唯一の手段
連載を中断してしまい、申し訳ありませんでした。
プライベートで、色々とあり、執筆の時間が取れませんでした。
連載再開しますので、よろしくお願いします。
「1つだけ?それはどんな方法だ?」
ラスタに俺は問い直した?
エリーやクロエも希望を見出したように、ラスタを見る。
「俺達の国に・・・龍帝王が住まう、アドラル山脈に来ないか?」
・・・しばらくの沈黙・・・
「君の国へ?」
「そうだ我国・・・ドラゴニア帝国に来れば、援軍が頼める」
「それは、君達ドラゴンの援軍と言うことか?」
「そうだ、竜王王国の国王に謁見するのは不可能に近いが、ドラゴンカイザーに謁見するの可能だと思う」
「いやいや・・・無理だろう?一介の人間の援軍要請など龍皇帝が受けてくれるわけがない、謁見さえ無理だ」
俺は左右に首を振る。
「そうだな・・・君じゃ無理だ」
「では何故?」
「君の奥さんが鍵だ!!」
ラスタはエリーの方を見て、にっこりと笑う。
「わ、私が・・・鍵ですか?」
エリーはドギマギしたように問い返す。
「ドラゴンは決して仲間を見捨てない。だからあなたが、あなた自身が皇帝に謁見して助成を頼めば援軍を出してくれるだろう」
「私を仲間と認めてくれるでしょうか?私はこの国のドラゴンではありませんよ」
「そこは問題ないと思う・・・皇帝に謁見さえできれば・・・」
ラスタが少し口ごもる。
「つまり謁見するのに障害があると・・・」
エリーがラスタに問いかけた。
「皇帝に謁見する前に、宰相と謁見しなければならなのだが・・・」
「宰相に問題があると?」
口ごもるラスタに俺が横から口をはさんだ。
「宰相は切れ者だが、好色で狡猾だ。君を亡き者にして、奥さんを横取りしようとするかも知れない」
ああ、なるほど・・・ガウラン辺境伯の悪代官バージョンか・・・
どの世界でもいるものだ。
「つまり、助成を求めるには龍皇帝と謁見しなければならない。だがその前に会う宰相に邪魔される可能性が高いと・・・」
「邪魔と言うか、あなたは殺され、奥さんは妾、その娘は奴隷に落とされる・・・」
ラスタは淡々と言った。
きっとよくある事なのだろう。
「そのような悪代官が罰せられることはないのか?」
「先ほども言ったが、切れ者なのだ。自分では手を下さないし、決して証拠は残さない。気に入った女を妾にするにしても、公には夫を亡くした妻を不憫に思い、面倒を見る形になるまで手を出さない」
ああ、どこの世界でも狡猾な政治家はいるものだな。
さてどうしたものか・・・
ラスタと俺は考え込んだ。
「あのう、私が男になれば問題ないのでは?」
「はあ~?」
エリーの言葉にラスタが素っ頓狂な声を上げる。
なるほど、その手があった!!
「奥さんが男装を?すぐに露見するぞ」
「いえ、私の変身能力で、完全に男になるのです。もしや宰相様は男色の気も?」
「いやッ、それはない。妾を多く囲ってはいるが、男色趣味は皆無だ。だが、性別を変える変身能力は一部のドラゴンにしか持てない能力・・・」
ラスタはエリーをまじまじと見て続ける。
「私の見た限り、奥さんは火龍のようだが、違うのか?」
「違います」
「では?種族は?」
「分かりません。私はある人間に造られたドラゴンですから」
エリーは自分の正体を明かす気はないようだ。
まあそのほうが良いだろう。
「造られた?よく分からないが、分かった事にしておくか・・」
ラスタは勝手に納得してくれたようだ。
「それでは早速、男になりますね」
「ちょい待って!!ここは人目がある。俺が泊まっている宿で頼む」
男に変身しようとするエリーを、ラスタが慌てて止めた。
□
「ここなら、誰にも気付かれない。思う存分変身してくれ」
ラスタが泊まっている宿に戻り、彼の部屋に入った。
エリーは部屋に入るなり変身を始めた。
少し辛そうな表情だったが、すぐに変身は終わった。
短髪の美青年がそこに立っていた。
「これでどうでしょう?」
「ほう!!これは、すごいな!!完全に男だ!!」
ラスタから感嘆の台詞が漏れる。
エリーの変身は見事だった。
顔は少し女っぽいところを残していたが、エリーの面影はなくなっている。
これで、男性用の衣装を着れば、元の姿に戻った時もエリーと同一人物だとは思われないだろう。
「それでは使いの者を出して、謁見の段取りを取るよ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「少し時間がかかるかもしれない。ここに宿を取っておくから、休んでいてくれ」
ラスタは部屋を出て行ってしまった。
時間がかかるのか?
ならばエリーの男装は、後でも良かった気がする。
クロエとエリーと俺達3人がラスタの部屋に残った。
ガウラン辺境伯やエバートンが気になるが、ホットラインをつなぐのは自重した。
落ち着いたら向こうから連絡が来るはずだ。
「ヒデキ様、私が勝手に事を運んでしまいましたが、よろしかったのでしょうか?」
エリーが恐る恐る俺に聞いた。
「ドラゴン達の救援を求めるには、これしかないみたいだ。良い判断だったぞ」
「ありがとうございます」
俺の言葉にエリーがほっとしたように、微笑んだ。
クロエが宿屋の厨房を借りて、部屋にあったお茶入れて来てくれたので、3人で一息つく。
相変わらずクロエは寡黙だが、よく気がつく娘だ。
魔法で命を与えられた存在とは思えない。
エリーともすっかり仲良くなり、本当に連れて来て良かったと思う。
お茶を飲み終える頃に、ラスタが戻って来た。
「使いの者を出した、ここ一泊して、明日の朝に出発する」
部屋に入ってくるなり、ラスタは用件を言って、にやりと笑う。
「俺の眷属の翼竜を飛ばしたから、明日の朝に出れば、宰相との謁見の段取りは整っていることだろう」
「ドラゴニア帝国へはどれぐらいかかる?」
「ドラゴンの翼で半日もあれば着く、昼過ぎ頃には好色宰相と謁見出来るさ」
「ドラゴンの姿で行くのなら、男になる必要はないのでは?」
エリーが根本的な事を質問する。
ドラゴンの美意識がどうなっているかは分からないが、確かにエリーが言っていることは一理ある。
「いや、我々の城は人間のサイズに合わせて作られている」
「何故?」
「人型に変身できることが、ドラゴンの能力を証明することになるからだよ。人型に変身できないものは、力が足りないということだ」
よく分からないが、ドラゴンにはドラゴンの矜持があるのだろう。
とにかくここで一泊して、明日の朝にドラゴニア帝国へ出立、昼過ぎに到着して、宰相と謁見する・・・これが最短の予定と言うことだ。
明日には俺達の運命が決定される。
この世界に来てあまり経っていないのにこの展開か・・・国・・・いや1つの大陸の運命が決まるのだ。
「さて、明日の朝まではやることがないな。少し休んでから、夕食でも取りながら情報を教える。それでいいな」
「ああ、それで良い」
「出立が明日なら、変身は明日でも良かったですね」
「いや、実際に変身を見せてもらわなければ、信用できなかった。疑ったのは詫びるが、そこは分かって欲しい、奥さん」
「エリーで良いですよ」
「それでは、エリー殿で・・・この後外食に行くので、変身は解かないでもらいたい。誰に見られているか分からないから、エリー殿は男で通したほうが良い」
「どうしてでしょう?」
「宰相の部下もこの国に入り込んでいるはずだからさ。ここから皇帝に謁見するまでは、エリー殿は男で通したほうが安全だ」
「なるほど、わかりました」
軽くて優男だと思ったが、ラスタは結構切れ者だったみたいだ。
□
ラスタの案内で、城内でも大きな居酒屋に入って食事をする事になった。
男エリーの服は、ローブではなく、ラスタから借りたスーツだ。
ラスタが案内してくれた居酒屋は、夕食時もあって、混雑している。
少し待って、4人掛けのテーブルに案内され、エスタが肉料理中心に4人分の夕食を注文してくれた。
料理を待つ間の食前酒を注文し、4人で乾杯をする。
「昼とは逆に賑やかな店に来たな」
「エリー殿の姿をなるべく多くに見せるためさ。特に・・・俺の後の奥に座っている奴にね」
ラスタが言った方は、カウンター席で、さきほどからこちらを盗み見している、男がいた。
プロットを全面的に見直しますので、投稿ペースは3日~7日間隔になりますが、徐々にペースをあげて行きます。




