ダンジョン第1階層
今回だけじっくりとダンジョン攻略の手順を考えてみました。
ガウラン辺境伯私設騎士団中隊が到着した。
デトレフさんが、馬から下りる隊長のアイオロスに歩み寄り言った。
「デトレフ殿、何があった?馬車と途中ですれ違ったが・・・」
「想定よりも良くない事態だ。ダンジョンが出来ている」
「!!!」
興奮している馬をなだめているアイオロスに、デトレフさんが淡々と答えた。
「御者殿に冒険者ギルドと辺境伯私設騎士団に増援の要請を頼んだ」
「素早い判断と指示、感謝する」
アイオロスはデトレフさんに向かって礼を言った。
「デトレフ殿、今度は我々騎士団が先行します。そのままダンジョンへ突入します」
「こちらも隊列を組み直して、続きます」
「後ほどダンジョンで会いましょうぞ!!中隊整列!!前へー!!」
「アイオロス殿!ご武運を!!」
アイオロスはデトレフさんに一礼をし、騎士団を率いてレイト村へと進んで行った。
「さて、我々も向かうぞ!!」
「おし!!行くぞ!!おめーら!!」
「「「おおーー!!」」」
デトレフさんとセルゲイの掛け声を聞いて、意気上がる冒険者チーム。
そのまま俺達全員もレイト村へ向かった。
「さすが騎士団、きっちり仕事しているな」
村の中央にゴブリンの死体が積み上げられ、焼かれていた。
数にして50匹以上はいるだろう。
その全てが焼け焦げて炭になっていた。
あっと言う間に村を占拠していたゴブリン達を片付けてしまったらしい。
アンデッド化しないように、死体を一箇所にまとめて焼き払っている。
そのままダウの森方面の出入り口に進むと、目の前に大きな穴が現れて来た。
真直ぐ下に開いた穴ではなく、緩やかに下に下っている横穴だった。
穴は横幅20メートぐらい縦10メートルくらいの楕円形をしていた。
これがダンジョンの入り口か・・・
入り口周辺の木々には、騎士団の馬が繋いであった。
さすがに馬でダンジョンに突入する訳にはいかないらしい。
「各チームダンジョン攻略隊形を組み、突入!!」
俺はシルバーファングの最後尾にエリーと並ぶ。
シルバーファングの先頭はデトレフさんだ。
ダンジョンの中に入ると、床も横壁も天井も土ではなく岩で生成されていた。
少し進むと後方からの日光が届かなくなり、真っ暗闇になる。
同時に、各パーティがライトの魔法を使い、周辺を明るくした。
そのおかげで、前後30メートルぐらいは見渡せるようになる。
真ん中にシルバーファング、右にパワーボム、左にゴールド・エクリプスが左でゆっくり進んで行く。
騎士団達が蹴散らしたのだろう、スケルトンの残骸や、名前も分からない蝙蝠に似た魔物の死体が散乱していた。
暫く行くとダンジョンは二手に枝分かれしていた。
「騎士団は左へ進んだか・・・」
デトレフさんが床を見ながら呟いたので、俺も床を見る。
床には、石灰のようなもので、白い矢印が書かれていた。
それは二手に枝分かれしたダンジョンの左を指していた。
なるほど、こうやって探索がダブらないようにしているのか。
デトレフさんが床に右手を指す矢印を書いて、俺達は右手へと進んだ。
進むとすぐにスケルトンや蝙蝠の魔物が襲い掛かって来たが、前衛が切りつけると同時に魔術師のファイヤーボールが飛び、一瞬で片がついてしまった。
S級の冒険者パーティが3組もいるという事は、こういうことなのだな。
罠探査に長けたものが、一歩進むごとに罠を感知して解除して行く。
罠は単純な毒矢だったり、落とし穴や落石だったりしたが、時には転移の罠の魔方陣があって、絶対に踏まないように念を押された。
注意深く進んで行くと、再び道は二手に枝分かれしていた。
デトレフさんが床に石灰のようなもので、矢印を二つ書いた。
矢印は左右両方を指している。
「二手に分かれよう」
「じゃあ俺達は右へ行こう」
デトレフさんの言葉に、セルゲイが言いながら右手へ向かった。
セルゲイに続き、パワーボムの面々が右手へと進んで行く。
シルバーファングとゴールド・エクリプスは左だ。
先ほどと同じ手順で、魔物を倒し、罠を解除しながら進む。
30分程進んだところで、道は二手に枝分かれしていた。
迷宮とはよく言ったものだ。
先ほどと同じことが行われ、俺達は左右に分かれた。
シルバーファングは右手に進んで行く。
作業は変わらず、襲って来る魔物の排除と罠の解除。
罠の探知と解除はベッツが行った。
俺はローブのポケットに入っているスマホの画面をファイヤーボールにして、空中から襲ってくる魔物達に向かって時々発射していた。
シルバーファング単独になってから2時間、いきなり明るい広い空間に出た。
そこは直径50メートル程の広場になっていた。
広場は今まで岩壁ではなく、コロシアムのようになっていた。
人為的に加工された石柱が、均等にコロシアムの外周に立っていて、その上にはガーゴイルの石像がそれぞれ置いてある。
そして、丁度広場の中心部に石像が立っていた。
石像は4本の腕を持ち、その腕には1本ずつ青龍刀を持っている。
その姿は、インドの女神カーリーが一番近い。
「総員戦闘準備!!」
デトレフさんの声を合図に全員武器を構えた。
俺はスマホの画面をフェイヤー・キャノンに切り替えた。
エリーも買ったばかりの魔術使用の杖を構えている。
俺達が戦闘準備をしたと同時に石像が動き始めた。
石像の高さは2メートル50センチくらいだろう。
4本の腕に持っている青龍刀がやっかいそうだった。
デトレフさんが正面に立ち、左右にクラウスとイグナーツが立った。
他は俺とエリーも含めて石像の背後に回り込んだ。
石像が4本の刀を振るい、デトレフさんに襲い掛かった。
デトレフさんが2本を受け流し、クラウスとイグナーツが1本ずつ刀を受ける。
その隙に俺とエリーがファイヤー・キャノンを背中に叩き込んだ。
ベッツはエストックで突き、リーネがウィンドカッター、ヴィレムが弓を同じく背中に打ち込む。
石像が少しぐらつき、こちらを振り返る。
その瞬間を見計らって、前衛の3人が切りかかった。
再び石像が振り返る。
このパターンでいけば、倒せるだろうと思っていた。
「気をつけろ!!ガーゴイルが襲ってくるぞ!!」
ヴィレムの声で周囲を見回すと、石柱のガーゴイルが飛び立っていた。
「ヒデキ殿、エリー殿、リーナはガーゴイルを落とせ!!」
デトレフさんの命令が飛んだ!!
周囲の石柱は50本ほどだった、つまり天井近くをに舞っているガーゴイルは50匹ほどいるってことだ。
「エリー、襲って来る前に出来るだけ叩くぞ!!」
「はい!ヒデキ様!!」
俺とエリーはファイヤ-・キャノンを、ガーゴイルの群れに叩き込む。
俺のファイヤー・キャノンは一体にぶつかり、飛び火して横の2体を巻き込んだ。
合計3体が墜落した。
エリーのも同じく3体を屠った。
リーナはストーン・キャノンで狙いをつけて打ち込んだ。
1体のガーゴイルが墜落する。
この調子で、行こうと思ったのだが、ガーゴイルは群れるのを止め、バラバラに飛び始めた。
しかもたちの悪いことに、ランダムで襲いかってきたのだ。
ガーゴイルの攻撃は単純だ。
ヒットアンドアウェイ・・・アウトボクサーの戦法である。
狙い撃ちされないように、ランダムに飛び回り、5,6体が同時に急降下して来て、手か足の爪で、引き裂こうとする。
攻撃したら一瞬で急上昇、その時には次の5,6体が急降下して来るのだ。
魔術師のローブは魔法攻撃に対する耐性は、かなりのものだが、物理攻撃にはそこまで強くない。
ガーゴイルの爪はできるだけ避けなければならなかった。
急降下してくる場所から、横飛びに逃げたり、顔を狙われるとしゃがんだりして、避けるのだが、連続攻撃を避けきれず徐々に傷が増えていった。
デトレフさん達、対石像組みも苦戦している。
戦法は変えていないのだが、魔術師3人が抜けたため、石像が背中を攻撃されても、あまり振り返らなくなったのだ。
今は前に2人後ろに3人のフォーメーションで闘っているが、石像が振り回す4本の刀を防ぐのが精一杯になっている。
ガーゴイルの攻撃も途切れることはない。
このままではジリ貧だ。
魔力の消耗はなるべく避けたかったが、仕方がない。
「エリー少しだけ時間を稼いでくれ!!」
「畏まりました、ヒデキ様!!」
俺はしゃがみ、エリーが俺の前にウィンド・ウォールを張った。
急降下して来たガーゴイルの勢いがなくなり、ガーゴイルは慌てて上昇しようとする。
その隙にリーナがストーン・キャノンを打ち込んで、一体を撃墜した。
俺は急いでスマホの画面から、ショートカット画面を選び、1つのフォルダを選んだ。
そして、フォルダを開いて魔力を全力で込めた。
俺の体が青白く光、魔法攻撃が放たれた!!
書いている途中、リーナだか?リーネだか分からなくなり、困りました。




