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第52話 詰襟の少年

 アパート一階の端っこの部屋から調査を開始する。

 作戦は、サイクロプスと会ったら即戦闘へと入る算段である。特に小細工などなしの正攻法である。


「ふむ、ここは資料室みたいなところだな」


 はじめに入った角部屋は、乱雑に紙の束が積み重なって置かれている部屋で、あまり誰も入っていない様子の場所だった。

 部屋の奥までみたけど、紙の束以外はとくになにもななかった。


 一通り部屋を確認し出ようとしたところで、トイレの中からカタン、と物音が聞こえた。

 警戒しつつトイレをそっと開けると、ひいっと小さく声があがり、中学校の制服を来た少年が出てきた。

 涙目である。


「ご、ごめんなさい。僕、大事な忘れものを取りにきたんですけど、怪物に会って……ここに隠れていたんです。こ、怖かった……」


 その少年が言うには、どうやらここのアパートはまだサイクロプス社が会社の借り上げアパートにしてから間もないらしい。

 この少年の家族も、ここよりいいマンションに引っ越しませんか? とサイクロプス社の社員に言われ、今から3週間前に引っ越したばかりだそうだ。


 少年と家族が引っ越したあとに少年はここのアパートの部屋に大事なものを忘れてしまったことに気づき、その忘れ物を取りに無断でここに入ったらしい。


 14歳ぐらいの小柄な少年は、ときおり響くサイクロプスの歩く音と思われる鈍い音が微かに聞こえるだけでもビクついていた。

 ビクつくたびに、真っ直ぐストレートの髪の毛が逆立つのが猫が驚いてるような感じで面白い。


「ねぇ、おねえさんたちが取ってこようか? 大事な物」


 優しくあかねんが少年に言うものの、


「自分がいかないとだめなんです」


 と弱々しくそしてビビりながらも俺たちに同行する意思を少年は表示した。

 あかねんは「戦闘になったら下がっててね。わたしたちの目の届く範囲にはかならず居ること」と少年に指示していた。



「あいつ、やな感じ」


 ビクつく少年を指差して、シアンが言う。


 シアンは俺以外の男性に対してほとんど懐いていない、というかミカゲにさえもシアンは若干警戒していて、頭は渋々撫でさせるものの、手を繋いだり抱きついたりすることはない。


 そんな人見知りが激しいシアンは、おねえさん代わりでシアンの面倒を見てくれているあかねんに少年が近づきすぎるのが気に入らないんだろうな。


 ……それってちょっとしたヤキモチだよね、シアン。


 そんなシアンは出会った頃よりもだんだん感情表現が広がってきて、いろいろな顔を見せてくれるようになったので、俺は微笑ましい気持ちになった。

 ホントに最初は感情や表情が全然なかったし。

 変わるもんだなぁ。


「大丈夫だよ。あかねんはしっかりしてるし」


 俺が言うものの素直に頷かないシアン。

 八つ当たりをするように、シアンは俺に恨みがましい目線をジロッと向けてくるが、よーしよしよしよし、と髪の毛をワシャワシャしてやった。

 ぷうっと膨れるシアン。ミーシャみたいに可愛いなぁ。


「次の部屋、行こーぜ」


 というミカゲの言葉で、シアンは俺のところを離れてプイッとミカゲについていった。

 ……ま、あとでフォローしとけばいいか。

 シアンの好物のたい焼きとかでいいかな。

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