表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘の嘘 本当の本当  作者: カカオ
第8章 あの方
96/100

向けられる殺意

閲覧ありがとうございます。

しばらく前へ前へと進んでいくと、当然のことながらヘザーと会うことが出来た。


「ヘザー……!」


滴が声を掛けると、ヘザーが驚いたように目を見開き、それから嬉しそうに目を細め、ふんわりと微笑んだ。隣には、あのお爺さんもいて、お爺さんもヘザーと一緒にいられる喜びからか、幸せなのが見てとれた。


「こんにちは。わたしに会いに来てくれたのですね?」

「はい。お話があって……」


ヘザーは滴たちの間に少しだけ影が落ちたのを見、首をかしげる。


「えっと……、お話はしばらくしてからでも宜しいですか? 今はちょっと時間とれないので……」


申し訳なさそうにうなだれるヘザーに、滴たちは顔を見合わせ、頷く。元々滴たちは、ヘザーと話すのが後になると分かっていたのだから、特に拒否する理由もないのだ。


お爺さんが、滴たちに向けて小さく頭を下げたのが見えた。ヘザーと一緒にいる喜びが押さえられない様子で、滴たちは、その光景に、思わずにっこりとしてしまう。


「なら、ヘザーが一段落するまで待ってるか。なにして待つか?」

「う、うん、そうだよね……! ど、どこで待つ……?」

「うーん、とりあえずいつ終わるかも分からないし、人が少ないところで様子見計らってようか」


そうして、プリちゃんの提案で滴たちは人の少ない路地裏を探し、そこでヘザーのやることが終わるのを待つことにしたのだった。路地裏は、祭りの賑わいが少しだけ薄らいでいて、不思議と落ち着いた。座っていると、段々と眠くなってくるほどに。だから、滴たちは、うつらうつらとしながら、ヘザーのやることが終わるのをただ座って待っていたのだった。


だが、それからしばらくして、滴は思わぬ展開によって起こされる。



「……」


滴は、不意に不穏な雰囲気を感じとり、目を覚ました。

目を開けると、そこには、ヘザーがいる。……と思った。実際は、よくみると、それはヘザーによく似た例の少女。真っ赤な深紅の瞳に、闇を思わせる真っ黒な髪。ウェーブを描く髪からは穏やかな印象を受けるが、その印象は、その瞳の放つ尋常でないほどの殺気によって、殺されている。


「……」


その人は、相変わらず、滴をその瞳で射ぬくようにみるばかりで、何も言葉を発さない。

滴も滴で、怖さのあまり口を開くことすら出来なかった。口は、わなわなと震えるばかりで、喉はヒューっと小さな音をたてる。


他の5人の方を向くが、誰も起きておらず、ここで意志疎通出来るのは、目の前にいるこの人しかいなかった。


そうして、ようやくその人はその口を開く。



読んでくださりありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ