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第18話 レベルキャップ

「ああ~、役場のみよちゃんの紹介かい~。わかった、あの件じゃの~」



 ヨネばあちゃんに出してもらったお茶をズズッとすすりながら、占い師さんにヨネばあちゃんを紹介してもらったことを説明した。


 占い師さんの本名はみよちゃんっていうのか。へぇ。

 今度会ったときにみよちゃん、と話しかけてみよう。



 横に座っているあかねんは、キャンディ結びにしてあるゼリーのお菓子をバクバクと食べていた。いやそれもう8こ目でしょ。


 タローはやはり裏番組を見たそうにしていたけど、ヨネばあちゃんがお茶を出すときにリモコンを戸棚にしまったので、ものすごく残念そうな顔をしていた。

 おい、一応勤務中だぞ。たぶん。


「ま~、説明すると長くなっから、お菓子でも食べなせ~」


 ずいっと、俺にもお菓子を出してくる。甘いのは苦手じゃないけど、妙なゼリーのお菓子とか、袋に大名と細かく書いてあるあんこ入りのカステラっぽいお菓子とか苦手である。

 なので、一番その中でも見た目がましな、あんこスナックと書いてあるビスケット状のお菓子だけいただくことにした。しかし、田舎のばあちゃんはなんで小袋の怪しいお菓子を買ってくるんだろう。いつも疑問である。


「話を始める前に確認したいことがあるんじゃが、あんたたちのレベルはいくつになったんじゃ?」


 若干声色が変わった、というか語尾に~がついていないだけで、ヨネばあちゃんはなんだか迫力を増した。そんなヨネばあちゃんにビビりながらも俺たちは、アプリでそれぞれにレベルを確認する。全員レベル5だ。


「レベル5です」

「ふむ、それではまだ具体的な話もできんし、封印の石にも触らせられんな。封印の石というのは、勇者とその仲間の力を開放してくれる石だという話なんじゃが、レベル30にならないと動かないそうじゃ、残念じゃの~」


 ああ、要領よく先に進んでしまって、先の条件が開かないロールプレイングゲームにある王道パターンですね。ここでまさかのレベル上げのターンになるとは思わなかったけど、この際仕方ない。


「よし、ちょっと残業してでも、今日はおおよそレベル30まであげるぞ」


 ある意味廃人宣言をしたような俺の言葉に、あかねんとタローが心底イヤな顔をするのかと思ったんだけど、異世界マジックのおかげで、2人ともテンション高くついてくることになった。


「やっぱり夜の冒険と言えば、マジックライトかな~? 魔法でボウッと明りを出して、雰囲気盛りだくさんで戦闘するの、楽しいよ!」

「いやいや、こ、ここは松明という古典的な冒険につきもののアイテムですよ。雰囲気ならこちらの方が……」

「そんなのは関係ない。コンビニ前の明るい通りでモンスターさんを待ち構えるだけだ」


 そんな感じで、ヨネばあちゃんちでレベル30まであげるミーティングを30分もやってしまった。

 その間、通常モードになったヨネばあちゃんは、俺たちにニコニコとお茶をついで食べなせ~食べなせ~とやっていた。

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