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ガウラン辺境伯

今日は早めに投稿できました。

ほっとしますね。

ガウラン辺境伯低の正面門に着いた。

リーナが門番に声を掛けた。


「シルバーファング魔術師リーナです。魔族対策会議にヒデキ殿、その妻エリー様をお連れしました」

「窺っております、お通り下さい」


右側の男が、魔力を使って、鍵を開けて、中へ通してくれた。


「いちいち魔力で鍵を開けるのですか?」

「普通の鍵では門番が倒されて奪われれば、賊に侵入されてしまいます。ですが、この魔力錠ならば、登録した者の魔力でしか解錠できません」

「これだけ広い屋敷・・・他から忍び込めるのでは?・・・ああアラーム結界が・・」

「そうです、アラーム結界と防御結界が二重に張られています。よほどの強力な力が加わらないと、破ることはできないのです」


俺の質問にリーナが親切に答えてくれていた。

引き続き質問を続ける。


「不測の事態で門番が4人とも倒されたり、いなくなったりしたら、中から出られなくなって、困るのでは?」

「その点は大丈夫です。中からは自由に開けられるようになっています」

「ほう、それは便利ですね」


さすがブルネル地方を統治している、ガウラン辺境伯の屋敷だ。

万全の防衛体制である。


門を入ると、屋敷までまた遠かった、広い庭が広がり様々な花や樹木が植えられ、何人もの庭師が働いていた。

屋敷の玄関まで真直ぐに続く小道を歩いた。

途中でかい広場があったが、ここで私設騎士団の訓練が行われるそうだ。


空は青く澄み渡り大気汚染や温暖化を知らない空気は綺麗だ。

本当に激動の時代が来るのだろうか?

まあ魔人のいう事だ、でたらめかも知れない。

玄関に着いて、リーナがノッカーを鳴らした。

そういえば、てっきり案内役がいると思ったのだが、いなかったな。

無駄が嫌いな辺境伯らしい。

すぐに玄関が開き、絵に描いた様な執事が俺達を出迎えた。

名前はセバスチャンとかじゃないだろうな?

名乗ってくれなかったので、その辺は分からない。


「お待ちしておりました、会議室にご案内する前に荷物を預からせて頂きます。必要な物がありましたら、お出し下さい。」


俺はショルダーバッグを空け、会議用A4のレポート用紙と3色ボールペンを取り出した。

会議にはシステム手帳ではなく、レポート用紙だろう。

その後、スマホを胸ポケットから取り出し、写真データの中からアラーム結界用の魔方陣を選び、ショルダーバッグが開けられたら警報が鳴り響く用に調整して明け口を閉めた。

アラーム結界は使い勝手がよく、範囲も自由、強さも自由、調整の仕方を練習して自由自在に使えるようになった。


執事の後ろにいたメイドが俺のバッグとリーナの杖を受け取った。

メイドは猫耳でも、犬耳でも、他の獣耳でもなかった。

いかにファンタジー世界といえども、獣耳メイドはなかったか。

でも美人だ。

辺境伯のお手つきかも知れない。

会議室に案内されると、シルバーファングの他のメンバーやデトレフさんは既に来ていて、テーブルについていた。


「おはようヒデキ殿、あまり寝ていないところ申し訳ない」

「お互い様です、デトレフさん」

「ただ今、お茶をお持ちします、お座りになってお持ち下さい」


執事のおっさんが、丁寧なお辞儀をして出て行った。

楕円形の大きなテーブルに向かって右側に、シルバーファングの4人が座っていた。

そちらに向かってリーナがとことこ歩いて行き、席に着いた。

俺とエリーは向かって左側、デトレフさんが座っている側にエリーと席につく。


「では、改めて紹介してお「待たせたな!!」


ドアが勢いよく開けられ、大男が入っていた。

ずかずかとテーブルの上座に座る。


「我輩がここブルネルの領主、ガウラン辺境伯である!」


思わず耳を塞ぎたくなるようなでかい声だった。

何処かの塾長みたいな自己紹介だ。

大きな声に相応しい体格の大男だった。

髪は所謂ローアンバー色、顎鬚も同様だ。

顔の形は四角で、目つきは鋭く、瞳は碧眼、決して美男子ではないが、逞しさを感じさせる容貌だった。

日本の太閤様のように、はげネズミではなかった。


「ガウラン辺境伯におきまし「挨拶などいらん!!報告せよ!!」


デトレフさんの挨拶は遮られてしまった。

聞きしに勝るセッカチさんだ!!


「はッ!!承知いたしました!!報告します!!」

「お茶をお持ちしました」


執事が入って来て、メイドがお茶を配り始めた。


「構わん、続けろ!!」

「はッ!!レイト開拓村において、魔物が大量発生、発生源はダウの森だと思われます。ゴブリンを200体ぐらい殲滅した後に、トロールが8体襲撃、村人に避難命令を出しました」


デトレフさんはお茶を飲んだ。


「こちらの冒険者ヒデキ殿の協力で再び殲滅、しかしライカンスロープが率いるブラックウルフの群れが襲撃、続いてイフリートが現れた所で、撤退を決意」

「どうやってイフリートを含め回避すたのか?」


ガウラン辺境伯が鋭い質問を投げる。


「ヒデキ殿の大魔法でブラックウルフの群れを殲滅、イフリート、ライカンスロープを凍らせ、再び動き出す前に、撤退をしてまいりました」


デトレフさんが一気に報告を終えた。

うまくエリーとノーマの事を省いてくれている。

有難い。


「であるか・・・」


おお、秀吉なのに信長の口癖を!!

ガウラン辺境伯はそこで、一口お茶を口にした。

それにならって、俺も口にしてみる。

紅茶と煎茶の中間のような渋みがあった。

お茶と同じような木がこの星にもあるのだろう。


「確認にはいたりませんでしたが、ライカンスロープが何回も『あるじ』と言っておりましたので、魔族がいることは間違いないでしょう」

「ふむ・・・王都への連絡は?」

「昨晩冒険者ギルドから鳩を飛ばし、早馬も出しました」

「今回現れた魔族の格によっては人魔戦争もあるか・・・」

「最悪その可能性もあるかと・・・」

「王都から使者が来る前に、まずはレイト村への調査団を派遣せねばならん、エバートンを呼べ!」

「畏まりました」


執事が機敏な動きで、出て行った。

エバートンって誰なのだろう?

この辺境伯が呼ぶのだ、かなりの重要人物に違いない。


「エバートンが参るまで、しばし休憩だ」

「それではこの時間を使いまして、ヒデキ殿を紹介いたします」


この時しかないと言う気迫で、デトレフさんが俺の紹介を始めた。


「魔術師のヒデキ殿です。彼の魔法がなければ、私はここにいなかった事でしょう!この度の一件、ヒデキ殿に協力を仰ぐ所存です」

「ヒデキと申します。魔術師としては、未熟ではありますが、以後お見知りおき願います」

「ほう・・・」


ガウラン辺境伯がじろりとこちらを見て、目線をエリーに移した途端、表情が変わった。

威厳のある領主の顔から、好色スケベ親父の顔に一瞬で変貌した。


「ヒデキ殿の横にいる女性はどなたかな?」


ガウラン辺境伯以外、全員がまずい!!と言う顔に変わった。


「こ、この女性は・・・「妻のエリーです私と同じ魔術師です!」


デトレフさんが言いよどむ間に、俺が妻宣言した。

先手必勝だ!!


「ヒデキの妻、エリーでございます。ヒデキ同様、以後お見知りおきを!!」


エリーは嬉しそうに立ち上がり、ガウラン辺境伯に挨拶した。

ガウランは残念そうな顔をした。

本当に女好きなんだな、この殿様・・・もとい領主様は・・・

俺はエリーと共に生きると決めたのだ、絶対に誰にも渡さん!!


「そうか、実に美しいな、羨ましいぞ、ヒデキとやら」

「私にはもったいないほどの妻で御座います」

「うむ、大事にいたせ」

「ハッ!!」


ドアがノックされ、執事と男が入って来た。


「エバートン様をお連れしました。」

「エバートン、参上いたしました!!」


痩せて、いかにも陰気そうな男が入って来た。

エバートンは伯爵に臣下の礼をすると、そのまま扉の前に立った。

その顔を見た瞬間、エリーの顔色が変わった。



重要人物の登場です。

さて、最後に登場したのは?

バレバレですけどね・・・

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