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魔族の誤算

あやうく翌日になるところでしたが、なんとか投稿できました。

王都


出現した上位魔族は人の姿をしていた。

右肩に鴉が止まっている。

その魔族が自己紹介をした。


「私の名はヴァッサゴと申します。王都担当ですので、今から王都を滅ぼさせていただきます」


ヴァッサゴを前にして、ムカイの行動は素早かった。

自分を含め、王城全体をエバートンの防御結界で覆う。


「ほう、これは強力な防御結界ですね。ですが、私を攻撃することも出来ませんよ。篭城するつもりですか?」

「まさか・・・」


ムカイは手に持っているメモを見ながら、『ホットライン』をエバートンに繋ぎ報告する。


「こちらの上位魔族は、ヴァッサゴと名乗っています。リストにあった名前ですから、増援願います」

「増援?そのような者が来る前に、王都は全て滅んでいますよ」


ヴァッサゴは不思議そうに言う。


「そうでもないぞ」

「!?」


ヴァッサゴの背後にいきなり魔術師が現れていた。


「誰だ?貴様!!どこから現れた!?」

「ん?ブルネルから来たが、何か問題でもあるのか?」


驚くヴァッサゴに魔術師は、日常会話のごとく答える。


「転移魔法だと?有り得ん!!貴様!何者だ!?」

「ああ、顔が見えなかったか?これで分かるだろう?」


魔術師は深々と被っていたローブのフードを後に降ろす。


「イ、イシュタル!?どうして貴様が人間界ここに!?」

「お前が言うのか?人の争いに介入している魔族が?」


イシュタルが指を鳴らすと、ヴァッサゴの右肩に止まっていた鴉が消滅した。


「クッ!!」

「お前を消す前に質問だ・・・お前とダンタリオン以外に、人間界こちらに来ているのは何人だ?」

「素直に答えると思うなよ!!」


ヴァッサゴの身体から漆黒の煙が溢れ出て、イシュタルを包み込む。


「やれやれ、私の今の力は5割増しだ。お前こそ、この程度で足止めできると思うなよ」

「何!?」


漆黒の煙から右腕が伸び、逃走を謀ろうしていたヴァッサゴの腕を掴んだ。

そして、指を鳴らす音が聞こえる。

一瞬で漆黒の煙は消し飛んだ。


「これでお前は、もう逃げられない。先ほどの質問に答えよ」

「ふざけるな!!答えるわけがぁぁぁ!!」


再び指が鳴り、ヴァッサゴの掴まれた腕が消滅し、もう片方の腕が素早く掴まれる。


「答える気はないか?では消えてもらおうか・・・」

「何故だ?貴様の力がこれほど強いわけがない!?」

「お前の勘違いだろう」

「俺を消せば、魔界ですぐに報告するぞ!神々の介入が分かれば、最終戦争ハルマゲドンの勃発だぞ」


ヴァッサゴがイシュタルに脅しをかける。


「心配するな。消されたお前が行く先は、魔界ではない。煉獄に特別作られた牢獄だ」

「何ぃ?そんな力が貴様にあるはずが「うるさい!!ダンタリオンによろしくな!!」


指が鳴らされ、一瞬でヴァッサゴが消滅した。


「お疲れ様です。イシュタル様」


ムカイがイシュタルに労いの言葉をかける。


「疲れてなどおらん。それと様はいらん!!」


イシュタルの姿は一瞬にしてかき消えた。


― ― ―


帝都


「さて、増援を呼んでもいいのですが・・・私の科学と言うものが、どこまで通用するのか?この日のために開発した新兵器を試させてもらいましょう」


ミタは悠然と上位魔族に宣言する。


「新兵器?このモロクに通用するような兵器など、人間に創造できるとは、思えないな」


牛頭に人間の身体を持つ上位魔族が言った。

身体には、簡易鎧を纏って戦士の風貌だ。


「では、試してみましょう!」


ミタの言葉と同時に、上空に待機していたメカドラゴンが急降下してモロクに襲い掛かる。

メカドラゴンの後肢の爪がモロクに届く瞬間に、モロクは右腕を軽く払った。

軽く見えたモロクの右腕は、メカドラゴンを半回転させ、地面に叩き落す。


「確か、いかずちが苦手と聞いている」


モロクの身体から、電光が迸りメカドラゴンを直撃した。

が、メカドラゴンの周囲には防御結界が発生し、雷光を全て弾いてしまう。

その間にメカドラゴンは、起き上がり強烈なブレスと目からのビームをモロクに見舞った。

モロクは平然とブレスとビームを受け、焦げ目もつかない身体を、ぱんぱんと埃を払うように叩いた。

メカドラゴンは前肢を振り上げ、モロクを押しつぶすように振り下ろす。

前肢がモロクに触れた瞬間に、砕け散った。


「ほう、上位魔族の面目躍如と言ったところでしょうか?ですが・・」


メカドラゴンの砕け散った前肢が、一瞬で再生する。


「へえ?なかなか面白い仕掛けだ」

「私の世界の技術に、こちらの魔法でスライムの特性を加味してみました。しかも硬度を自由に変化させられる・・・」


再びメカドラゴンの前肢がモロクへ振り下ろされ、今度は砕け散ることなくモロクに叩き込まれた。

その衝撃でモロクの身体は、半分ほど地面にめり込んだ・・・ように見えたのだが、よく見れば、モロク自身が半分の身長に縮んで、メカドラゴンの前肢の衝撃を押さえていた。

が、今度はメカドラゴンの前肢がスライム状となり、モロクを包み込む。

身長80センチぐらいになったモロクは、完全にスライムと化したメカドラゴンの右前肢に取り込まれていた。


「ふむ、スライムの消化能力では、まったく溶けにしませんか?」

「当たり前だ」

「では、次の攻撃はどうでしょう?」


ミタが右手に持つスイッチのボタンを押す。

するとメカドラゴンの右前肢が青白い炎で燃え上がり、閃光とともに、爆発を起こした。

モロクの身体が粉々に砕け散り、その後メカドラゴンの前肢は復元される。


「これで終りではないでしょう?隙を見て私に攻撃とか考えているならば、無駄ですぞ。私の周りと帝城には、強固な防御結界が3重に張り巡らされています。すぐに復活されて、私の実験につきあって下さい」


ミタが話しかけかけると、モロクの破片は瞬時にして復元し、元の大きさになってメカドラゴンの前に立った。


「つきあう義理はないので、早々に終わらせてくれよう」


そういったモロクの身体から、冷気が迸り、広範囲を凍りつかせてゆく。

エバートンと帝城の周りには防御結界が発動し、強力な冷気を遠ざけていたが、メカドラゴンの結界は耐え切れず、徐々に凍りついて行った。

メカドラゴンが完全に凍りついた瞬間に、モロクはメカドラゴンにパンチを振るう。

パンチが当たった箇所から細かなヒビが入り、先ほどのモロクと同様に砕け散った。

1つ違うところは、メカドラゴンの中から、丁度モロクと同じぐらいの身長のアイアンゴーレムが出現したことだ。


「??このゴーレムは?」


モロクが疑問を投げかけた。


「私の最新作のアイアンゴーレムです。実験したかったのは、実はこのゴーレムだったのです。あなたが破壊したメカドラゴンは、このアイアンゴーレムの鎧に過ぎなかったのですよ」

「たかだか人間にここまで虚仮にされるとは!!すぐにこのゴーレムを破壊して、この都市そのものを滅ぼしてやる!!」


モロクは先ほどと同じように、冷気を発して辺りを凍らせ始めるが、ゴーレムは一向に凍りつく気配がなかった。


「何っ!?」


モロクは続けて、ゴーレムに拳を振るう。

アイアンゴーレムはその拳を受け止め、逆にパンチを放った。


「アイアンゴーレムごときのパンチがっがぁあぁぁ!?」


アイアンゴーレムの拳がモロクの胸板を貫き、背中まで拳が飛び出していた。


「ただのゴーレムではありませんよ。材質はオリハルコンを素材とし、魔法で強化ブーストをかけて、ドラゴンの鱗でさえ貫けるパワーを持っています」

「オリハルコンだと?ばかな?オリハルコンでゴーレムなど造る事ができるはずが・・・」


モロクは、胸をつらぬいたアイアンゴーレムの腕を引き抜こうするが、アイアンゴーレムのもう1つ拳が、モロクの顔面にめり込んだ。


「予想以上のパワーですね。ヒデキ殿に感謝しなければ」


ミタは満足そうに呟いた。





次回は10月10日投稿予定です。

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