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第45話 冬の贅沢=こたつみかん

 鬱蒼とした森を抜け、小高い丘の上にあったのは、古い洋館であった。


「ここ、まだあったんだなー」

「5年前にこのペンション自体は閉鎖したって聞いてっけどな」


 管理されていない林道は、残雪と倒木やツタに覆われていて、ここのペンションにくるまでにかなりの時間を要した。

 ジャンキー共はまたランランとしているし、シアンに限っては息すら乱していない。

 ……この中で正常なのは、たぶん俺とミカゲだけだ。と再確認する。



・・・・・



 昨日はあれから、シアンを俺の家へ連れ帰った。


 タローの家はもちろん却下だし、ミカゲんちは弟や妹が6人もいて、毎日シッチャカメッチャカなので無理だそうだ。


 あかねんが一番良いんじゃないかな、と思って質問するも、


「ウチは、おねえちゃんが煩いので無理、だってそんな儚げな女の子連れ帰ったらさ一日中いじくり回されるよ、あのおねえちゃん病気だし」


 とオタク系統なあかねんに、病気と言い切られるほどのお点前のおねえさんが、現在都会から実家に帰省しているそうだ。


 ……怖いな。ものすごいんだろうな。


 まあ、俺の家は俺一人ってわけじゃないし、家族が少なくなってる分、部屋に余りがあるから問題なし、とのことで俺の家へとシアンを連れ帰った。



「ただいまーー。ミーシャぁぁぁぁ!!」


 毎日ゴロゴロさせてるけど、ゆっくり甘えさせるのは久しぶりな気がする。

 シアンにもミーシャに触ってもらうように言うけど、


「毛玉は苦手」


 だそうだ。ミーシャもなんとなく警戒している感じだったので、無理強いはしなかった。シアンがミーシャにかじられたりしたら大変だもんね。


 母さんにも預かってる子なんだ、と話しを付けなんとか納得してもらった。


「交換留学生とかそういう子なんだろ? 役場と村の仕事覚えてもらってどうの、みたいなやつでしょ。しかしまあ、外国人の人って年がわからないんだねぇ。すごくちっちゃく見えるけど、これで大人なんだろ?」


 ……まあ、そんな感じの理解で大丈夫。シアンの年齢もも適当にごまかしておいたけど、大丈夫だろ。




「わたしは515歳」


 と俺の家に向かう最中にシアンに年齢を聞いたのだが、真面目な仏頂面でさらに手でジェスチャーしながら、シアンは515歳だと言い張った。

 いやいや、そういう設定なんでしょ? と俺は反論してみるものの、シアンは仏頂面をますます仏頂面にし、あげくのはてにプーッと膨れてしまい、


「わたしはそんなに子供に見えるのか……」


 と拗ねてしまった。

 俺は慌てて、


「ね、年齢はいいとしても、母さんには成人してるってだけ言っといて」

「うむ、わかった」


 という経緯があったのだった。



 そのあと、母さん、俺、シアンの3人してカレーを食べる。


「も! ほれは……ふはい!!!」


 ご飯粒をつけたほっぺを真っ赤にしながら、口にはカレーをめいっぱい頬張り、さらに「うまい!」らしいことを言っているシアンであったが、俺には、もはもは言ってるだけで、ちょっと何を言ってるかわかりません、な状態であった。


 母さんはそんなことをしているシアンに見覚えがあるみたいで、


「でしょ? はじめて和哉にカレーを食べさせたときも、おんなじことしてたわ~」


 ニコニコとシアンに相槌をうちながら、もっと食べていいよ、と言っていた。


 ……なんかなにかを公開処刑された気分だぞ? これ。


 そのあとは、こたつに寝転んで3人でみかんを食う。

 冬の終わりかけの贅沢である。



 明くる日、さっさとみよちゃんに占ってもらう。

 もうこの行動かなり慣れてきたし、みよちゃんの怪しいおばちゃんダンスも見慣れてきたよ。


「いいわ、答えましょう。次の中ボスは森の中にいるわ。女郎蜘蛛よ」


 村の北部の小高い土地で、いまだ残雪の残る深い森の中にある洋館、というか潰れたペンション。


 『ペンションHayashi』


 ここが次の舞台のようだ。

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