ハアハアと方で息をして、ダミアンが言った。
「どうだ!!やったか?」
一瞬の沈黙が訪れた。
「なるほど・・・こちらの次元にまで届く魔法ですか・・・面白い!!」
ベリアルの頭がある部分が口を開いた。
4つに分断された身体が元通りになる。
「貴様、不死身か?」
ダミアンがうなりながら、聞いた。
「不死身?そんな訳ありませんよ、もうひと工夫して下さい」
ベリアルは服についた埃を払いながら、にっこりと笑いながら言った。
上機嫌である。
「もうひと工夫ってこうか?」
セルゲイの声が聞こえベリアルの上半身が爆散した。
セルゲイも『不可視』を使い、しかもバスターソードには闇属性の魔力が込めてあったのだ。
残った下半身も再びバスターソードで爆散させた。
「これで俺は少ない魔力は空だ!ポーションで補充しないとな」
「どうぞ、補充して下さい、かなり楽しめそうだ」
「!?」
ベリアルの声が聞こえた。
爆散したベリアルの身体が消え、新たにベリアルの体が出現する。
そこへ複数の闇魔法が、魔術師から複数放たれ。ベリアルを直撃した。
ベリアルの体が少しぶれるように揺れた。
そこへ俺がエバートンから貰った対ベリアル用魔法陣のスクロールを取り出し、発動させた。
これがだめなら、総力戦になる。
さあ、行くぞ!!
矛盾が?と思った方、次回で謎解きします。




