イレーネのその後
書いて投稿してて何ですが・・・この話はいらなかったですね。
失敗しました。
冒険者専用の店に寄って、宿に戻って来た。
店に寄って買い物をしたつもりが、お金が増えてしまったのは、予想外の幸運だった。
少し心が痛かったが・・・
クラウスの言う通り、俺が地球から持って来た物は売れる。
まさか、安物のスーツが売れるとは思わなかったが・・・
ガウラン辺境伯が借りてくれた部屋は前日と同じ宿だが、一番高い部屋だった。
大きい窓に美しいレースのカーテン。
個室のトイレと洗面所がついていて、ベッドは大きなダブルベッドだった。
まあ、夫婦って事にしてあるからな。(ほとんどそのつもりだし)
部屋にはクローゼットが備え付けてあったので、ローブを脱いだらエリーがクローゼットのハンガーに掛けてくれた。
小さなテーブルに椅子が2つ。
俺は椅子に腰掛け、ショルダーバッグをテーブルの上に置いた。
そして、中からノーマが結晶となって眠っている水晶を取り出した。
いつ目覚めるのか分からないが、ノーマは親指の爪ほどの大きさになり、水晶の中で眠っていた。
店で買ってきたネックレスロケットを開け、中に水晶を入れた。
そのネックレスを俺は首にかけてロケットに描いてある魔方陣を起動させた。
ネックレスの鎖が一瞬青い光に包まれた。
これで、鎖は決して切れなくなった。
俺が魔法を解除しない限り鎖は切れない。
盗むなら、俺の首を切り落とすしかないのだ。
俺が生き続ける限り、ノーマは目覚めるまで俺の胸元にいるわけだ。
エリーが羨ましそうな顔をしていた。
ショルダーバッグもノーマを取り出せば、当分必要はない。
内側に結界を作り、ファスナーを閉じて、クローゼットにしまった。
肌着のほうは俺が上下3セット、エリーは5セット、これもクローゼットの引出しにしまった。
今回の魔物、魔人、魔族の事件が終わるまでは、ガウラン辺境伯がこの宿を借り続けてくれるので、根城には苦労せず済む。
宿賃もかからない。
暫くは自宅のように使える。
まずは生き残る事が大前提だが、ここで生活の基盤を固め、この地にいる間にエバートンの事も調べておきたい。
エリーは何故エバートンに檻で飼われていたのか?
飼われる以前の記憶が無いのは何故か?
記憶がないのに、ブルネル地方の知識があるのは何故か?
謎は多い。
そしてその謎を解く鍵は、エバートンが握っているのだ。
エリーを連れて行くのは危険なので、一度俺だけで調査してみたい。
まずは周辺の調査だけでもしてみようかと思う。
「エリー、そろそろ夕方だ。この街を見学がてら食事に行こう」
「はい!ヒデキ様!」
エリーは嬉しそうに、クローゼットからローブを取り出して羽織り、俺にも羽織らせてくれた。
階段を降り、表へ出る。
左へ行けばガウラン辺境伯邸なので、右へ行って見ることにした。
道の両側は相変わらず露店が建ち並び、人々で賑わっている。
露店での買い食いにも興味があったが、どこかちゃんとした店で早めの夕食を取るつもりだった。
暫く行くと、大きな四つ角に出た。
どちらに行こうかと迷って、キョロキョロしていたら、いきなり後ろから声をかけられた。
「ヒデキさん!どうしたの?いかにも魔術師みたいな格好して!」
イレーネだった。
「イレーネか、よく俺が分かったね」
「ヒデキさんの髪の毛、黒い髪の毛の人なんて、他に誰もいないわよ」
イレーネは俺の頭を指差して言った。
フードは脱いでいたから、俺の黒髪を見つけたのだろう。
確かに周りを行く人々、露店商の商人、黒髪は見当たらない。
そうか、黒髪はこの世界にいないのか?
それとも、この国にはいないのか?
俺はこの大陸にいないだけでは?と予測している。
イレーネは俺の後ろにいるエリーに気付き聞いてきた。
「ヒデキさん、その女、誰?」
「ご挨拶が遅れ、失礼しました。妻のエリーと申します」
エリーは俺に寄り添い、にっこりと笑いながら、フードをはずした。
「黒髪・・・でも、今、何て?つ、つ、つ、・・」
「妻です!!」
イレーネの顔は「鳩が豆鉄砲くらったような」という言葉が相応しい顔をしていた。
「えーと・・・ツマってツマよね?つま?つまって何だっけ?」
「落着け、イレーネ、事情を話してあげるから、どこか飯が食えるところに案内してくれないか?」
混乱の極みにあるイレーネを落着かせる。
肩を揺すりながら、呼びかける。
「イレーネ!おいイレーネ!戻ってこーい!夕食を奢ってやるぞー!」
「夕食!!」
イレーネが夕食と言う言葉に反応した。
よし戻って来たぞ!!
「イレーネ、何処かゆっくり食事が出来る店知っているか?知っていたら、案内してくれ。この子のことは、そこで説明するよ」
俺はエリーを見ながら、言った。
「わかった、案内してあげる。知り合いの店で良いよね?」
「ああ、全くブルネルの事は知らないからね。まかせるよ」
イレーネは角を右に曲がり、ちらちらとエリーを見ながら俺達を先導して行った。
暫く行くと道の向かい側に渡り、イレーネは少し大きめの二階建ての建物の扉を開けた。
「いらっしゃいませ!!」
元気な女性の声がした。
扉を入ってみると、5つの丸テーブルにそれぞれ5つの丸椅子、奥にはカウンター席の食堂になっていた。
「あら、イレーネ!どうしたの?トムなら、外の畑に仕事に行っているわよ、まだ帰って来てないわ」
トムの叔母だろうか、細身の中年女性が、カウンター奥の厨房から出てきて言った。
「トムは別にいいの!お客さん連れて来たのよ、おばさん」
「あら、ありがとう!イレーネのお知り合い?村の方かしら?」
「村に来た時に、今回の事件に巻き込まれた冒険者の人なの。こちらヒデキさんと・・・」
「妻のエリーです!!」
「妻」という言葉にイリーネがぴくっと反応した。
イレーネは村での俺を知っているからな。
いきなり妻とか言われても、明らかに変だと思うだろう。
ある意味これは想定内ではある。
「そうかい、それは災難だったね。あたしはロア、トムの叔母です。事件という事は村人を逃がすのにデトレフさんと残ってくれた冒険者さんかい?」
「そうよ、魔術師なのよ」
「トムやイレーネを逃がしてくれて、ありがとうね!通りすがりの村人を助けるなんて、なかなか出来ることじゃないよ」
「でしょう!!」
二人で俺を持ち上げる。
エリーは満足そうにうなずいている。
なにか言ってもよけい煽てられそうなので、止めておいた。
ここは話題を変えよう。
「そういえばイレーネ、冒険者ギルドに登録は出来たのか?」
「あ!それよ!聞いてよ、ヒデキさん!!今日冒険者ギルドに行って登録しようとしたのよ」
「さすがイレーネ、どさくさにまぎれて、登録してしまおうと?」
行動力のあるイレーネらしい。
作戦的にも間違ってはいない。
「登録受付の窓口に言ったら、隣の報酬受け取りの窓口にいたお父さんとハチ合わせしちゃって・・・・」
「あ~・・・あとは想像がつくな・・・」
「ご想像の通り、お父さんに首根っこ掴まれて、そのまま二階の食堂で、延々説教されたのよ・・・で、その挙句に私はお父さんの許可なく、冒険者登録できなくなっちゃったの・・・」
「それは・・・・何と言っていいか・・・」
運が悪いのを超えているな・・・いや・・・冒険者は危険な職業だ、命に関わることが多い。
イレーネは悪運が強いのかも知れないな。
「なあイレーネ。どうしても冒険者になりたいのなら、もう少し大人になって、トムと一緒に登録すればいいんじゃないかな?」
「なんでよ?トムは関係ないじゃない!!」
「冒険者なら誰かとパーティを組まなくちゃ!」
「ならヒデキさんが組んでよ!!」
「イレーネ!やめなさい!どうしても冒険者になりたいなら、魔術師か剣士の訓練を受けて、お父さんから、許可をもらってからにしなさい!」
「うっ!!わかったわよ、ロアおばさん」
ロアさんがイレーネを止めてくれて、この話は収まった。
さあ、少し早いが夕食だ。
注文をする事にしよう。
明日も投稿します。
もう少ししたら、ダンジョン攻略編になりますので、お付き合いくださいませ。




