対魔族作戦会議
1日のおきの投稿、なんとかできました。
「ルシファーの奴め、人間の戦に介入する気か!?急ぎ戻って、対策の動議を!!人間、これで良いな!?」
「はい!ありがとうございました!!」
「何かあれば、ここに来て、私を呼べ!!いいな!!」
イシュタルが去ると同時に、俺達は元の場所に転移していた。
何もない広間の中央だ。
一度転移をすると、もう一度入り直さなければ、再起動しない魔法陣らしい。
俺達は直ぐに外へ出た。
急ぎエバートンへのホットラインを起動させる。
「これはヒデキ殿!!どうしました!?」
「緊急事態です!!ネオローマ王国の後ろ盾は魔王でした!!」
「それは確かですか?」
「証拠をスマホに録音してあります。聞きますか?」
「お願いします」
俺はエバートンに先ほど録音したアンジェリーナとルシファーの会話を、エバートンに聞かせた。
「なるほど、急ぎ作戦会議を開かなければなりませんね。ヒデキ殿は今、どちらに?」
「ムカイと一緒に遺跡に来ています。ムカイの屋敷から直ぐにそちらへ向います」
「分かりました、ミタに連絡し、会議の段取りを整えておきます」
エバートンとのホットラインを切り、すぐにムカイの屋敷へ帰還する。
そこでエバートン邸へと転移した。
エバートンは俺を待っていた。
「お疲れ様です、ヒデキ殿。こちらへ、もう全員揃っています」
エバートンが作った、通信室へと向う。
そこには、30を超えるモニターが設置してあり、ミタ、皇帝、国王、ガウラン、ムカイが5つのモニターにそれぞれ映っていた。
「緊急事態です。ヒデキ殿がネオローマ帝国と魔王とが繋がっている証拠を掴みました」
「魔王と!!」
国王と皇帝が絶句する中、ミタが即座に反応した。
「まずは証拠をお聞き下さい。ヒデキ殿、お願いします」
俺は再び、録音した音声を再生する。
「「「・・・」」」
初めて聞いた3人が押し黙った。
「お聞きになったように、ルシファーと思しき魔族の声と、ネオローマ王国の女性の声が録音されています」
「ヒデキ殿はこれをどこで?」
ミタが質問した。
「ムカイ殿が以前調査した遺跡です。遺跡の奥に天界、魔界に繋がる秘密の部屋がありました」
「遺跡にそのような部屋が・・・」
「そうです。今まで、王国、帝国で対ネオローマ王国の対策を練り上げ、軍備を整えて来ましたが、対魔族用の軍備に整え直す必要があるでしょう。何故なら敵の作戦は第1波として、魔族の襲撃。こちらが消耗したところでネオローマ王国のテンプル騎士団の侵攻が予想されるからです。」
エバートンが会議の面々に向って、軍備の再構成を進言する。
「具体的には?どうすれば良い?」
「うむ、これ以上騎士団の増員は無理だ」
皇帝が質問し、国王が現状を訴えた。
「ここはミタ殿のアイアンゴーレム量産技術を、最大限に利用します。主力をゴーレム部隊と魔術師にして、魔族に当たります。とにかく人的損耗を最小に抑えねばなりません。ネオローマ王国だけならば、国境に戦力を集中させるだけで良かったのですが、魔族相手となると、全ての都市を警備しなければなりません。とにかくアイアンゴーレムを増産しましょう」
「アイアンゴーレムの製造ラインを2倍に引き上げましょう」
エバートンの提案にミタが答える。
「防衛ラインに私の魔法陣術式と魔術師部隊を配置します。魔術師以外の騎士団は、最終防衛ラインまで下がってもらい、ネオローマ王国の攻撃を凌いだ後に、カウンターで一挙にネオローマ王国を攻めます」
エバートンが両手を広げた。
「それで充分なのか?帝国はなるべくアイアンゴーレムを量産し、王国にも送ろう。だがそれだけで、魔族を退けられるとは思えない」
皇帝が疑問を投げかけた。
「実は秘策があります。ヒデキ殿が情報を得た場所は神界に連絡が取れます。魔王の介入を神界に伝えて、神の介入を嘆願するのです」
「あ、魔王の介入は、もう女神イシュタルが察知して、神界で動議を上げています。魔族の介入があからさまになれば、神界も介入してくるでしょう」
「それは素晴らしい、では魔族の攻撃を凌いでいれば、魔王軍はなんとかなりますね。先ほども言ったように、第2波のネオローマ帝国が正念場となるでしょう」
「人と人の戦には、神は介入しないからな。分かった、ミタ!!」
「はい、皇帝陛下!!」
「アイアンゴーレムの製造ラインを4倍まで上げろ!!それに、お前専用の巨大ゴーレムをもう一台製造しろ!!王城の王座の間を警護させる」
「はっ!!」
「ありがとうございます。こちらも魔族用防御結界と魔族用攻撃スクロールを増産して、帝国へ送りましょう」
「かたじけない」
「冒険者も可能な限り集めましょう。皇帝陛下、国王陛下、ガウラン辺境伯様、お願いできますか?」
「分かった」
「承知した」
「うむ」
「各々の仕事を開始しましょう。時間がありません」
エバートンが締めると、皇帝が言った。
「これで同盟緊急会議を終了する!!」
5つのモニターが同時にオフになる。
俺はエバートンに見せたいものがあり、スマホを取り出した。
「エバートン参謀、こ見てもらいたい魔法陣があるのですが」
「ほう、どのような物ですかな?」
「これです」
スマホの画面に遺跡で写メを撮った『大魔法陣』を表示させる。
エバートンは驚いた顔で、スマホの画面を凝視した。
「これは・・・こんな大きな魔法陣は、転移魔法陣以外に見たことはありません」
「ではこれは転移魔法陣ですか?」
「いえ、攻撃魔法陣ですね。発動は?」
「一目見て、魔力が足りないと感じました」
「そうですね。エリー殿との連携でも無理かも知れませんね。ですが、一度試してみますか?」
エバートンは研究室へと向う。
俺とエリーはその後を追った。
エバートンは俺とエリーが散々魔法陣の検証を行った空間を開けてくれた。
魔力回復ポーションを20本用意してもらい、エリーが俺と腕を組む。
エバートンは後で見守っている。
標的はいつものように、自動人形が立っていた。
「じゃあ始めるぞ!!エリー頼んだぞ!!」
「久しぶりですねヒデキ様!!しっかり魔力を送りますから!!」
俺は『大魔法陣』に魔力を込め始める。
ぐんぐん魔力が減って行く・・・今までにないペースだった。
エリーが急いでポーションを飲み続ける。
魔法陣の一部が光り始め、徐々に光る部分が増えて行く。
その光が3分の2まで達した時に、俺とエリーは同時に倒れた。
魔力切れだ。
「うーむ、あと1人、魔力を同期できるものがいれば・・・実に惜しい」
エバートンの惜しがる声が聞こえた。
― ― ―
「後一歩・・・なんとか魔力を増加させる工夫をすれば・・・」
エバートンはぶつぶつ呟きながら、帝国に送るための魔法陣を描いている。
ミタのコピー設備があるため、1つ送れば、増産されて、帝国の戦力は跳ね上がる。
こちらも当然コピーして、味方に配るわけで、王国の戦力も跳ね上がる。
今回の戦争はそれでも戦力不足かも知れない。
人魔戦争の勃発・・・聖トミラオ共和国のクーデターから、とんでもない事になったものだ。
ネオローマとか、カトリックとか、テンプル騎士団とか名乗っているから、てっきりそちら系の人間が、こちらの世界に来て宗教を利用して国を乗っ取ったと思っていたが、魔王が裏にいたとは驚きだ。
魔族、特に上位魔族の恐ろしさは、レイト村のダンジョン攻略で思い知った。
まともにぶつかれば、大量の犠牲者が出るのは間違いない。
エバートンとミタの目論見は、アイアンゴーレムやストーンゴーレムを大量に投入し、消耗戦に持ち込む作戦だ。
俺が召還したロックゴーレムも、大量のストーンゴーレムに押さえ込まれた。
「数は力なり」の証明だ。
だが、そのような物理法則の外にあるのが、上位魔族ではなかろうか?
嫌な予感が拭い去れないので、俺はもう一度イシュタルに会う事にした。
次回は10月4日投稿予定です。




