表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/146

第21話 死霊の騎士

 しまった……!!



 今日は火曜日。

 しかも天気のいい4月のうららかな陽気の中、田舎村唯一のコンビニの前で俺たちは立ち尽くしていた。


 そう、客がいないのだ。


 ど平日の晴れの午前9時過ぎにコンビニにくるような暇な人物は、田舎村にはいない。

 なぜならば、4月と言えば農繁期、つまりじいさんもばあさんも婿殿も嫁様も、忙しいのである。


 店員に話しかけるも、やっぱりいらっしゃいませ~とか、こちら15ゴールドになります、とかばっかりで少しも役に立たない。



 無為に午前中を過ごしてしまいそうだったので、タローを相手に剣術というか剣道の稽古をやった。俺が打ち込んだことによるタローのたんこぶや打ち身は、あかねんにヒールしてもらっていた。



 そしてお昼となった12時。コンビニへ近くの学生や、工事現場の方々が押し寄せて混んできた。


 だが、みなさんとても忙しそうなので声をかけるのを俺たちはためらっていた。



「おい! 和哉じゃねーか!」


 野太い声に俺は振り向いた。そこには、高校の同級生、御影みかげ かおるがいた。


「おうミカゲ、元気だったか? って待てよお前……」


 そう、ミカゲはモンスターだった。


 しかも強そうな骸骨のお面を装着している。

 そして手には、つるはしを持っていた。そう、これは多分……死霊の騎士である。



 ドカッ!!!!


「うひゃああ!!! お前、それシャレんなんねーよ!!」


 容赦なく俺に向かって、ミカゲはつるはしで攻撃してきた。


 気づいたらここのフィールドは工事現場であった。

 コンビニがかなり混んでいたので俺たちは邪魔になるかと思い、気づいたら休憩中の工事現場の中に入ってしまっていたのだった。


 ミカゲはつるはしをすっと引き抜き手慣れた扱いで、あっけにとられているタローにつるはしを振りかざした。


「クイック!!」

「コノクギハヒキヌキニクイクギダ――ッ!!」


 俺とタローの呪文が奇跡的に噛み合う!


 タローはつるはしを間一髪で避け、地面に刺さったつるはしにタローの呪文が効果を発した。


 結果、ミカゲが振り下ろしたつるはしは地面から抜けなくなった。


「すげー。なにか連携がバッチリだ……」

「そ、そうですね、ぼ、僕も初めて呪文、唱えられました」


 なぜかタローの顔が赤らんでいる。

 まるでケーキカットが初めての共同作業です、の新婦のような表情で。


 いや俺、そういう趣味はないですし。キモいし。



 つるはしを抜こうとミカゲは頑張っている。そこを俺は


「面胴小手っ!!」


 とミカゲの頭、胴、手を叩く。

 ミカゲの手をたけのヤリで叩いた瞬間に、ミカゲはつるはしを諦めて、


「流石、田舎高校剣道部の部長だな、完敗だ……」


 と戦意を失ったようだ。


 あかねんをちらりと見ると、ミカゲを見る目がものすごいハートマークだった。

 俺からの乗り換えはえーよ早すぎるよ! ちょっと傷ついちゃうなー。

 そしてリクルートスーツの汚れを落としてた母さんの苦労も考えてくれよ、じゃなくてっ!! 今の戦闘はマジで危なかったんで、ヒールとかの準備をお願いしたかったなー。

 ハートマーク出している場合じゃないよ、あかねん。


 少し寂しい気持ちになりながら、俺はちょっとグチグチ言ってしまった。


「さて、俺は負けちまったし、お前らの仲間になってついていくこともできるが、どうする?」


 ミカゲから思わぬ提案をいただく。


 そんなミカゲは身長185cm、体重は85kg超えの筋骨隆々で大柄な奴である。

 高校時代は野球部部長であり、俺たちは部長同士で部活の運営やら練習方法などで色々相談しあっていた仲間だった。



「もちろんYESで。一択です(ハート)」


 というあかねんの即答と一方的な決めつけに、俺とタローは押されてしまったが、ミカゲは俺たちの仲間となったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ