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第2階層ボス

さあ、ボス戦です。

エバートンの魔方陣によって、領域ボスのキマイラは瞬殺されてしまった。

凄まじい威力である。


「さてボス部屋へ・・・クラウス下がって、代わりにサラサ前へ!扉を開けて、突入!!」

「はっ!!扉を開けろ!!」


サラサの中隊から二人が、奥のボス部屋の扉を開け始めた。

扉が開ききった時、今までになかった冷気というか、殺気が流れ込んで来た。


「なんだか寒気が・・・」


真っ暗な部屋に青白い光が灯り、天井に浮かび上がった。

騎士団の誰かが、ライトを使ったのだろう。

その光に照らされて、巨体が浮かび上がった。


「グレーターデーモン!!」


デトレフさんが呟いた。

前の世界(地球)で散々遊んだRPGでの代表格ボスモンスター。

その姿は、濃紺の体に、鬼のような顔、5メートルはあるであろう体躯、眼光は真紅で口は耳まで裂けていた。

長い両手をだらりと下げ、ゴリラのような姿勢を保ってこちらを睨んでいた。


「攻撃開始―!!」


グレーターデーモンを見て、一瞬止まった我々を動かしたのは、やはりエバートンだった。

後衛からグレーターデーモンに複数の魔法飛んだが、それはグレーターデーモンの手前で霧散した。


「魔法攻撃無効化結界!!」


魔法が当たると同時に攻撃しようとしていた、サラサが驚いて叫び、一旦引いた。


「魔術師は、物理攻撃魔法で攻撃せよ!前衛は牽制しながら攻撃!!私が結界を破る術式を組むまで、時間を稼げ!!」


エバートンが冷静な声で、命令をした。

術式を組む?

一体どうするのだろう?

俺はスマホの画面をストーン・キャノンに切り替えながら、エバートンを見た。

エバートンは複数のスクロールを出し、

1枚1枚、ペンで何かを書き込み始めた。

書き込みながら、時々考え込んでいる。

今から魔法陣に改良を加えるのだろうか?


一方グレーターデーモンは飛んで来る物理魔法を片腕で払い、前衛の攻撃も軽くもう片方の腕でいなしていた。

そしてこちらの攻撃が一瞬止んだ時、鼓膜が破れそうな咆哮を上げた。

その咆哮にあわせて、複数の影が浮かび実体となる。

グレーターデーモンより一回り小さく、その代わりに腕は4本、頭にヤギのような角が二本、尾があった。

体の色は濃い赤だ。


「レッサーデーモンだ、こいつらに結界はないぞ、蹴散らせ!!」


デトレフさんの号令のような叫びに、全員がレッサーデーモンに攻撃を仕掛けた。

レッサーデーモンの数は12体、グレーターデーモンと同じように、闘おうとしている。

腕が4本あるため、攻撃を受けてからの反撃は早いのだが、結界があるわけではないので、徐々に傷が増えていく。


俺も魔法をファイヤー・キャノンに切り替え、エリーと同時に同じレッサーデーモンを狙って魔法をぶつけた。

徐々にレッサーデーモンが押され始めたところで、グレーターデーモンの身体が光り、凄まじい衝撃が俺達を襲った。

まるで、ティルトウ◎イトのようだと思った。

何故余裕ある感想を言えるのかと言うと、エバートンが味方全員に対して魔法攻撃無効の結界を張り巡らせていたからだ。

エバートンはグレーターデーモンの結界を破る術式を組みながらも、こちらを守る結界を張る魔方陣を使っていたのだ。

その間にもレッサーデーモンは倒されていった。


「よし、完成だ!今からグレーターデーモンの結界を破る。魔術師は攻撃魔法を準備し、結界が破れたと同時に攻撃!!」


エバートンが結界破りの術式を組み終わったようだ。

エバートンが魔力を込めると、床に置いてある5枚の魔方陣が紫色に発光し始めた。

5つの紫色の光が集まり、渦巻き始める。

やがてそれは、大きな竜巻となって、グレーターデーモンへ向かって行った。

紫色に発光した竜巻はグレーターデーモンを包み込む。

その間に、レッサーデーモンは全て倒されていた。


「奴を包み込む竜巻が消えた瞬間に、魔法を叩き込め!その後、各アタッカーは間髪入れず攻撃するように!!」


竜巻に巻き込まれ、グレーターデーモンは身動きひとつ取れなかった。

そして、竜巻が消えた瞬間に、前回無効化された攻撃魔法がグレーターデーモンに降り注いだ。

グレーターデーモンが悲鳴を上げる。

と同時に前衛が切りかかった。

グレーターデーモンの脛にバスターソードを叩き込み、跪かせてから、ロングソードやバルディッシュ、モーニングスターが顔面を襲った。

前衛の攻撃が終わり、一歩下がると、再び魔術師達の攻撃魔法が飛んだ。

間をおかず、前衛が連続で攻撃を加えると、跪いていたグレーターデーモンが崩れ落ちるように倒れた。

倒れ様にグレーターデーモンが断末魔のような声を上げた。


嫌な予感がした。

元の世界での思い出『グレーターデーモンは仲間を呼んだ』・・・


事切れたグレーターデーモンの少し奥に三つの影が浮かび、すぐに実体化した。

グレーターデーモンは新たに3体になって、こちらを睨んだ。


「魔力に余裕がある者三人!誰でも良い、こちらに来て魔方陣に魔力を込め、グレーターデーモン3体をそれぞれ撃て、私はグレーターデーモンを黙らせる術式を組む。他は私が術式を組むまで、グレーターデーモンを殺さぬように押さえろ!!」


殺さぬように押さえるとか・・・かなり難易度が高い・・・


「エリー、行くぞ!俺達は魔力に余裕がある!!」

「えっ!?あっ、はい」


エリーは一瞬びくっとなったが、俺に続いた。

エバートンの側に行くのが嫌だったのだろう。

俺とエリーがすぐに魔方陣の側に行くと、親衛隊の一人がやって来た。

ガウラン辺境伯邸で、お茶を淹れてくれたメイドさんだ。


「俺が向かって左、エリーが真ん中、あなたは右を狙って下さい」

「畏まりました」


メイドさんはすぐに、魔方陣に魔力を込め始めた。

俺達も続く。

エバートンは既に新たなスクロールを5枚出し、色々書き込み始めていた。

俺達3人の魔力が、先ほどと同じ紫の竜巻を出現させ、グレーターデーモンに向かって行く。

竜巻がグレーターデーモンに届く直前に、グレーターデーモンが咆哮を上げた。

と同時に竜巻がグレーターデーモン3体をそれぞれ包み込んだ。

しかし、グレーターデーモン3体の咆哮は有効で、36体のレッサーデーモンが出現した。


レッサーデーモン36体グレーターデーモン3体、それに対して騎士団32人、親衛隊9人、俺、エリー、デトレフさん、エバートン、合計48人。

39VS48だ。

数では勝っているが、相手はデーモン39体、とても一人で1体を相手に戦うことは出来ない。

後衛が魔法で牽制しながら、前衛が少しずつレッサーデーモンを削りながら、エバートンの術式完成を待つしかないのだ。


「エバートン様、ここは私が奥の手を使って、現状を打開する許可を!」


ガウラン辺境伯邸で案内してくれた執事のおっさんが、エバートンに進言した。

が・・・エバートンは術式を組む手は休めず、おっさんの方も見ずに言った。


「許可はできん!たかだか2階層ごときで、お前を失う訳にはいかん。余計なことを考えずに、グレーターデーモンを牽制しておけ!!」

「はっ!承知いたしました」


おっさんは紫の竜巻によって、攻撃魔法無効結界がなくなったグレーターデーモンへ向かって行った。

グレーターデーモンの牽制は執事のおっさん、アイオロス、サラサが担当している。

他レッサーデーモンは攻撃魔法を受けて動きが止められ、騎士団やシルバーファング、ゴールド・エクリプスの前衛が攻撃していた。

俺もエリーと共にレッサーデーモンにファイヤー・キャノンをぶつけて行った。


レッサーデーモンに魔法攻撃をしながら、時々グレーターデーモンを見ると、アイオロス、サラサ、執事のおっさんは、見事にグレーターデーモンを牽制していた。

アイオロスはロングソードで、サラサはレイピアで、執事のおっさんは両手に短剣を持ち、グレーターデーモンの攻撃を防ぎながら、グレーターデーモンが咆哮しようとすると、阻止するための攻撃を仕掛けていた。

これ以上レッサーデーモンを召還させる訳にはいかないのだ。

見事な腕前だった。

騎士団隊長二人は当然として、執事のおっさん・・・やはり親衛隊の実力も計り知れないものがある。


「完成した!!先ほどの三人!同じ手順で頼む!!私はレッサーデーモンを殲滅する」

「はい、エリー、もう一度だ!!」

「はい!ヒデキ様」

「もう一度同じ手順で!!」


俺、エリー、メイドさんは完成した魔方陣に魔力を込めた。

今度は真っ黒な光が魔方陣からあふれ出し、全くの闇が生まれ、グレーターデーモンへと飛んで行って闇で包み込んだ。


「闇魔法?」


思わず呟いてしまったが、きっと当たりだろう。


「総員グレーターデーモンへの攻撃準備!闇が晴れ次第攻撃を叩き込め!!レッサーデーモンは私が殲滅する!!」


エバートンが大声で叫んだ。

そして、スクロールをまた1つ取り出して、魔方陣を開いた。

その時、闇が晴れ、魔術師達の攻撃魔法がグレーターデーモンに炸裂した。

同時にエバートンが魔力を込め、魔方陣から白い光線が漏らすことなくレッサーデーモン達に向かい白い光で包み込んだ。

領域ボスエリアで使った冷却魔法だった。

少し遅れて、アタッカー達がグレーターデーモン3体に突撃する。

先ほどと同じ手順で、グレーターデーモンを跪かせ、苛烈な連続攻撃を加えた。

レッサーデーモンは凍りつき、既に粉々になっている。

グレーターデーモンは倒れ伏す時に仲間を呼ぼうとしたが、声は出なかった。

倒れこんだ瞬間に、3体とも首を落とされ、ボス戦はエバートンの魔方陣によって圧勝となった。


この調子なら・・・誰もがそう思った。


誰もがそう思う・・・よくある話ですね。

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