ヘザーとの再開
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滴たちは、夕方になってようやく家に着く。しかし、期待していた2匹のウサギはまだ家に戻ってきていなかった。どこにいても目を惹くであろう2匹は、今頃何をしているのだろうか。あの美しい毛が酷く汚れる前に、この家まで戻ってきてくれるのだろうか。
「それにしても、何もなくても良かったね」
滴がいない2匹を無意識に探していると、プリちゃんがホッとしたように滴の方を向いた。
他の5人も滴の事を見て、頷く。
「正夢になったりしたら、大変だからな」
「まぁ、滴に何かあったら、私がそいつを退治しちゃうけどねっ!」
滴は紗季の言葉に笑いながら、本当に何事もなくよかったと思う。あの夢のようなことが現実で起これば、きっと滴の命は無いだろう。今も鮮明に思い出せるあの光景を滴は思いだし、身震いした。
「まぁ、気のせいだったって思えば良いんだよ。心配してもしょうがないんだから」
「心配はぁ、するべきだと思うよぉ? 出来るだけ外に出ないようにすることは出来るんだからさぁ」
「うん、そうだよね。気を付けるよ。何かあったら嫌だし……」
「うん、そうしてね」
五人に心配の目を向けられ、滴は、そう答える。その言葉を聞いた五人は、少しだけ安心したように、そっと頬を緩ませた。
そうして祭りは、最終日を迎えた。
滴たちは、急ぎ足で森を抜け、町の広場へと着き、ヘザーが現れるのを待っていた。
広場は、ヘザーを待つ人で溢れ返っていて、その中にいるだけでもかなり疲れる。
「……ヘザー、遅いね」
気付くと、ポスターに書いてあった時間を1時間もオーバーしている。ヘザーは、時間をあまり気にしないのだろうか。それともここに来る予定を忘れてしまっているのだろうか。なかなか来ないヘザーに、滴たちも不安になってくる。
その時である。広場にいる人々が歓声をあげたのだ。
しかし、人々の見る方を見るが、人が多すぎてヘザーの姿を見ることが出来ない。
「ちょ、ちょっとずつ前の方行く……?」
背伸びしてもヘザーの姿を見ることが出来ないので、痺れを切らせた波が焦る。周りを見てみると、波の言うように前の方へいこうとしている人もたくさんいた。
「うん、そうしよっか。このままじゃ、なかなかヘザーに会えないし」
滴たちは、出来るだけ早くヘザーと会うため、少しずつ前の方へと進んでいった。
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