いちゃいちゃ2
「分かった。なら、結婚しよう! すぐ結婚しよう! 明日侯爵に会いに行ってくる! 承諾の返事をもらえばいいんだよな?!」
「えっ、明日?! ちょっと、待って! いきなり行ったりしたら、お祖父様だって困ってしまうわ! 今回の件が落ち着いたら、私からちゃんと話すから、ね! だから、もう少し待って?」
「俺はフローラを早く全部自分のものにしたい。フローラと身も心も結ばれたい。そう思うのはおかしいな事か? だけど、フローラはそうじゃないみたいだ」
俺はすっかりブーたれて、フローラを責め立てた。
「そ、そんなことはないけど、」「ないけど?」
「・・・・・」
「やっぱり抱かれたくないんだな!」
俺はガキだ。思うようにならないからって不貞腐れて、フローラに八つ当たりしてる。
自分でも分かったけど、止められなかった。
期待してた分、落胆もしたし、何よりフローラが自分と同じ気持ちでない事に傷付いた。
すると、しばらく黙り込んでいたフローラが言葉を絞り出すように言う。
「・・・・・・怖いの。こんな年で怖いなんて言うのは、おかしいのかも知れないけど・・・・・・そ、その、行為が怖いというわけではないのよ! レオンくんが私に酷い事をするとは思えないし。ただ、なんていうか、後戻り出来なくなりそうで怖いの。ごめんなさい」
俺は落ち着こうとして、フーっと大きく息を吐き出した。
「俺はフローラに後戻りなんてさせるつもりはないよ。だけど、無理強いはしたくないから・・・分かった」
その後は二人とも黙ったまま衣服を整え、俺はフローラが用意してくれた簡易の寝床に横になり、フローラはそのままベッドに横になった。
暗い部屋には気まずい空気が流れ、とても眠れそうにない。
フローラも先程からごそごそと身じろぎばかりしている。
「怒ったの?」
フローラが不安げな声で話しかけてきた。
「怒ってないよ」
怒っているわけではないけど、やり場のない気持ちや火のついた身体を持て余して、イライラしていた。
「・・・私のこと、もう嫌いになった?」
「一度断られたくらいで、嫌いになんてならないよ」
だから、そんなつもりは無かったけれど、少しつっけんどんな口調になってしまったようだ。
「だって、・・・うっうっ、うぇっ」
フローラが泣き出してしまった。
ああ、もう、しょうがないな、泣かせるつもりなんてなかったのに。
「フローラ、本当に怒ってないし、番いのフローラを嫌いになるわけないだろう?」
怒ってないと努めて優しく言ったにもかかわらず、しーんと静まりかえった部屋の中、布団に潜って泣いているのか、フローラのくぐもった泣き声が聞こえる。
はぁーーーーーー、もう、しょうがないな!
「フローラ、そっちに行くぞ。大丈夫、何もしないから。抱き締めるだけ。約束する」
布団の中には入らず、ベッドに横たわり、フローラを布団にくるんだまま抱き寄せる。
頭を撫でながら、フローラの心が安心出来るように、愛情を魔力に込めて優しくキスした。
「分かった? 怒ってないだろう? 嫌いにもなってない。俺がどんなにフローラが好きか、大切に思っているか分かったか?」
いつものようにおでことおでこをくっ付けて、言い聞かせるように話した。
「でも、すごくがっかりしてるみたい」
「まぁな、それは仕方ない。オスの性だ」
横で仰向けになると、フローラが寄り添ってくる。
「ごめんね」
「いいよ。俺も悪かった。焦り過ぎだな。っていうか、フローラと想いが通じ合って有頂天になってた。番いといっても、俺達は種族が違うわけだし、種族が違えば習性だって違う。俺の方がフローラを思いやってやらなきゃいけなかったのに、ごめんな」
「ううん、私が意気地なしだからいけないの。・・・でも、ありがとう」
「フローラ、これからお互いを知り合うためにたくさん話そう? 俺は竜族の事や、竜王国、家族の事を話すよ。フローラはフローラ自身の事をもっと俺に教えて欲しい。フローラの過去も現在も未来も、全部俺のものにしたいんだ。その代り、俺の過去現在未来は全部フローラのものだ。そうやってお互いを知り合って、フローラが心の底から信頼できるようになったら、その時は俺を受け入れてくれるか?」
「フローラ、絶対途中で止めるから、触れてもいい?」
フローラの部屋に戻ってから、毎夜一緒のベッドに入り抱き締めて眠っていたけれど、とうとう我慢出来なくなった。
頷いてくれたので、3日ぶり?4日ぶり?、もう随分遠い昔のように感じるけど、口付けを繰り返しながらフローラのシャツの裾から手を忍ばせ、柔らかでしっとり吸い付くような肌を撫で回した。
俺の手に余るほどの豊満な胸は、柔らかで心地よく、突起部分を摘まめば、甘い声が漏れる。
フローラの魔力と俺の魔力はもうすっかり馴染んで、キスをすれば勝手に絡みついて混じり合った。
久方ぶりの深い触れ合いに二人とも酔いしれ、夢中になって互いを求め合う。
調子に乗ってズボンに手を伸ばすと、フローラはピクリと身じろいだが、強く拒絶はしなかった。
フローラのそこは熱く濡れて、俺の指を柔らかく受け入れる。
「あっ」
恥じらいつつも、俺を信頼して身を任せてくれるフローラが愛しい。
愛撫を繰り返せばフローラの身体も熱を帯びて、オスを受け入れる態勢になってきた。
俺もこのまま理性を捨てて、情熱に身を任せてしまいたい!!
ああ、くそっ! 途中で止めるなんて約束しなきゃ良かった。
俺はフローラだけをイカせて、行為を終わらせた。
フローラは初めて男にイカされて、何がなんだか分からないって顔をしている。
ポカンとした顔に口付け、ゆっくり指を引き抜く。
達したそこは収縮を繰り返し、俺の指に吸い付いて、ちっとも離そうとしなかったけど。
引き抜いた指はぐっしょり濡れていた。
匂いを嗅いで、舐めてみる。
「れ、レオン! な、何してるの?!」
フローラがそれを見咎めて、すごい剣幕で迫ってきた。
ついさっきまでは、ぼーっと気怠げに快楽の余韻に浸っていたみたいなのに。
「ん? 何って、フローラの味見をしてただけだよ?」
「嘘でしょっ!! イヤーっ!! ばかばか、やめてよ!! そんな恥ずかしい事しないでよっ!!」
真っ赤になったフローラに飛び付かれ、指を近くに置いてあったハンカチで慌てて拭われた。
「別に恥ずかしい事じゃないよ。番いの体液なんだから、匂いや味をちゃんと確かめて覚えておきたい」
「竜族ってやっぱりヘン!!」
「俺はフローラが初めてだから、他のメスの味がどんなのか知らないけど、番いの味が格別なのは分かったよ。フローラの唾液もあそこのも、俺には甘い蜜のように感じる。甘露、いや酔わされるから蜜酒かな」
「イヤー!! 恥ずかしいから、もう何も言わないで!!」
「あははは、だって、本当の事だもん」




