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反撃

ここまでが、第1部です。

「見事だ・・・人間がこれほどの魔法を使うとは・・・実に見事だ!!大魔法を連発するのも驚いたが、魔力を共有するとは!!かの地の人間はこんな事ができるのか?」

「いいえ、人間どころか、どのような生物、我々ドラゴンや魔族でも不可能です!!ありえません!!」


皇帝の言葉をブルツが否定していた。

やはり魔力の共有はできないみたいだ。

俺とエリーは、やはり特別なのだろう。


「ヒデキとエリーは、どのようにして魔力が共有できるようになったのだ?まさか最初から共有できたのか?」

「いいえ、簡単な魔法を同時に使って、何度も訓練をいたしました。ダンジョン攻略の途中で漸く魔力の共有が出来るようになりました」

「ありえない!!そのような試みは、もう何百年にも渡って試されて来たが、一度も成功した例は報告されておらんのだぞ!!」


ブルツが信じられないと言った顔で、割って入る。

その顔つきや言葉尻からも、魔力の共有がいかに奇跡かが窺える。

おそらく恵理子とエリーの複雑な関係がポイントなのだろう。


「まあ良い!!かの地への援軍は余が率いる」

「陛下!それは「余が決めた事だ!!すぐに編成を組め!!」


ブルツの発言は途中で遮られ、皇帝は闘技場を出て行った。

後にブルツが慌てて続く。

俺は久々の大魔法をぶっぱなした余韻で、エリーに支えられながら肩で大きく荒い息をして立っていた。


「ヒデキ殿!見事だったよ。ご苦労さん」


ラスタが労いの言葉をかけてくれる。


「ああ、どうも・・・久しぶりの大技で疲れたよ」

「部屋を用意するから、ゆっくりと休むと良いよ。明日にはかの地へ出発すると思うから」

「えっ!?そんなに早く?」

「ん!?早いほうがいいだろう?」

「それはそうだけど」

「皇帝陛下が救援隊を率いると言ったからな。明日にはかの地へ出発だ。もちろん俺も行くぞ!!」

「はあ?・・・・」

「まあ良い、ほら行くぞ」


ラスタはてくてくと歩き始める

その後を?マークを頭につけた俺達が続いた。


「陛下!なにとぞお考え直しを!!」

「やかましいぞ!!ブルツ!余はかの地の者と約束したのだ!今更、余が出撃を取りやめることが出来るか!!あやつは約束通り、余を納得させたのだ。今度は余が約束を守る番であろうが!!」

「・・・・」


なんとか出陣を取り止めさせようとするブルツに、皇帝は畳み掛けて黙らせた。

どうやら諦めたらしい。


「余が出陣している間は、いつも通りブルツ、貴様にまかせるぞ!!」

「ははっ!命に代えましても、ご命令を遂行いたします!!」

「うむ!!明日の昼までに、援軍の編成をしておくように!!」

「はっ!!」


皇帝の声が響き渡る中、俺達は客室に案内された。


「今日はここで休んでくれ。明日君達の大陸に行くからな」

「それなのだが、転移魔法陣の大きさでは、ドラゴンタイプの下級龍では入る事ができない。どなたか転移魔法の使い手がいるのか?」


援軍を頼んだのは良いが、移動の方法を考えていなかった。

いきなり隣の大陸へ行って、救援を求めろと言われたから、それ以外に頭が回らなかったのだ。

まさか、ドラゴンが助成してくれるとは想像もつかなかったからな。

俺の質問にラスタは何を言っているのだ?この人間は?

と言わんばかりの顔つきになり


「転移魔法なんか使わないさ、俺達はドラゴンだから、かの地まで、飛んでいくのさ!!」

「飛んで?」

「そうだ俺達皆で飛んで行く!!ドラゴンの大群が大空を覆うのだ!!考えただけでも。血湧き肉踊るだろう!?」


いやいや、想像しただけで、恐いんですが・・・

そう思ったが、ラスタに合わせて笑って相槌を打っておいた。

なるようになるだろうと、客室で横になり少し眠ったと思ったら、突然警報が鳴り響いた。


「何だ!?何が起きた?」


ベッドから飛び起き、廊下へ出る。


「一体何が?」

「敵襲!!上空に多数の魔族!!戦えるものは皆出撃せよ!!」


魔族?魔族がこの大陸へも!?

俺達も慌てて、外へ出る。

上空を上位魔族で覆われていた。

数が異常だ!!

そこへドラゴン達が迎撃のため、上昇して行く。

皆、本来のドラゴンの姿に戻っていた。


「ヒデキ様!私もドラゴンになって、上空へ「いや、ここはあえて、地上に来るだろう敵の迎撃をする!!」


はやるエリーを宥め、魔力回復ポーションをお互いに飲み、街中を見渡すと地上に降り立つ上位魔族も多数いた。


「やはり地上にも来たか!!」


ラスタが人型のまま、俺達の横にならんで立ち、いきなり地上の上位魔族に電撃の攻撃をしかける。

負けずに俺も、サンダーレインの魔法を使った。

建物に被害はでるが、ドラゴン達は大丈夫だろう。


上空では、ダンジョンで苦戦した上位魔族と同格であろう魔族へ、ひときわ大きな金龍ゴールドドラゴンが、凄まじいブレスで攻撃していた。


「あれが龍皇帝?」

「そうだ、我らを統べる龍皇帝の真の姿だ」


上級ドラゴン達に加えて、下級ドラゴンも次々と合流し始める。

さらに、龍皇帝が眷属のワイバーンや翼竜を召還し、上空はドラゴン達で埋め尽くされた。


「ものすごい数のドラゴンだ・・・」


俺は、唖然として上空を見上げた。


「魔族どもが!!奇襲をかければ勝てるとでも思ったのか?甘いわ!!」


龍皇帝の声が響き渡り、その強烈なブレスが上位魔族達を薙ぎ払う!!

上位魔族達も自らの持つ最強の攻撃をドラゴン達に放つが、ドラゴン達には一切ダメージは通らなかった。


「すごい!!上位魔族の攻撃が全然通用しない!!」

「当然だ!!龍皇帝の能力の凄いところは、近くにいる全てのドラゴンに、自分と同様の防御力を付与できる事だ。近くにいれば、ほぼ落とされることはない!!」


ラスタの解説そのままに、上空のドラゴン達は上位魔族の特殊攻撃をものともせず次々と上位魔族を落としてゆく。

地上に落ちて来た上位魔族達も、俺とラスタが止めをさして行った。

3時間ほどが過ぎると、攻撃を仕掛けてきた魔族は全て殲滅されていた。


龍皇帝や上位ドラゴンは人型になり、地上に降り立ち、下位ドラゴンや召還された眷属のドラゴン達は上空を舞っている。


「魔族どもめが!調子に乗りおって!!余の逆鱗に触れたな!!」


龍皇帝の怒りに満ちた声がドラゴニアの空へ響き渡る!!


「ルシファーめが、魔王だの何だのといい気になっておる!!奴がその気ならば、人魔大戦ではなく、龍魔大戦を起こしてくれようぞ!!・・・」


龍皇帝は一息つき・・・


「ブルツ!!」

「はっ!!」

「このままかの地へと攻め込むぞ!!ここの守りは任せたぞ!!」

「陛下!!それはあまりに急です!!再考いただけるよう御願い申し上げます」

「ならん!明日の出撃が今になるだけだ!!いつぞやの人魔大戦の時のように、我々ドラゴンに不干渉であれば良い!!今まで龍族と魔族の不可侵は暗黙の了解だったはず!それを破り、よりによってわがドラゴニアへ攻め込んで来るとは、決して許さん!!」


龍皇帝の怒りは一向に収まる様子がない。

ブルツはなんとか宥めようとしているのだが、一切聞く耳を持たない感じだ。

龍皇帝は再び金龍ゴールドドラゴンの姿になり、上空へと舞い上がる。

他の上位ドラゴン達も続いた。


「やれやれ、魔族は皇帝陛下の逆鱗に触れてしまったようだ。ヒデキ殿、出発の準備を!!」

「準備と言っても、このまま行けるが・・・」

「ヒデキ様、私が飛びましょうか?」

「いや、翼竜を召還しよう」

「俺が乗せて行こう!」


ラスタがドラゴンへと変身した。


「凄い!!」


俺の口から驚愕の声が漏れ出てしまう。

ラスタの鱗は見事な銀色だった。


銀龍シルバードラゴン!!」


龍皇帝=金龍ゴールドドラゴンに並ぶ、最上位ドラゴン。


「さあ行こう!!三人とも俺の背に乗れ!!ほら!!皇帝陛下はもう、出発しそうだ!!」


悩んでいる暇はなさそうだ。

俺達が銀色に輝くドラゴンの背中に乗りこむと、ラスタは一瞬で飛び立った。

直ぐに龍皇帝=金龍ゴールドドラゴンの横に並んだ。


「来たか!!ラスタ!!先頭はお前だ!!余は殿を受け持とう!!行け!!全軍ラスタに続けー!!」


上位ドラゴン50、下位ドラゴン250が一斉に上空へ舞い上がる。

先頭のラスタ乗る俺は、後を振り返る。

無数とも思えるドラゴン達が後に続いていた。


俺はラスタの背で、今までの出来事を思い出していた。

異世界に飛ばされて、エリーと出会い・・・

草原と大森林を踏破して、冒険者になった。

必死でダンジョンを攻略したと思ったら、魔族の姦計に嵌り、敗走。

隣の大陸まで援軍を求めて来て・・・

気がついたら、有名な歌のタイトルのままに、銀の龍の背に乗っている。

この先、どのような運命が待っているのか分からない。

だが、俺は・・・元の世界よりも、ザナ大陸にある王国が恋しかった。



体調不良、プロットの全面改稿、色々と遅れ遅れ投稿してまいりましたが、当初予定していた第1部はここで終了です。

第2部は構想していた物を白紙にして、ただ今設定等を作り直しております。

次回投稿はできるだけ早く投稿いたしますが、予定としては2ヶ月ほどの間隔が開くと思います。

必ず、第2部を再開はいたします。

俺達の戦いはこれからだ・・・ではありませんので気長に待っていただければ、幸いです。

ちなみに、以前からプロットのみ作ってあった、新作も投稿する予定ですので、よろしくお願いいたします。

新作はこちらとノクターンノベルの併用する実験作品になる予定です。

興味がありましたら、またお付き合い下さいませ。

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