第15話 キャリーパムパムッ!
チャラララ~チャッチャチャ~!
何度かお面を付けたスライムさんや、ゴブリンさんを倒していく。
皆さん大変だなぁ、と思いながらだけど。
そんな俺たちの戦闘の仕方は、タローが「俺の第一の嫁はリリスたんだー!!」と大声で叫び、その声に竦んだモンスターを、俺がたけのヤリでポコッと殴る方法。
どうやら、タローの呪文の消費MPは0らしく、俺の嫁はリリスたんだー!! と連続で唱えても大丈夫なようだった。
タローはちょっと喉がガラガラしてたっぽいけど。
なので、怪我をすることもなく、5体ぐらいのモンスターさんを退治したとき、スマホからレベルアップのような音が流れた。
「あ、すずくん! タロー君! レベルアップしてるよ!」
俺たちの戦闘の連携に加われなくて、暇を持て余していたあかねんがスマホの画面を覗いていて、レベルアップにいち早く気づいた。
スマホを出して画面を確認すると、それぞれがレベル2になっていた。
HPやMPが少しづつアップして、それぞれに新しい呪文が追加されていた。
俺は、クイック。素早さが上がる呪文らしい。
あかねんはキュア。毒消しなどの状態異常を解除する呪文。
タローはキャリーパミュパミュというわけの分からない呪文だ。
なので、すぐにヘルプにタローは電話していた。
「あの、ぼ、僕の覚えた呪文ってどういう効果があるのですか?」
「いいわ、答えましょう。その呪文は召喚呪文なのよ。唱えると召喚獣が30分ほど出現して、戦闘のサポートをしてくれるわ。ただし、きちんと呪文を唱えないと召喚獣は出てこないから、頑張ってね」
ヘルプで教えてもらったタローは、早速呪文を試してみることにしたようだ。
「キャリーパムパムッ!」
……しーん。
いやあの、ちゃんと言えてないし。
そのあと何度もタローは呪文を試していたが、一度も成功することはなかった。
失敗してもMPは減らないのね。
「タロー君の召喚獣、見たかったなー。練習しといてよね」
あかねんがやっぱりタローを励ます。
俺は、いやそれわざと言いにくい言葉にして、召喚獣とかあまり呼び寄せないようにする策だと思うぞ。と突っ込んでおいた。
仮に言えたとしても、きぐるみとかぬいぐるみなんかがそれとなく俺たちについて来るだけなんだろう。と、いろいろ説明したのだが……
異世界に盛り上がっている2人には、その俺の言葉は届かなかったようだ。