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第68話 白龍と紫虎

「深夜子――――――――――――っ!!!」


 大和田さんは、みよちゃんこと魔王が飛び立っていった窓から、みよちゃんを呼ぶ。が、戻ってくる気配はなかった。

 俺たちも魔王の力に圧倒されていて、しばらくみんなで呆然としていた。


「やはり、あ奴だったか」


 シアンが、ぽつりと言った。そして、


「あれはけがれだ」


 シアンが魔王が飛び立った空を指して言った。

 そしてなぜ魔王が出現したのかの説明をしてくれた。


 なんでも、ここの田舎村は大昔の処刑地であり、処刑地でなくなった時代になっても人々はその場所を忌避しつづけていた。誰もいなくなった土地にはいつの間にか大きな黒い虎が住み着くようになり、人々はその虎を処刑地で滴った血や恨みを吸い上げた怪物だと恐れ、その虎をけがれと呼ぶようになった。

 負の連鎖は重なり、穢が現れた場所にはますます人が寄り付かなくなり、活気のない土地は気が枯れていって、木や草が生えてもその生命力を土地が吸い上げるようになった。黒虎が生命力を吸い上げているという噂も流れ、土地は手付かずのまま長らく放置された。


 時代が過ぎ、気枯地(けがれち)と呼ばれるようになったそこの土地に尼さんが来て、その元凶である田舎村の元の土地の主であった黒虎を、尼さんと退治したとのこと。


 え、シアンってもしかして……


「うむ、わたしは尼と一緒に戦った」


 黒紫色の虎、穢を倒さんとシアンと尼さんとで一緒に戦い、倒せなかったけれど封印に成功したのだ。


「その封印が、つい最近はっきりと解かれたのだ」


 あ……そうか、ヨネばあちゃんちの、あの石か。


「その封印を解いたことで、わたしも目覚めたのだ」

「じゃ、シアンの正体は一体……」


 俺の言葉に、軽くうなづくシアン。


「わたしの正体は、最初から龍だと言っている。真名は弥盛イヤシロだ」


 ふん、と偉そうに腕組みをしたシアンは、イヤシロって名では呼ぶな、と言う。なんでも真名はむやみに口に出してはいけないそうだ。それと、シアンという名が気に入ってるので、そちらでなければ反応しないという。



「つまりは、穢=魔王で、現在のみよちゃんに取り付いていると?」

「いや、元々あの女は穢一族の末裔だ。一族というと語弊があるが、好奇心で穢を崇拝していた輩が穢の血を飲んだという言い伝えがあってな。あの深夜子とやらはそいつらの子孫だ。だからなんでもない人物に取り付いているわけではない。血をわずかでも受け継いでおれば、魔王の意識に乗っ取られるきっかけになるだろう。尼と一緒に封印したときに虎の本体は消滅したから、誰かのからだを乗っ取らないかぎり、現世には姿を表せないようになっている」

「じゃ、深夜子はさっき言っていた半年の期間で穢に乗っ取られてしまうと……?」


 絶望した顔で、大和田さんがシアンに質問する。その質問にシアンは静かに頷く。



「う、嘘だろおおおおおお!!」


 と泣き崩れる大和田さん。元々は自分の興味が発端の研究のために、愛する人を失いかけているんだからなぁ。大和田さん自身はよかれと思っていたのだろうが、結果はこのようになってしまった。


「……焦ってもしょうがねぇ。なんとかして半年のうちに、魔王をやっつけるしかねぇよ。尼さんとかいう女がけがれとかいうのを封印できたんだから、今の魔王を打ち取ることは俺たちにも出来んべ」

「そうですよ! 今までだっていろんなことやってきたんだし、力を合わせればなんとかなりますっ!」

「ぼ、僕も手伝うよ! あかねんのためにも!」


 俺とシアンを囲んで、頑張ろう! と言ってくる仲間たち。



 ……なんだかんだで、いい仲間、出来たよなぁ。

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