第56話 痴話喧嘩
俺たちが呼んだ警察に、少年とガラの悪い連中は素直に従っていた。
勇者たちの活躍により、オレダヨ詐欺グループのサイクロプス社は壊滅したのだ。
なんつっちゃったりして。
「なにをニヤけているんだ、マスター」
「あ、いや……今回もしんどかったなぁって」
「ま、最後の活躍はタローだろ? 呪文で変なかっこになってたけどさ」
のんびりとパトカーの赤色灯を眺める俺とミカゲ、そしてシアン。
タローとあかねんは、なにか喧嘩をしていた。オタク方向性の違いでバンド解散かな。
「ぼ、僕の初めての告白なのにぃーーーー!!!」
「うるさいっ、今はそれどころじゃないわ! そもそも、みよちゃんにだって恵奈ちゃんにだって咲ちゃんにだって、あまつさえシアンちゃんにまで、エロい目線でジロジロみてたくせに!! 好きですってぇ!!??」
へー、タローの本命、あかねんだったんだ。
ジャンキー同士、意気投合してたし、いずれこうなったか。
……ていうか、あかねん、タローが色めき立ってた人全員覚えてやがる。
「そ・れ・に・ねっ! なによ!! 『俺の嫁は5人いますぅ~~』だなんて、キモいのよっ!! それに、あの魔法はなんなのよっ! 女装癖でもあるんじゃないの!!?」
あかねん、タローのモノマネうまいな。
ていうか、タローは黙っている、がきっちりとあかねんの目を見ている。
そしてあかねんに近づき、アパートの壁にあかねんの肩をドーンと押し付ける。
壁ドン……いや、なんか違うな。あかねんの両肩をがっちり掴んだまま壁にドンだから、あかねんは背中をぶつけて顔をしかめている。
ちょこちょこ不器用だよね、タローは。
「あかねん、僕はキミのこと好きなんだ。ゆっくり考えてから返事をください」
かっこいいセリフを言うタロー。言葉も呪文の練習成果が出ているのか、流暢になってきている。
「う、うるさいわねっ。わ、わたしはそんな軽い女じゃないし」
顔を赤くしてうろたえるあかねん。まあ、もう好きにしてくれよ。お二人サン。
「……マスター、たい焼き食べたい」
「あー、俺も飲みいってくるかな。ん? 電話だ」
ブルブルと小さく振動するミカゲのスマホ。
「はい、あーそうすか? ごちそうになります。はい……はい。ではあとで行きます。(プチっ)社長がごちそうしてくれるって。和哉もシアンもぜひに、だとよ」
みよちゃんの話していた四天王とかなんとかもクリアしたし、やっと魔王だな。
その前に社長んちでごちそうだよ! シアン!
「カレーは出るのか?」
「どうだろなー。恵奈に頼んでみるか?」
コクン! と勢い良くうなずくシアン。
今日の夕飯は楽しみだなぁ。




