ラスタ
異世界で別の大陸へ行く・・・そこはまた異世界ですよね
「俺の連れに、肩越しで話しかけないでくれるかな?」
「ん?君は人間だろう?言っている意味・・・分かるよな?まさか知らないで一緒にいるわけじゃないだろう?」
「当然だ!!俺の妻に何の用があるんだ?」
優男は驚いた顔をして
「妻ぁ~!?おいおい、ドラゴンと人間が番になるとか?ありえないだろう?」
「失礼な!!私はヒデキ様の妻です!!」
エリーは俺の前に出て、優男に反論する。
「洗脳?隷属契約?そうではないみたいだな?」
「当然です!!これ以上無礼が過ぎると、同族とは言え、許しませんよ!!」
エリーの言葉に殺気が帯びる。
優男は慌てて一歩さがり、肩を竦めた。
「おっと!そんなつもりじゃなかった。俺以外に人化している物好きなドラゴンがいたんで、ちょっと興味が湧いて見に来ただけだ。失礼した」
あっさりと優男は頭を下げる。
「俺の名はラスタ・ラルゴール。ドラゴンロード・レッドガレリアの配下だ」
「俺はヒデキ、こちらはエリー、この娘はクロエだ」
「で、ドラゴンを妻にしているヒデキ殿は、いかなる目的で、竜王王国へ?」
「何から話して良いものやら・・・」
ラスタが差し出す手を取り握手して答える。
「訳ありみたいだな、先ほどの無礼のお詫びだ。相談に乗ろうか?」
「はあ・・・」
「気の無い返事だな?困っているんじゃないのか?」
「困っているけど・・・」
「俺は人としても顔が利くんだぜ、他国の人とドラゴンと話せる機会なんてないんだ。色々話を聞かせてくれよ」
「う~む・・・」
「ヒデキ様、ラスタさんに相談しましょう」
「なんだ!奥さんの方が話が分かるじゃないか!!」
「分かった!ラスタさんよろしく頼む」
「そうと決まれば、まずは入国するぞ。俺の客人ということにすれば、審査なしで通れる。膳は急げだ!!」
ラスタは俺達の前に立ち、すたすたと歩き始める。
慌てて俺達は後を追った。
「エリー、ドラゴンってあんなに軽い性格なのか?」
「私も戦い以外でドラゴンに会ったのは初めてなので、さっぱり分かりません」
「そりゃあそうか」
「ヒデキ様、エバートン様と連絡は取らなくて良いのですか?」
クロエが不安そうに言う。
「落ち着いたらエバートン参謀から、ホットラインが来る事になっている。昨日の今日では、落ち着かないだろう」
「それもそうですね・・・」
「何をこそこそ話しているんだい?ドラゴンの耳は良いから、内緒話は無駄だよ!!それより、竜王王国が見えて来たぜ」
竜王王国も普通に城壁に囲まれた国だった。
衛兵が2人、城門の左右に立ち警備している。
ラスタは衛兵に近付いてゆき、右手を軽くあげた。
「ご苦労さん!!」
「これはラスタ殿!!お帰りなさい!!東方への視察ご苦労さまです!!」
「ああ、たいした事なかったよ」
「後の方々は?」
衛兵は俺達を胡散臭そうに見る。
「俺の客人だ。持ち物は魔力回復ポーションと日用品」
クロエが背負っている大きな荷物を見せる。
「なるほど・・・魔術師の方々ですか・・・」
「東方の片田舎で出会ったんだ。竜王王国を見たいと言うから、連れて来た」
「なるほど、ラスタさんのお客人と言うことで、記名しておきます。お名前を!!」
衛兵が台帳を持ち出す。
「俺はヒデキ、こちらはエリー、この娘はクロエだ」
ラスタに自己紹介した時と全く同じセリフだ。
衛兵は俺達の名を台帳に書き込み、あっさりと城内へ通してくれた。
無用心だとは思ったが、それだけラスタの信用があると言うことだろう。
入国できなければ、夜中にでも忍び込むつもりだったから助かった。
城内へ入ると、正面の突き当たりに王城が見える。
道はブルネルと同じぐらいの幅に人々が行き来している。
違いは露天がなく、全て商店になっていること。
左右に建ち並ぶ建物が、全て5階建てに統一され、規則正しく続いている事。
亜人と人間が混在しているところだろう。
「昼には少し早いけど、その辺の食堂にでも入ろう。お客が少なくて、流行っていない店を知っているんだ・・・ほら、ここさ!!」
ラスタは斜め右側に歩き、5階建ての1階にある食堂の扉を開ける。
「流行ってないとは、何だ!!」
中から怒鳴り声が飛んでくる。
「実際、誰もいないだろ!ほら!客を3人も連れて来たんだ、怒鳴るよりも褒めてくれ!!」
中に入ると、4人掛けのテーブルが3つにカウンターに椅子が10・・・ブルネルと似たような造りの食堂だった。
俺達は左端のテーブルに行って、腰掛けた。
「紅茶を4つ、その後、昼になったらいつもの定食、4人前で頼む」
「あいよ!!」
カウンター越しに怒鳴って来たマスターは、小太りの中年のおっさんだった。
不機嫌そうに返事をして、厨房に入って行く。
「あいそは悪いけど、腕は確かだ」
「ラスタさん」
「ラスタで良いよ、俺もヒデキって言うから」
「ああ、それでは、ラスタ!」
「ん?」
「先ほどは城内に入れてくれて、有難う」
「良いって、先ほど奥さんに無礼な口を利いたお詫びと思ってくれ」
ラスタは手を軽く左右に振る。
「それより、お互いに話す事があるだろう。ここなら、誰も来ないから安心して長居できる」
「夜になれば、繁盛するわ!」
マスターが紅茶を持ってきて、反論しながら戻って行った。
「まず、君達は何処から来たのか教えてくれるか?」
ラスタがいきなり切り出した。
「隣の大陸から来た・・・と言ったら、信じてもらえるか?」
「隣の国ではなくて?」
ラスタは大陸という言葉に、無反応だ。
しばらく考え込み・・・
「なるほど、なるほど。ドラゴンロードが言っていた、世界は本当にあるんだな!」
「信じてくれるのか?」
「ああ・・・ドラゴンロードが昔、隣の世界から渡って来たと言ってたからな。誰も隣の世界には行ったことがないから、信憑性はないと思っていたんだが・・・ヒデキは竜王王国を全く知らないみたいだったし、エリーさんのようなドラゴンに会った事もなかったからな。それに・・・クロエさんだったか・・・あんたも普通の人間にしては真白すぎる。それに、ヒデキとエリーさんの髪の毛の色だ・・・衛兵は俺がいたから、突っ込まなかったが、明らかによそ者だ」
それどころかこの星の人間ですらないのだが・・・
「なるほど、信じてくれるなら、話は早い。俺達は隣の大陸のアリベリ王国から、飛んで来た。国がネオローマ王国に侵略され、援軍を探しに来たんだ!!」
「援軍?竜王王国に?また無茶な事を!?ヒデキの話は誰も信じないぞ・・・」
「やはりそうか・・・地道に味方を探すしかないのかな?」
「ヒデキ様、それでは援軍が間に合わないのでは?」
「そうだが、まずは情報が欲しい。ラスタ、この国の冒険者ギルドは何処にある?」
「冒険者ギルド?何だ?それは?」
困ったぞ・・・文化が同じようだったから、冒険者ギルドがあるかと思ったが、ないのか!?
まて・・・呼び方違うが、似たような組織はあるんじゃないかな?
「冒険者ギルドってのは・・・」
俺はラスタに簡単な説明をして、反応を待つ。
「ヒデキ流に言えば、この大陸に冒険者ギルドはない。あるのは傭兵、兵士、自警団だな。どうやらヒデキが来た大陸のほうが、組織造りは進んでいるらしいな」
「そうか・・・困ったな、国王にお目通りとか無理だよな?」
「例え俺が仲介しても無理だ。例え可能でも、ヒデキの話を信じる事はできないだろう」
「そうか・・・」
予想はしていたが、これって無理ゲーって奴じゃないのか?
この大陸での援軍は不可能かも知れないな。
すぐに戻って、別の大陸を探すか・・・
などと思っていたら、ラスタが言った。
「1つだけ方法がないこともない!!」
諸々の事情で執筆が中断しておりました。
ようやく執筆可能になりました。




