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妖精達

2話目です。

まだプロローグですね。

俺は呆然と夜空を見上げていた。

昼は大草原を見て呆然とし、夜は夜空を見上げて呆然としている訳だ。


見上げた夜空には満月が輝いていた。


しかも大小の月が10個以上も!!


地球ではない!!!???


見覚えのある星座もない。


しかも月が1,2,3,4,5、、、、、12個。

月と同じか少し大きいくらいの月が4つ。

その半分くらいの大きさが6つ。

残り2つはそのまた半分くらいの大きさだった。


衛星を数多く持つ惑星、太陽系なら木星か土星だが、ガス状の惑星で、どちらかと言えば太陽に近い。

どちらも地球型の惑星ではなく生物が生息できる環境ではないのだ。


大気はある、しかも呼吸をしていて息苦しくない。

充分な酸素があるという事だ。


重力はどうだろう?

ジャンプしてみる。

いつもどおりのジャンプしかできない。

それは、ほぼ1Gであることをを証明していた。

少し残念だった。

重力が100分の1くらいなら、俺はこの星では、地球に来たカル・エルさんと同じことになったのに。


太陽系ではない・・・

太陽系とはまったく違う銀河系のどこか?

あるいは銀河系でさえないかも知れない。

アンドロメダとか?

夢が広がるな・・・などと夢を広げている場合ではないのだが。


仰向けに寝転び、夜空を見上げながら、今一度心を落着かせる。


地球ではない、異世界に来てしまった。

俺について来た緑色のトカゲは、俺の横で丸くなって寝息を立てている。

どうりで見たこともないトカゲのはずだ。

まずは、ここが地球ではないと分かった。

どうして此処に来てしまったか?地球に戻れるのか?は後回しだ。


まずは、どうやって生きて行くか?

会社に行く必要はなくなったが、それ以前の大問題が俺の前に立ち塞がっている。

人間ではなく、ほぼ全ての生き物が必要とするものだ。

そう、食料!!

当面の問題は、食糧問題だ。


食料はカロリー◎イトが1箱(4ブロック)と1ブロック。

飲料水が500ミリペットボトルに半分ほど。

食料と水の問題を解決しなければ、1週間以内にお陀仏だ。

特に水・・人間は水分補給がないと、脱水症状に陥り、三日ほどで死んでしまう。

俺の知識では、確かそうなっていたはずだ。

サバイバルの知識はほとんどない、となると・・・

なんとか人里にたどり着くか、この大草原で食料と水を探すか、まあ人里を探しながら食料も探すという流れが正解だろう。

考えをまとめ、心を落着かせた。


さて寝るかと思って、体を横に向けたら草の間で何かが動いた気がした


「何だ?」


たくさんの月明かりで、この星の夜は明るい。(地球ではないのは確定なので、この星だ)

都会の眠らない歓楽街並みの明るさだ。

トカゲは相変わらず寝ていて、目を覚まさない。

危険ではないのか?それとも俺と一緒にいて、安心しきっているのか?

多分、前者だろう。

起き上がり、何かが動いたと思われる当たりの草を軽く蹴り上げてみる。

ふわっと、小さな丸い光が浮かび上がった。


「蛍か?」


一瞬そう思ったが、蛍のように点滅はしていなかった。


それは羽を持った小さな人間だった。

その小人が光っていたのだ。


「妖精?」


そう表現するしかない生き物が飛んでいた。

大きさは掌よりも少し小さく、ライトグリーンの体、透明な四枚の羽。

着衣はない、全裸だ。

全身から、光が発せられ、それが丁度蛍の光のように見えたのだ。

妖精は俺からすこし逃げるように遠ざかったが、2mぐらい離れてから、俺の顔くらいの高さでホバリングしている。

小首をかしげたポーズでホバリングしながら、こちらを興味深そうに見つめている。

目を凝らして見ると、一丁前に腰にくびれと貧乳だがバストまである。


「本当に妖精か!?と言うことは、ここはファンタジーの世界だったりするのか?」


思わず口に出してしまった。

妖精は一瞬ビクッとして、逃げそうになったが、俺が何もしないのを確認して、また近付いて来た。

好奇心旺盛なところも、ファンタジー小説によくある妖精の性格と同じだ。

他の天体ではなく、異世界なのだろうか?

よく考えれば、他の天体だろうが、別次元だろうが、異世界には違いない。


妖精は、俺に触れる距離まで近付いて来た。

そして恐る恐る俺の鼻に触れ、完全に無害だと思ったらしく、にっこりと笑い、俺の顔の周りを、飛び始めた。

なんとなく気分が良い。

ファンタジー世界の主人公になった気分だ。

そうこうしているうちに、色んな肌の色の妖精達が俺の周りに集まって来た。

幻想的な光景が俺の周囲で踊っていた。

妖精が放つ光も多彩で、まるでクリスマスのイルミネーションのようだった。

本当に美しい光景だ!!


地球じゃネズミの国のティンカーなんとかという、生意気な妖精が有名だが、この星の妖精はみんな気さくそうで、しかも全裸だ!

それがどうした?とか言われると困るのだが、まあいいじゃないか。


「やあ、こんばんは!良い夜だね?」


通じるかどうか分からんが、挨拶をしてみた。


『こんばんは~』


複数の可愛らしい複数の声が頭に直接響いて来た。


おお!!通じたぞ。

これは色々質問できるかも知れん。

知りたいことは山ほどあるのだ。

早速質問してみよう!!


「君達、聞きたいのだけど、ここは何処なんだい?」


『???ここ???ここはここだよ』

『あそこは、あそこ・・・』

『あっちはあっち・・・』

『こっちはこっち』

『そっちはそっち』

『どこ?どこ?そこ?こっち?あっち?そっち?あははは、、』

『うふふふ、、』

『えへへへ、あはは、、あーははは!!』


支離滅裂だ、会話にならん!

身の丈と同じで、知能もあまり高くないのかも知れないな。

質問を変えてみるか。


「じゃあボクと同じような人がどこにいるか知っているかい?」

『人!?あなたは人?』

「そう、ボクは人だよ」

『人!』『人だって!!』

『人よ!人なのよ!!』

『人って人間なのよ』

『人間!!??』

『怖い!恐い!コワイ!!』

『捕まったら、もう帰れない!こわい!こわい!こわい!』


いかん、恐慌状態パニックになってしまった。

妖精達が俺の周りを、猛スピードで飛び回る。

なんとか落着かせなければ!!

俺は両手を左右に広げ、何もしないアピールをして妖精達に優しく語りかけた。


「大丈夫、捕まえないし、恐くないよ!」

『ホント?』

『本当?』

『ほんとうに?』

「本当だよ!ボクは君達を捕まえたりしない」

『捕まえない?』

『いじめない?』

『ホント?』

『ホント?』

『本当?』

『ほんとうに?』

『ウソ!』

『ホント?』

『ほんとう?』

『嘘!』

『本当?』

『ウソ!ホント!うそ!ほんと!嘘!本当!』

『ウソ?ホント?うそ?ほんと?嘘?本当?』

『あはははは、、うふふふふf、、あーはははは、、、』


ラチがあかん。

これでダメなら、質問はあきらめよう。


「君達を捕まえる悪い人間はどっちにいるか分かるかい?」


『『『『『あっちだよ!!!』』』』』


妖精達が一斉に同じ方向を指差して、答えた。

なるほど、あっちの方向に人がいるのか。

今まで進んでいたのが、南なら、ここから東の方向だな。

頭がおかしくなりそうな会話だったが、これで道に迷わずに済むかも知れない。

いや、もしかしたら、妖精達が間違っているかもしれないが、まあ、あてども無く進むよりはましだろう。


妖精達は一騒ぎしたら落ち着きを取り戻し、また俺の周りをゆっくりと飛び始めた。

髪の毛を引っ張ったり、鼻の頭にキスしたり、耳を引っ張ったり、やりたい放題だが悪い気はしない。

俺はロリコンではないが、決してないが、全裸の小さな可愛い女の子?(小さすぎるが)になつかれて嫌な男(女もか)は、いないだろう。

しばらく至福の時が続いた。


いつの間にかトカゲも起きてきて、妖精達に負けまいと、俺の足に体をすりつけていた。

地球では平凡すぎて、あまりモテなかった俺が(大学時代に彼女はいたが)、ここじゃモテモテだ!!


『『『『『!!!』』』』』


と、妖精達がいきなりチリジリになって逃げ出した。

何があった?

足元のトカゲも警戒するように俺の足元で緊張しているように見えた。


明日も投稿します。

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