さらに強敵
なんと書き上げたところで、投稿し忘れるという大チョンボ。
とにかく、今投稿します。
エリーはブラックウルフに囲まれて、波状攻撃を受けている。
しかし、攻撃色(褐色)のエリーの鱗は堅い。
ブラックウルフの爪も牙も弾いてしまう。
襲いかかられる度にエリーはブラックウルフを殴り倒し、あるいは尻尾で薙ぎ払ってブラックウルフの数を減らして行った。
「ファイヤー・キャノン!ファイヤー・キャノン!」
人狼は動きが素早く攻撃力も尋常ではない。
俺のファイヤー・キャノン連発をあっさり交わし、するどい爪で切り裂こうとして来る。
カウンターを狙ったデトレフさんの剣も、難なく避け、俺に爪が迫る。
俺はこの世界の人間のように戦い慣れているわけではない、普通ならこれで終わりだ。
が、人狼の爪が俺の身体に触れる直前に跳ね返った。
「なにぃ!!」
バランスを崩した人狼をデトレフさんが切りつけるが、人狼はかろうじて躱し距離を取った。
「面妖な!体を切り裂く前に弾くとは?どのような仕掛けだ?」
人狼は驚いて呟いた。
からくりは簡単だ。
ノーマが俺の身体に聖なる結界をかけてくれているのだ。
俺の体を包み込むように体から5センチ離して結界を展開している。
当然アラーム結界の何倍も強力な結界だ!!
人狼と戦闘開始の前に、ノーマが小声で防御魔法に徹するから、安心して戦えと言ってくれたのだ。
ただし、俺とでデトレフさんの連携攻撃も単調でうまくいかない。
ファイヤー・キャノンの連発と、デトロフさんの銀の剣(正確には銀メッキだが)も躱されてしまうのだ。
戦況打開の可能性としてはエリーの参戦だが、ブラックウルフもエリーの強さを学んだらしく、遠巻きに取り囲んで、エリーの攻撃を躱しながら、疲れを待つ作戦に切り替えたようだ。
このままでは体力的にこちらが不利だ。
エリーはともかく、俺とデトレフさんは生身の人間だ。
必ず先にスタミナ切れしてしまう。
そして、俺が恐れていた事態が起こってしまった。
三度アラームが鳴り響いた。
「ここで新手か・・・かなり不味いな」
デトレフさんが苦虫を噛み潰したような顔で呟いた。
たしかに不味い。だが・・・・
新手が登場するなら、その前に非常手段、第二弾を使おう。
「デトレフさん、村に多少なりとも被害が出ますが、奥の手を使って良いですか?」
「今ここで君と儂が倒されたら、それだけじゃ済まないだろう?勿論やってくれ!!」
人狼をけん制しながら、デトレフさんが許可をくれた。
「エリー、第二弾発動だ!!」
(はい!!防御願います!!)
「ノーマ頼む!!」
「了解!!!」
俺の命令を受けて、エリーは反撃を止め、伏せるように溜めを作った。
それを隙と見たのか、ブラックウルフは一斉に飛び掛かった。
その瞬間にエリーの身体から凄まじい閃光が発せられた!
同時に俺たちの目の前に半透明の壁が出現した。
ノーマが魔法で防壁を作り出したのだ。
ノーマの持つ最強の防御魔法・・・ハザードシールド。
その壁を通して、ぼんやりと前方で起こっている事が見えた。
(ファイヤー・ノヴァ!!)
ブラックウルフは飛び掛かる姿勢、あるいは空中でその光に包まれた。
同時にエリーの周囲360度は高温に包まれ、世界が真白になった。
シールドがなければ、目が潰れていたであろう、まぶしさだ。
時間にして、コンマ一秒ぐらいの出来事だった。
俺たちより前方は、エリー以外何も残っていなかった。
エリーは100メートルを全力疾走した陸上選手のように、ハアハアと荒い息をしていた。
デトレフさん、村のみなさん、申し訳ない・・・多少の被害じゃなかった・・・
これがファイヤー・ノヴァ。
エリーの持つ最強の攻撃魔法だ。
あまりに周囲の被害が大きいため、封印していたのだ。
当然スマホで魔法陣を写メることも出来ない。
ファイヤー・ノヴァの跡を見て、デトレフさんが驚愕の声を上げた。
「多少の被害か・・・」
「すみません!ここまで凄いことになるとは、思いませんでした!」
「かまわんよ、それにしてもお前さんの使い魔は、とんでもないな」
「相棒です」
「そうそう、相棒だったな・・・それと、さっき聞こえた声は誰だ?ノーマ?」
デトレフさんは俺を見た。
ノーマが声出してしまったからな・・・
俺の声ですとは言えないし・・・
「これも内密に願いますよ、ノーマ顔だけ出してくれ」
「ごめんねヒデキ!つい声がでちゃったよ。ハーイ、こんにちはー、デトレフさん」
ポケットから顔だけではなく胸まで出して、品をつくるノーマ。
「ウオッ!?ピクシーか?いや、胸がある!ハイピクシー!!」
「正解~」
「なるほどなぁ、これが結界魔法と攻撃魔法の同時発動の秘密か!」
「くどいようですが、ご内密に!」
「分かったよ、ハイピクシーがいると分かれば、よからぬ奴らが寄って来るからな」
「やはり来ますか・・・」
「残念ながら、善人ばかりではないのは、何処でも同じさ」
「全く驚きましたよ」
「!!??」
後ろから声が聞こえた。
そこには人狼が立っていた。
恐らくエリーが魔法を放った瞬間に、すかさず俺達の後ろに回りこんだのだろう。
全く抜け目ない奴だ。
「形成逆転だな、エリーが戦列に復帰で3対1だ」
「いえいえ、こちらの有利は変わりませんよ、さらに後ろから援軍です」
結界の外までエリスのファイヤー・ノヴァの攻撃範囲だったから、アラームを鳴らした敵も消滅しているはずだった。
しかし、そいつは、更地と化し、未だに熱が冷めず陽炎がゆらめく中に平然と立っていた。
陽炎の中から現れたそいつは、
「イフリート!!」
デトレフさんの言葉に怯えが入っていた。
イフリート・・・炎の魔人だ。
エリーの超高熱の炎に耐えたのだ、この世界のイフリートも炎の魔人で間違いないだろう。
「俺も驚いたぞ、こんな所にサラマンダーがいるとは!?」
「ライカンスロープでさえ驚いたのに、何故、炎の魔人まで現れる?何が起こっているんだ?」
イフリートは嬉しそうな声とデトレフさんの怯えた声が被った。
「暦が変わったのだ。安寧の時代は終わり、激動の時代が始まるのだ」
イフリートが指を打ち鳴らすと、イフリートの周りに4つの炎が灯った。
グルグルとイフリートの周りを回りだす。
パチンと指が打ち鳴らされると、4つの炎がエリーを襲った。
エリーにぶつかり炎が燃え上がるが、エリーは意にも介さない。
「お互いに炎は効かんか・・ならば」
イフリートがエリーに突進し、薙ぎ払うように右腕を叩きつけて来た。
エリーは尻尾で受けると同時に、1回転してそのまま尻尾でイフリートを薙ぎ払う。
イフリートが耐え切れず、数歩後退した。
「エリー一旦こちらに下がって!!」
(!!了解!!)
ノーマの指示が聞こえると、エリーは人狼と睨みあう俺達の横まで一瞬で下がった。
「撤退しましょう!今から私があいつを暫く動けなくする。その間に撤退しましょう!いいわね!デトレフさん!?」
「ああ、一旦この村を捨てるのは規定路線だ。もう充分時間も稼げただろう。ブルネルに行って、冒険者ギルドと王国騎士団に報告して、対策を練る」
「ノーマ、あいつを止めることが出来るのか?」
「出来るわ!でもこれを使うと、私は当分使い物にならなくなる。後の事はヒデキ、デトレフさん、エリー、頼んだわよ!!」
「分かった」
(了解です、ノーマ)
「分かった、お前のことは俺が必ず守る」
「ありがとう、じゃあ、始めるわよ!!」
「相談は纏まりましたか?そろそろ決着を着けましょう」
いつの間にかイフリートの横に立つ人狼が殺気を迸らせた。
「気が合うわね!私も同じ意見だわ」
俺の胸ポケットから、上半身を出し、ノーマはにやりと笑った。
本日、もう一話投稿します。




