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第17話 伝説のヨネばあちゃん

 午後3時。


 俺たちは今、伝説と言われているヨネばあちゃんちの前に居た。

 ちなみに、なにが伝説なのかは謎のままである。


 俺の装備は上から鉄の兜、赤いマント、リクルートスーツ、青い手袋、茶色いブーツ。

 この中でも、赤いマントと青い手袋は勇者のマークらしきものが入っていて、現在のスマホのアプリ上では一番強い装備品らしい。布製なのに。


 この装備品は、モンスターさんたちが倒れてくれたあと、ご丁寧に俺に手渡ししてくれた。

 そして、武器はまだたけのヤリであった。



 あかねんはリクルートスーツを脱ぎ、白いふわっとしたロングワンピースと金の髪飾り、そして青いマントに茶色いブーツ、ひのきのたてを装備している。

 武器は、途中のモンスターの魔術師から杖を剥ぎ取っていた。うん、盗賊スキル発動だねっ!



 タローは魔術師なのに、なぜか肌色の全身タイツを着させられていた。

 その上に金色のベルトと黒い海水パンツも装備。

 これは……あれだね、かつらが揃えば鉄腕アトム的な感じの装備である。魔法使いなのに……。


「で、でも装備品みんな強いんですよ! は、肌色のタイツの防御力とかすごいし」


 タローが装備品欄を見せてくれた。

 たしかに防御力は高いが、リアルでも果たして効果はあるのだろうか。



 そして、ちょっとアプリがアップデートしたらしい。

 装備品の強さが若干見えるようになっていた。やるねぇ、情報室職員さん。



 装備品の話はそのぐらいにしようと俺は言い、ばあちゃんちの玄関の引き戸をコンコン、とノックする。


「はぁ~~~~い、どなたじゃ~~?」

「あ、その……勇者ですが、お邪魔してもよろしいでしょうか?」


「ええよ~、入ってきなされ~」


 奥の居間的なところから、ヨネばあちゃんと思われる女性の声が聞こえた。

 玄関に出てくる気配がなかったので、いきなり居間にお邪魔することにした。


 田舎ならではである。


 というかヘルプ電話のときに勇者っていうのは慣れたけど、リアルで勇者ですけれど、というのはやっぱり恥ずかしかったので、ちょっと躊躇ってしまったことは内緒である。



 ヨネばあちゃんちの居間に入ったら、古民家な感じだけど壁に違和感があった。


 部屋を仕切るふすまや壁に、昔の巻物のような筆文字でなにかがぎっしりと書いてあり、文字で囲まれている部屋みたいだった。


 でも窓から見える景色や、置いてある家具、テレビなどは普通だった。

 そして、ヨネばあちゃんはヤネミ屋を見ていて目が離せないようであった。



 俺は部屋をぶしつけについキョロキョロ見てしまい、その俺の様子にヨネばあちゃんは言った。


「ああ、これかえ~? 昔の先祖様が祝詞をふすまに書いておったのじゃよ~。おしゃれなインテリアってか~」


 至って普通だった。ふすまの文字にはなんの意味もなかったようだ。

 実はヨネばあちゃんがモンスターだったとかのオチで、いきなり様子が変わって襲い掛かってくるのかと思ったけど大丈夫だった。



 まあ座ってくんろ~、というヨネばあちゃんに促され、俺たちは居間の大きなテーブルに座った。

 タローがチャンネルを変えたそうにしていたが、俺とあかねんでジロッと睨んでやめさせておいた。

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